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坂本龍一/Life in Progress(Disc.2)

2005年10月18日 23時37分47秒 | クラシック(20世紀~)
 ディスク1は無調音楽から1960~70年代のミニマム・ミュージックまでの、20世紀の「ゲンダイオンガク」をクロノジカルにダイジェストしたという内容だったのに対し、ディスク2はワールドミュージックを地球規模で坂本流に俯瞰したといった趣である。ワールド・ミュージックというのは、私の苦手な音楽なので、よくわからないところもあるのだが、ざっとメモしておきたい。

 1曲目の「Evolution of Life」は、冒頭で女性ヴォーカルをフィーチャーし、ゆったりとしたインド風(中近東?)な、エスニックなアシッド感に満ち満ちた雰囲気に始まる。やがて流れるように沖縄音楽が登場し、これがゆったりとした盛り上がりを築き、ひとつの印象的なハイライトを形成しているようだ。続いてロマンチックでアンビエントくさいムードの中、パンルート風な笛をフィーチャーしたフォークロア風な音楽となり、荘厳なコラールでしめくられる。
 2曲目の「History of Gaia」はインドの世俗音楽のような雰囲気をもった女性ヴォーカルから始まり徐々にスペイシーなアンビエント・サウンドに変貌していき、後半は美しいアダージョ風な音楽になる。浄化されるように美しい雰囲気が次第に暗雲がたちこめるような気分に変化していくあたりが聴き物だが、これも再びコラール風な音楽でしめくくられる。
 3曲目の「Art」は、ディスク1冒頭の雰囲気にもどり、無調風なアコピをバックに様々な声がコラージュされる。日本語による「最後の審判....云々」の部分はなかなか凄みのあるコラージュだ。続く「Response」は、いくつかの声、歌が重層的に錯綜する、さながら世界各国のエスニックな歌声のコラージュといった趣で、ちょっとメシアン的な極彩色の世界を思わせたりもする。最後の「Light」は、再びコラール風な音楽で、ちょっと映画音楽での坂本を思わせるムードと12音風なアブストラクトな音響が交互に登場させつつ、再び声のコラージュされると、マーラー風なコーダで結ばれる。

 といった感じだが、ディスク1は時間(縦)軸で構成された音楽であったの対し、こちらは水平(横)軸で広げた音楽ということができるかもしれない。総体的には坂本による20世紀地球音楽レポートといったところなのだろうか。こういう音楽での坂本のホギャブラリーの多彩さはやはり凄いものがあるし、その料理も仕方も水際だったものがあるが、「だからなんなの?」という感も正直申してなくはない。沢山の音楽的情報がここにあり、それが要領よくまとめられていることは感じられても、それ以上の胸に迫るものがないという感がつきまとうのである。ついでにいえば、もう少し刈り込んでCD一枚に収まるくらいの長さにした方がよかったとも思う。
コメント
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