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ALAN HOLDSWORTH / All Night Wrong(SACD)

2005年10月06日 23時32分11秒 | JAZZ-Fusion
 アラン・ホールズワースについていうと、私はあんまり熱心なリスナーではないのだが、初ライブ、しかも日本におけるパフォーマンス(本年5月5日、新宿ピットイン)で、SACD発売ということで購入してみた。
 最近のホールワースは、しばらく前の「ナーン・トゥ・スーン」など聴くと、もはやロック・ギタリストというスタンスではほとんどなく、あくまでジャズ・キタリストとして先祖返りを濃厚に指向してきているようで、聴いていて、例のアラン・ホールズワース節な音楽であるのは違いないとしても、その音楽的感触みたいなものは、もはやジム・ホールだとか、ジョー・パスあたりと共通するような、ようするに名技性とリラクゼーションのほどよいバランスを目指した音楽になっていたと思う。本作もライブとはいうことで、ギンギンにハイテンションなジャズロックを期待する向きもあると思うが、ここで聴ける音楽も明らかに近年のラインに沿ったものである。もちろん、ここ一発という時は例の流麗な早弾きを連打するし、なにしろリズム・セクションがジョンソンにワッカーマンなのだから、オーソドックスというには、かなりアグレッシブ、かつアブストラクトなものではあるのだが....。

 ざっと内容をみていくと、
 1曲目の "Lanyyard Loop" は新曲で、いかにもジャズ臭いコード弾きのテーマと妙に入りくんだリズムが奇妙な調和を見せるいかにもホールワースらしい作品で、かなりハイテンションな中間部のソロから突如シックなソロからテーマに戻るあたりがおもしろい。 続く、"The Things You See"は、近年のジョン・スコ、メセニー、マイク・スターンあたりやっている音楽と非常に近い音楽で、テーマはモダンなコードワークでジャズ的色彩感をかもしだし、中間部では本来のキャラでソロを弾きまくるという、モダン・ジャズ・ギタリストがいかにも好みそうな折衷的な先祖返り作品。
 3曲目の"Alphrazallan"はスローでブルージーな作品で、ここでもテーマはコードワークで提示し、インプロは彼らしいソロで展開というパターンだが、ここでのソロはブリティッシュ・ロック・シーンを放浪していた時代に見せたようなうねりが満載されたもので、個人的には聴きごたえ十分。
 4曲目"Funnels"と6曲目"Water On...."、そしてはそれぞれ旧作からの再演で、オリジナルと比較すると、ライブであるにもかかわらず、テンションを後退させ、リラクゼーションが表に出てきているのが特徴だが、なにはともあれライブで聴けるのは楽しいし、ソロもバリバリ弾いているのはファンにとってはうれしいところだ。
 5曲目"Zone"とそして8曲目"GasLamp Bluse"はおそらくフリーインプロ。前者はワッカーマンの炸裂するドラム・ソロからやや低回気味にホールワースのソロが繰り出し徐々に盛り上がっていく展開、後者はいくらブルースっぽいムードでかなりハイテンションに進行するもので、ホールワースの繰り出す超絶早弾きに思わずニンマリする。
 7曲目の"Above & ...."、ホールワースのソロを中とした、やや低回気味であるが、静謐で独特のムードをもった作品。
 ということになる。

 ホールズワースというとロック・ファンからは「ジャズ過ぎる」とやや距離をおかれ、ジャズ・ファンから「あの人ロックの人でしょ」みたいに白い目で見られたりして、絶妙に落としどころない人になっているが、この作品は冒頭でも書いたとおり、やはりジャズだと思う。ブリティッシュ・ジャズロックが好きな人よりは、近年のジョン・スコとかマイク・スターンあたりが好きな人が聴いた方がよほどしっくりくると思うのだ。
 音質はライブハウス的な乾いたアンビエンスを適度にとりいれた好録音で、これだけドカスカやっていながら、全く混濁せず、妙に生々しいのはDSD録音故だろうか。(03/01/02)
コメント (1)
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