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坂本龍一/リトル・ブッダ(soundtrack)

2005年10月13日 22時19分38秒 | サウンドトラック
 昨日、久しぶり聴いた「嵐が丘」がとてもよかったので、本日は坂本が作った同時期の映画音楽としては、「嵐が丘」以上に知名度も評価の高い「リトル・ブッダ」の方を聴いてみました。特定の音楽に対するモチベーションが上がっているせいではあると思うんですが、久しぶりに聴いてみたところ、これは素晴らしいです。なんでこんな素晴らしい音楽、これまで放置しておいたのだろうって感じ。
 一聴してぱっとしないまま放置してあった作品が、なんかのきっかけで、俄然、楽しめるようになる、或いは音楽が理解できたような気持ちになるということはよくあることですが、これもそのひとつかも....。こういうのはこと音楽に限らずいろいろな場面でありますが、こういう瞬間というのはとてもうれしいもんです。

 さて、この作品ですが、ご存じベルナルド・ベルトルッチ監督とのタッグによる第3作。映画の方は見ていませんが、おそらく坂本の映画音楽としては最高傑作の部類でしょう。音楽的な感触としては昨日の「嵐が丘」と基本的には共通していて、坂本らしい「痛ましいほどに美しい旋律」をベースに、「嵐が丘」のアイリッシュ・トラッド風味に対して、こちらはインド音楽がちらほらと顔を出すという感じです。ただし、スケール感はこちらの方が一回り大きくて、「嵐が丘」の情念に対し、こちらは悠久のスケール感とか運命論的巨大な力のようなものが伝わっくるのが特徴でしょうか。それにしても、坂本のオーケストレーションはなんといっても弦が命ですね。とにかく独特の旋律を美麗に奏でる弦の動きは絶品。時にイタリア的に歌い上げてしまうのは、ベルトリッチ監督の嗜好を配慮してかもしれませんが、この作品や「シェルタリング・スカイ」の大きな特徴です。

 曲としては、問答無用の美しさで魅了される「メイン・タイトル」「エヴァンズ・フェネラル」の他、「レッド・ダスト」の巨大でエキゾチックなスケール感。生オケとインド音楽のテクノのフュージョンみたいな「エクソダス」なども印象にの懲りました。あと、特筆すべきは声楽付きで演奏される「エンド・タイトル」ですかね。これの壮絶な美しさといったら、ちょっと言語を絶するものがあって、聴いていて鳥肌立ちました。坂本が自らの作品にオペラチックな声楽を導入するというのは、ずいぶん昔から、あれこれとトリッキーな形で試みでいましたけれど、基本的にはこういうことをストレートにやりたかったんだろうなぁと妙に納得しちゃいました。後半のシェーンベルクの「浄夜」を思わす、まさしく浄化されたような雰囲気などもの凄く感動的。現在、「これって、間違いなく坂本龍一の最高作じゃ~」とか思ってるところであります。
コメント (1)
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