主流派のジャズ・ピアニストの若手で一番好きな人がこの人。一般的に若手ナンバー・ワンといったらブラッド・メルドーということになるのかもしれませんが、私はこの人の方が好き。何故かといったら、巧みなスタンダード・ナンバーの解釈と歌い回し、フットワークの軽いスウィング感などの点があげられますが、やはりなんといっても、これぞジャズ的なオーソドックスさを守りつつモダンさがある点でしょう。去年はピアノ・トリオといえばビル・チャーラップって感じで、ほんと聴きまくってました。
さて、これですが、レギュラー・トリオで出した一昨年の作品です。このトリオの最新作はレナード・バーンスタン集でしたが(チャーラップのセンスの良さが出た企画でしょ)、一作前のこの作品では「スターダスト」でお馴染みのホーギー・カーマイケルの作品集で、曲によっては、様々なゲストに向かえて作られているところがおもしろいですかね。登場するのはヴォーカルのトニー・ベネット,シャーリー・ホーン、サックスのフランク・ウェス、そしてギターのジム・ホールとけっこう豪華で、初期の作品をのぞけば、これまでひたすらオーソドックスなピアノ・トリオを追求してきたチャーラップとしては、フィル・ウッズの弟子とかいうジョン・ゴードンとのデュオ作(そういえばこのアルバムでもスターダストやってたな)と並ぶ異色作といえるかもしれません。
で、注目のゲスト参加曲ですが、トニー・ベネットをフィーチャーした2曲目「アイ・ゲット・アロング・ウィズアウト・ユー・ヴェリー・ウェル」はテーマの前半部分をピアノのみをバックにベネットが渋くきめてます。テーマ後半~中間部ではトリオになるという趣向ですが、一見、ベネットをフィーチャーしつつ、次第にチャーラップ色に染まっていくあたりはさすが。一方、シャーリー・ホーンが歌うのは大スタンダード「スターダスト」ですが、このくらい枯れた「スターダスト」もないだろうというくらい淡々とした仕上がりで、まるで深々と冷えきった真冬の星空を見上げているような感じ(笑)、テンポも限界まで遅いです。ただ、これが実にいいんですね。中間部のピアノの味わい深さなど、ちょっと筆舌に尽くしがたいものがあります。
フランク・ウェスは2曲参加していて、いずれもカーマイケルらしいノスタルジックな雰囲気があります。ジム・ホールをフィーチャーした5曲目「トゥー・スリーピー・ピープル」はまるで室内楽のような演奏。ビル・エヴァンスとの共演の時もそういうところありましたが、あれよりそういう感じが濃厚です。
残るレギュラー・トリオによる演奏も、もちろん素晴らしい出来で、「ジュビリー」「アイ・ウォーク・ウィズ・ミュージック」「ワン・モーニング・イン・メイ」あたりの快調なスウィング感はいかにもチャーラップですし、ミディアム~スローの「我が心のジョージア」も極上な雰囲気でグー。ラストを飾るピアノ・ソロ「スカイラーク」は、ヴィーナス・レーベルでの名演「いそしぎ」を思わせる見事なピアノ・ソロでいうとなしです。実は私、前作「星の降る夜」がやや一本調子だった気がして、いささか不満だったんですが、今回は十二分に満足です。
それにしても、このトリオまるでひとつの楽器の如き息の合いようですね。そのあたりも聴きどころです。
さて、これですが、レギュラー・トリオで出した一昨年の作品です。このトリオの最新作はレナード・バーンスタン集でしたが(チャーラップのセンスの良さが出た企画でしょ)、一作前のこの作品では「スターダスト」でお馴染みのホーギー・カーマイケルの作品集で、曲によっては、様々なゲストに向かえて作られているところがおもしろいですかね。登場するのはヴォーカルのトニー・ベネット,シャーリー・ホーン、サックスのフランク・ウェス、そしてギターのジム・ホールとけっこう豪華で、初期の作品をのぞけば、これまでひたすらオーソドックスなピアノ・トリオを追求してきたチャーラップとしては、フィル・ウッズの弟子とかいうジョン・ゴードンとのデュオ作(そういえばこのアルバムでもスターダストやってたな)と並ぶ異色作といえるかもしれません。
で、注目のゲスト参加曲ですが、トニー・ベネットをフィーチャーした2曲目「アイ・ゲット・アロング・ウィズアウト・ユー・ヴェリー・ウェル」はテーマの前半部分をピアノのみをバックにベネットが渋くきめてます。テーマ後半~中間部ではトリオになるという趣向ですが、一見、ベネットをフィーチャーしつつ、次第にチャーラップ色に染まっていくあたりはさすが。一方、シャーリー・ホーンが歌うのは大スタンダード「スターダスト」ですが、このくらい枯れた「スターダスト」もないだろうというくらい淡々とした仕上がりで、まるで深々と冷えきった真冬の星空を見上げているような感じ(笑)、テンポも限界まで遅いです。ただ、これが実にいいんですね。中間部のピアノの味わい深さなど、ちょっと筆舌に尽くしがたいものがあります。
フランク・ウェスは2曲参加していて、いずれもカーマイケルらしいノスタルジックな雰囲気があります。ジム・ホールをフィーチャーした5曲目「トゥー・スリーピー・ピープル」はまるで室内楽のような演奏。ビル・エヴァンスとの共演の時もそういうところありましたが、あれよりそういう感じが濃厚です。
残るレギュラー・トリオによる演奏も、もちろん素晴らしい出来で、「ジュビリー」「アイ・ウォーク・ウィズ・ミュージック」「ワン・モーニング・イン・メイ」あたりの快調なスウィング感はいかにもチャーラップですし、ミディアム~スローの「我が心のジョージア」も極上な雰囲気でグー。ラストを飾るピアノ・ソロ「スカイラーク」は、ヴィーナス・レーベルでの名演「いそしぎ」を思わせる見事なピアノ・ソロでいうとなしです。実は私、前作「星の降る夜」がやや一本調子だった気がして、いささか不満だったんですが、今回は十二分に満足です。
それにしても、このトリオまるでひとつの楽器の如き息の合いようですね。そのあたりも聴きどころです。