初めて聴く指揮者です。1959年生まれの45才、カラヤンやバレンボイムの助手として下積みして、小屋を主体に修行をしてきたようで、既にバイロイト・デビューもしているようですから、きっと久々に出た独欧系の大型新人指揮者なんでしょう。なるほど、なかなか素晴らしい演奏です。実はコレ、中古盤で購入してきたのですがも大当たりでした。
曲目は派手な演奏効果を持つ「タンホイザー」だとか「オランダ人」、あと「リエンツィ」あたりを避けて、「マイスタージンガー」、「ローエングリン(2曲)」、「パルシファル(2曲)」、「トリスタンとイゾルデ(2曲)」で構成しているのも、ティーレマンのワーグナーに対するそこはかとない自信が感じられたりする選曲といえるかもしれません。
最近聴いた、シノーポリやレヴァインのワーグナー集(といってもこれらも大分前になってしまいましたが-笑)は、一聴すると、確かにおもしろかったり、新鮮だったりはしたんですが、何回か聴くと妙に分析的なところが鼻についたり、変なところでダイナミズムを強調して作為性を感じさせたりして、結局はベームやカラヤン、ショルティといったいにしえの大指揮者の演奏に戻ってしまったりしたものですが、ティーレマンの演奏は気をてらうことなく、ストレートにワーグナー的な世界を開陳しているのに好感がもてます。また、ワーグナーだからといって、ことさらいきり立つことなく、むしろ淡々としつつも、単調にならず随所に瑞々しさを感じさせるあたりもポイント高いです。
特に素晴らしいのは「トリスタン」。旋律の歌わせ方は、主旋律とそれにからみつく副旋律のバランスなどよくよく聴けばけっこうモダンなところもありますが、全体からすればオーソドックスそのもの。濃密であり、ドラマ性も充分でワーグナー的世界を堪能させます。「愛の死」などハイライト直前で、かみにめるように旋律を歌わせるあたりの芸も細かい、思わず聴き惚れてしまいました。他の曲もほとんどなんの違和感もなく、「これがワーグナーだ」といわんばかりの演奏で、とても楽しめました。前述の通り、こういう当たり前に良いワーグナーって、最近出会ってなかったもので、個人的には収穫でしたね。
そうそう、最後にオケのフィラデルフィアについてですが、ザヴァリッシュの薫陶なんでしょうか、このアメリカらしいとしかいいようがないオケが、けっこうドイツっぽい音を出しているのは意外でした。ホールトーン重視な録音のせいもあろうかと思いますが、ちょっとくすんだようだ落ち着きあるトーンは、ムーティやオーマンディの頃と比べると、オケそのものが様変わりしていることを感じさせました。
PS:さっき調べてみたら、この人シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」録音してるじゃないですか、このワーグナーからすると、かなり期待できそうなんで、さっきアマゾンで、思わずワン・クリックしちゃいました(笑)。
曲目は派手な演奏効果を持つ「タンホイザー」だとか「オランダ人」、あと「リエンツィ」あたりを避けて、「マイスタージンガー」、「ローエングリン(2曲)」、「パルシファル(2曲)」、「トリスタンとイゾルデ(2曲)」で構成しているのも、ティーレマンのワーグナーに対するそこはかとない自信が感じられたりする選曲といえるかもしれません。
最近聴いた、シノーポリやレヴァインのワーグナー集(といってもこれらも大分前になってしまいましたが-笑)は、一聴すると、確かにおもしろかったり、新鮮だったりはしたんですが、何回か聴くと妙に分析的なところが鼻についたり、変なところでダイナミズムを強調して作為性を感じさせたりして、結局はベームやカラヤン、ショルティといったいにしえの大指揮者の演奏に戻ってしまったりしたものですが、ティーレマンの演奏は気をてらうことなく、ストレートにワーグナー的な世界を開陳しているのに好感がもてます。また、ワーグナーだからといって、ことさらいきり立つことなく、むしろ淡々としつつも、単調にならず随所に瑞々しさを感じさせるあたりもポイント高いです。
特に素晴らしいのは「トリスタン」。旋律の歌わせ方は、主旋律とそれにからみつく副旋律のバランスなどよくよく聴けばけっこうモダンなところもありますが、全体からすればオーソドックスそのもの。濃密であり、ドラマ性も充分でワーグナー的世界を堪能させます。「愛の死」などハイライト直前で、かみにめるように旋律を歌わせるあたりの芸も細かい、思わず聴き惚れてしまいました。他の曲もほとんどなんの違和感もなく、「これがワーグナーだ」といわんばかりの演奏で、とても楽しめました。前述の通り、こういう当たり前に良いワーグナーって、最近出会ってなかったもので、個人的には収穫でしたね。
そうそう、最後にオケのフィラデルフィアについてですが、ザヴァリッシュの薫陶なんでしょうか、このアメリカらしいとしかいいようがないオケが、けっこうドイツっぽい音を出しているのは意外でした。ホールトーン重視な録音のせいもあろうかと思いますが、ちょっとくすんだようだ落ち着きあるトーンは、ムーティやオーマンディの頃と比べると、オケそのものが様変わりしていることを感じさせました。
PS:さっき調べてみたら、この人シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」録音してるじゃないですか、このワーグナーからすると、かなり期待できそうなんで、さっきアマゾンで、思わずワン・クリックしちゃいました(笑)。