昨日お預かりしたのは永年愛用して来たFMチューナーのステレオ復調機能が停止して仕舞ったと
伺った Kenwood の L-02T で初めて取り組む機種となった。 この種のチューナーの修理、改造
に付きましてはこちらの HP https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い合わせ下さい。
12月1日 先ずは動作を確認してみた。 モノラル出力では特に問題は診られなかったがステレオ
出力では不明のノイズが載っていた。
この機種の回路を見れば見る程訳が判らなくなる。 これほど複雑なものにする意味が有るのか？
使われている三つのメーターの照明は何れも点灯せず、ダイアル・ポインターのランプも切れてい
た。 タングステン・ランプなので無理も無いが明かりが無いと可也寂しい感じがする。 予め回路
図から検波出力の場所を確認しておいたので、そこでの出力を聴いてみたが本体裏面に設けら
れた出力端子での音質より可也忠実度の高い出力が得られた。 MPX回路を試作したので明日
にも組み込んで動作を診てみよう。
メーターのランプの予備をお送り頂いたのでメーターを外すべく取り掛かったが、先ずは前面パネ
ルを外さねばならない様だがこれが嵌め込みの様な構造でビクともせず、先が危ぶまれた。
12月2日 朝一で前面パネルに取り掛かった。 苦労の末何とか外したが可也のホコリだった。
先ずデビエーション・メーターに取り掛かった。 メーターえのリード線4本がダイアル糸に近い。
ランプがムービング・コイルに近く神経を使う。
添えて頂いたランプは1本しか生きておらず、上の5本は全て切れていた。
メーター3つとダイアル・ポインターのランプを全て交換したがここまででどっと疲れて仕舞った。
12月13日 今回の機種の場合、音声回路にも多くのオペアンプが使われており自分では得意で
は無いのでMさんにお手伝い頂き作業を進めた。 ところがMさんからどもステレオの復調が上手
く行って無い様だと報告を受けMPXを担当した人間としては解せなかったが動作を診てみた。
19KHzの矩形波は問題無くでており、入力のパイロット信号に同期している様だったが確かにRL
の信号が分離されていなかった。 この回路はこれまでに何度も使っており不思議だったが別に
同じ回路を作ってみることにした。
12月16日 ご専門のHさんのアドバイスに従いIC1(TR7040)周りの信号や、電圧を確かめてみた。
先ず電源Pin2には-0.6～-1.0Vしか加わってなかった（電源Q3のEでは+6.1V）。 Pin29?(Fin)は
-6.3V。 Pin20の信号波形は下の通りで可笑しい。
信号源C14?(0.018μF)の出力側での信号は下の通りで、ここは正常と想われた。
Pin23の出力波形は周期が不安定な矩形波だった。 （下の画像）
Pin 3,4,5 は全て0Vで、Pin6にのみ下の様な信号が診られた。
12月17日 今朝も朝一で取り組んだがどうも何かが可笑しいと感じ始め気付いてみれば下の図に
記されたTR7040のPin番号が間違っていた。 （28と1が逆） 改めて電圧、信号を確認したが電源
電圧に問題は無かった。
Pin 3,4,5,6 にはロックされた38KHzのパルスが診られるハズだがロックはされて無い。
Pin 23には152KHzのノコギリ波が出力されるとのお話だったが、その周波数にも持っては行け
るがVCOがロックされている感じは無い。 （VCOのVR調整と共に周波数は自由に変わる）
その後先日試作したMPXに切り換えた。 前回は信号を採る場所が間違っていた。
こちらではパイロット信号にロックして、ステレオ表示のランプも点灯している。
上下はR/L両出力をオシロをX-Yモニターに切替入力した画像。
12月19日 IC1(TR7040)のPin3,4,5,6の出力波形。 同期が取れず下は周期を長くしたもの。
12月23日 MPX基板からの出力を何処に出すか悩んだ結果Fixed Out端子を使うことにした。 これ
は将来元の回路に簡単に戻せる様にとの考えからに他ならない。
組み込みヤレヤレと最終確認を行ってアレレとなったのは出力にハムの様な成分が載っていた。
信号の周期は概ね10mSec.だったが念の為先頃使い始めたオシロで周期等を確認したが約9.72m
Sec.だった。 （無変調のFMステレオ信号印加） これまでにも何度も使って来たMPX回路だがこれま
で何故気付かなかったのだろう？
12月24日
IC1、Pin 3
上：Pin3 下:Pin5
