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マハビシュヌ・オーケストラ/ザ・ロスト・トライデント

2005年10月20日 19時43分55秒 | JAZZ-Fusion
 1999年に発掘されたマハビシュヌ・オーケストラの幻のサード・アルバム。ライナーを読むと当時のマハビシュヌは、バンドの発展に伴って決まっておこるバンドメンそれぞれの自我の拡大に伴うエゴの衝突を起きていたらしく、結局、あらかた収録の終わっていたスタジオ第3作はつめの段階でメンバーの意見が折り合わずお蔵入り、契約履行のためにライブ盤「虚無からの飛翔」を出した....ということらしい。「虚無からの飛翔」は未発表曲3つで構成されていたが、どうして既発のマテリアルのライブ演奏が収録されなかったのか、当時はいろいろ物議をかもしだしたらしいのだが、結局は発表することなくお蔵入りとなった幻のサード・アルバムの落ち穂拾いだったワケである。

 さて、このところマハビシュヌのあれこれ聴いているところであり、これも久しぶりに聴いてみたというワケだが、発売当初「なんでこんなに凄い作品をお蔵入りせにゃならんのか?」という印象はかわらないものの、第1作、第2作とクロノジカルに聴いていくと、スリリングかつハイテンションなソロの応酬は確かに凄いものがあるんだけど、マハビシュヌらしいエキセントリックな緊張感のようなものは、やはりかなり後退してしまって、どっちかというと練達の職人たちが、確立したフォーマットの中でそれぞれの腕を競っているだけ....などといったらいい過ぎになるが、もはや目標はテクニックだけみたいな袋小路に突入してしまっていることも実感するのも確かなのだ。これが普通のフュージョン・バンドだったら、もうこれで充分なのかもしれないが、マハビシュヌの場合、最初が最初だっただけにもうひとつ突き抜けものを期待していまうのである。

 収録曲は6曲、うち統帥マクラフリンの曲は3曲で、他の3曲はハマー、グッドマン、レアードが担当しているが、やはり聴きどころはマクラフリンの3曲だ。「ドリーム」は、タイトル通り文字通り夢見心地な冒頭の3分ほどで、すぐさまアップテンポでスリリング、凄まじいインタープレイとなる。込み入ったリズムをもったテーマ、ソロの合間の複雑なキメの間をぬって、グッドマン、マクラフリン、ハマーの順でソロが登場する。凄い演奏なのだが、それまでのマハビシュヌできかれたような、壮絶な演奏からふと浮かび上がる異世界の情景みたいなものが、この音楽からはどうも感じれられないのはちと惜しい。
 「トリロジー」は文字通り3部構成で、パート1はウェストコースト風に牧歌的なムード、パート2はギターとヴァイオリンのユニゾンで奏でられるちょっとインドっぽいミディアム調。パート3は「ドリーム」のハイライト部分に似た感じのハイテンションなパート。前半はグッドマンとハマー、後半はハマーとマクラフリンのそれぞれのソロの応酬でスリリング進行。後半のハマーを後年トレード・マークにもなるシンセにギター・ライクなソロが登場。
 「ジョンズ・ソング#2」は本作中、もっともマハビシュヌを感じさせる曲で、前2曲のようなもってまわった構成はとらず、冒頭からハイスピードな演奏でスタート。エキゾチックなムードをたたえた緊張感あるムードはいかにもマハビシュヌだし、ソロもテーマに沿った、いわば楽曲に奉仕しているプレイなのは特筆すべき点だろう。きっとマクラフリンとしてはこういうのをもっとやりたかったんだろうけど、他のメンバーが「前に沢山やったからもういいじゃん」とかいったんだろうな(笑)>
コメント
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