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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

KAREL BOEHLEE TRIO / Switch

2005年04月26日 22時15分49秒 | JAZZ-Piano Trio
 ヨーロピアン・ジャズ・トリオのピアニスとして知られるカレル・ボレリーのデビュウ作です。録音は84年ですから、ヨーロピアン・ジャズ・トリオより大分前の作品ということになりますか。ネットで調べるて見ると、彼の最高傑作との評もあり、ほんじゃぁ、EJTはどうかというと、非難轟々々々、ほとんどサンドバック状態でした(笑)。うがった見方でしょうけど、あれを非難する人達って、どうも音楽そのものが悪いっていうより、とにもかくにも、女性をターゲットにしたとおぼしき、オシャレで軟派なあのセールスの仕方が気に食わなんのだろうな....と思ったりしてるんですが、違うかな。

 さて、内容ですが、EJTの時のプレイに比べると、若さ故なのか、良くも悪しくも音楽主義的で、技巧追求に走っている感じがします。彼のプレイはエヴァンスを甘くしたような繊細さと洗練、後、チック・コリア的なスピード感が特徴だと思いますが、EJTでは前者の特徴が全面に出て、このアルバムでは後者が鮮明になっているといえなくもないと思います。ただ、まぁ、EJTの基本的なコンセプトはボレリーというより、ベースのフランス・ホーバンのものかもしれないので、ボレリーが入っているからといって、一緒くたにするのも、まぁ、大雑把するぎる話かもしれませんが。

 演奏としては、2曲目に収録されたタイトル曲が良かったです。オリジナル作品でちょっと暗めの叙情がいかにもヨーロッパ的ですが、中間部ではフュージョン風なリズム、展開となるあたりの柔軟さが、ボレリーの才気を感じさせます。あと5曲目の「J.E.S.T.」と8曲目の「ユナイテッド・ブルース」は、シャープなリズムのアレンジがチック・コリア風でちょっとアコースティック・バンドを聴いているような感じもする演奏で、これも良かったです(ドラムがもう少しシャープだともっと良かったんですが....)。「枯葉」「サマータイム」「ミスティ」といった大スタンダードは、いつものセンスでさらりとやってますが、随所でちょっとしたリズムの仕掛けを入れるあたりのセンスもまた彼らししいといえるでしょうね。

 あっ、そうそう、カレル・ボレリーもオランダ人ってことで、数日前に取り上げた、DIRK BALTHAUS TRIOと共通するような、非常に軽快で、洗練された聴きやすさを持ってます。こういうセンス好きだなぁ。
 
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FOURPLAY/Journey

2005年04月26日 00時01分31秒 | JAZZ-Fusion
 昨年出たフォープレイの8作目で、目下の最新作です。このバンド、当初もう一枚つくればめっけものくらいに思ってたくらいですが、ギターがリー・リトナーからラリー・カールトンへスウィッチしてからでさえ、5作目となる訳ですから、このスーパー・バンドは、よほどメンバー間の相性が、音楽同様スムースで相性が良いんでしょうね。
 大体、大物と呼ばれてるミュージシャンは、時が流れるにつれ、音楽的な自我が肥大化してしまい。なにをやっても自分の刻印をベタベタと刻みこむようなタイプになってしまいがちですよね。例えば、ビートルズの「フリー・アズ・ザ・バード」なんて、往年のビートルズっていうより、明らかに「ジョン+ポール+ジョージ+リンゴの音楽」にしか聴こえなかった....。しかし、このフォープレイの凄いところは、これだけのメンツが揃いつつ、個々のメンバーは完璧に4分1に徹し、フォープレイの音楽に奉仕している点です。

 この8作目でもそうしたバンド・ポリシーは不変です。とにかく、ワンパターンといわれようと、スカスカといわれようと(笑)、彼らが90年代にめっけたフォープレイというバンドの音楽に向かって黙々と奉仕しているのは、けっこう希有な例だと思うんですが、どうでしょうか。私のひいき目かな。
 とはいえ、そんな不変な彼らも3作目から6作目あたりは、もはや音楽的に完成しつくしてしまい、なんか袋小路に入ってしまったような飽和感を感じさせたのも事実で、かくいう私自身も、かつてほどこのバンドに熱意を持てなくなったしまっていたのですが、前作ではレーベルを移籍して心機一転したのが幸いしたのか、1~2作頃を思わせる活気というか、新鮮さのようなものが甦ったような気がします。

 とりあえず、本作はここ数作の中では一番良い出来ではないでしょうか。このバンドに常々使われる形容ですが、まさに極上です。ただ、ここまでアンサンブルの洗練度を上げ、フレーズを磨き込んでいくと、その音楽はもはやジャズともフュージョンとも呼べないような気もしますが(笑)、ともあれ、極上のBGMであることは間違いないところです。
 もうちょっと具体的なことも書いておきましょう。今回は随所に現れるボブ・ジェームスのストリング・シンセと最高に気持ちよいです。また、ネイザン・イーストのスキャット・ヴォーカルは初期の頃はお遊びでしたが、最近はすっかりフォープレイのメルクマールになっていて、これまた本作では絶妙なタイミングで、現れては消えるのが実にいい感じ。曲としては、冒頭のスティングの曲はいわずもがなで、打ち込みリズムとフォープレイの共演ってな感じの「Play Around It」は実に新鮮でしたし、ホブ・ジェームスらしい仕掛けをラリー・カールトンが心地よく裏切る「From Day One」とかおもしろかったです。ついでに、「Rozil」はフォープレイ流のマリン・ミュージックで、これもとても良い感触でした。

 そんな訳で、フォープレイまだまだイケます。
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