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チャイコフスキー幻想序曲「ロミオとジュリエット」/マゼール&BPO

2005年10月02日 14時22分36秒 | クラシック(一般)
 一昨日、購入したマゼールとBPOによる初期録音集から、本日はディスク7を聴いてみた。このディスクにはチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」と交響曲第4番が収録されている。どちらもチャイコフスキー作品としては、もっとも好きな部類に入るからだ。特に「ロミオとジュリエット」は、あまり深みのようなものはないが、ロマンティックで壮麗な旋律と派手なダイナミクスが巧い具合にバランスしたチャイコフスキー的な特性がよく発揮された曲で、個人的には「大好きな作品」な部類に入る。

 演奏を聴いてみると、緩急の差を大きくとった非常に表現主義的な激しい演奏という印象を受けた。前半部分は比較的おとなしめ、旋律もあっさりうたい、「諍いの音楽」になるとテンポをぐっと上げて、瞬間湯沸かし器のようにホットに舞い上がるという感じだし、続く「愛の主題」では弛緩するぎりぎりのゆったりとしたたたずまいで進み、再び登場する「諍いの音楽」ではテンションがぐぐっと上がるという具合に、とにかく振幅の幅が広い演奏なのである。もちろん最後に壮麗に再現される「愛の主題」では、先日ドラマチックさの方にも手抜かりはないが、やはり音楽が生き生きしているのは「諍いの音楽」の方だ。これは解釈云々というよりは、マゼールの若さ故の結果だと思う。そもそも「ロミオとジュリエット」はこうした青臭さがとてもよく似合う音楽なのだ。

 ただ、この演奏、57年収録ということでモノラルなのがいかんせん惜しい。こういう演奏であればデジタル録音でなくともせめてステレオ録音で聴きたかったところだ。マゼールは確かテラーク・レーベルでこの曲をクリーブランドとともに80年前後に再録していたはずだが、あちらは録音こそ極上だったものの、いかんせん演奏はすーすー流れるようなまるでカラヤンのエピゴーネンのよう仕上がりだったので、この曲のダイナミズムというのはイチイチ楽しめなかった。この演奏の収録がもう1,2年遅かったらと惜しまれるところである。

 ちなみに交響曲第4番の方は60年収録のステレオ録音で、60年としては並の水準だと思うが、モノラルの後だとさすがにホールの残響や広がりがよく感じとれる。これもテラークでクリーブランドと再録している。第4楽章大爆発はこの時期らしいものといえそうだが、全体としてはテラークの時と大差はない印象を受けた。 
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