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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

デイブ・ブルーベック/タイム・アウト (SACD)

2005年04月21日 20時34分35秒 | JAZZ-Piano Trio
 なにをかいわんやの名盤です。「テイク・ファイブ」は某CM効果もあって、目下の日本では、「モーニン」とか「枯葉」あたりを抜いて、おそらく一番有名なジャズ・ナンバーなんじゃないですね。かくいう私も、1970年代初頭頃にこれのシングル盤を購入したことがあって、おそらくこれが私が一番最初に購入したジャズ・レコードだったように思います(ちなみに次がマイルスの「フォア&モア」)。今回はこれのSACD盤を購入してきました。

 私がこれまで聴いてきたCDは、80年代前半くらいに購入したもので、さすがに昨今のリマスタリングで音質を上げたものと比べると、カッティング・レベルは低いし、音像はボケ気味という印象を受けるような音質でしたが、このSACDでは1曲目の「トルコ風ブルーロンド」のイントロで聴こえるモレロのシンバルの音のリアルさからして違います。金物っぽく輪郭がくっきり聴こえるというよりは、ライド・シンバル特有の音の減衰が良く聴きとれる感じです。また、デスモンドのサックスはもともと音の角がまるいせいで、なんとなくピアノ・トリオのなかに埋も気味な場面がなくもなかったですが、SACDでは終始その存在感がくっきりしているように感じましたし、ベースやバスドラムもくっきりと聴こえます。まぁ、要は分離が良くなったということなんでしょうが、場の空気のようなものまで感じられるように聴こえるのは、SACDという器のおかげなんでしょうね。

 という訳で実に久々に聴いた「タイム・アウト」ですが、個人的には「テイク・ファイブ」より、「トルコ風ブルーロンド」の変拍子と4ビートが錯綜する部分とか、5曲目「キャシーズ・ワルツ」のリズムとピアノが複音楽風になるあたりのおもしろさが好きですね。そうそう、あと改めて再認識したのは、デスモンドのアルト・サックスの歌心。ブルーベックのつくるテクニカルな仕掛けを、この人が吹いたからこそ、このカルテットは単なるテクニカルな実験ジャズではなく、ジャズ的リラクゼーションに満ちた音楽になったってこと。まっ、このあたりの理屈はともかく、オッサンになってくると、とにかくこういうサックスは沁みます。

 余談ですが、アルバム聴きながら、今回またしても「えっと、「アンスクウェア・ダンス」は何曲目だっけ?」と探してしまいました。LPも、CDも必ず間違えて探してたんですよね。もちろん、この曲が入っているのは、「タイム・アウト」じゃなくて「タイム・ファーザー・アウト」なんですけど、実は前述のシングル「テイク・ファイブ」のB面が「アンスクウェア・ダンス」だったもんで、その時の印象が強烈で未だに混同しちゃうようです。きっと、もう直らんだろうなぁ。
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マンハッタン・トリニティ/ミスティー

2005年04月21日 02時03分04秒 | JAZZ-Piano Trio
 マンハッタン・トリニティについては、「ラブ・レターズ」という2枚目を既に聴いていますが、これは多分それに続く第3作。前作同様、本作なんともオシャレなジャケや大スタンダードを中心にした選曲など、いかにも日本初の舶来ジャズという感じですがすから、ひょっとするとスクウェアなジャズ・ファンからは非難の嵐か、完全無視状態なのかもしれませんが(笑)、やっつけ仕事であれ、商業主義であれ、ひとときの寛ぎをもらせてくれるものであれば、ジャズとして満点でなくとも、とりあえずは歓迎ではあります。

 ピアノのサイラス・チェスナットは、ウィントレン・マルサリス絡みで有名になった人のようですが、美音、軽快なスウィング感、メロディアスで洗練されたスタンダード解釈といった点に特徴があると思います。同様にマルサリス絡みで知名度を上げたケニー・カークランドやマーカス・ロバーツといった割と求道的な人達に比べると、ジャズ的な愉悦感のようなものを強く感じさせるのも、彼の特徴のひとつといえるかもしれません。その意味では、この人割と「21世紀のハンク・ジョーンズ」みたいな印象があります(ちょっと褒めすぎですが-笑)。
で、このピアノを支えるのが、ルイス・ナッシュとジョージ・ムラーツが刻む小気味よくてスティディなリズム。これがチェスナットのスタイリッシュなピアノと実によくマッチして、ある種の小気味良さだとか、きりっとしたプロポーションのようなものを、このトリオに与えているんですね。そこがいい。

 今回の作品も基本的な路線は前作と不変ですが、これまでの作品と変化を出すためか、ややブルージーでアーシーばかり作品を選んでいるようです。私としては前作のようなメロディックなスタンダードばかり集めた方が、このトリオに素性にあっていると思いますし、個人的に好みでもあるんで、今回はちょい不満がない訳でもないですが、まぁ、前作の「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」の路線で「ミスティ」や「テンダリー」をやったり、ちょいとコンテポラリーなボサ・ノヴァ風アレンジの「スルー・ザ・ファイアー」が楽しかったから、許すとしましょう(笑)。
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