”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

袋井の気候と人の手がネットを編む

2017-08-22 16:28:55 | お勉強

日本野菜ソムリエ協会名古屋支社で

「袋井市の生産者さんから学ぶ★賞とりクラウンメロンの舞台裏」

という講座が開催され、受講させていただきました。

講師は、袋井市 安井農園の安井孝政さん。

 

安井農園さんには見学に伺ったこともありますが、

まだまだ知らないことがいっぱいありました。

特に今回感じたことは「人の手」。

順にご紹介させていただきますね。

  

1安井農園さんの環境

 ・水田が周囲に広がっており、日光を遮るものがない。

 ・水田のおかげで、夏場でも気温が2~3℃低い。

この環境の中に、南側の屋根部分が北側よりも大きく、左右が不対象になっている

スリークォーター型温室が、東西に並んでいます。

太陽光を十分に取り込める環境ですね。

  

  

2大事なのは土づくり

クラウンメロンは、1回作るたびに、土壌消毒を行います。

消毒には農薬は使わず、蒸気の熱で土を蒸すことにより殺菌を行います。

苗を植える前に、土を手でこねます。

この練り方ひとつでメロンの良し悪しが決まると言われるほど、

熟練の技が必要です。

  

  

3苗を植えます

種まきから20日経った苗を植えていきます。

「苗作りは半作」という言葉があるように、メロン栽培において大変重要な部分です。

同じ日に種まきをしても、生育状況には差があります。

生育の具合を見て、植える場所を決めていきます。

また、夏は日差しが強く乾燥しやすいので、土を多くかぶせ、

冬は土から出すような形で植えるなど、季節によっても植え方を変えていきます。

  

  

4交配も人の手で

種まきから約50日で花が咲きます。

雄花の花粉を雌花に付けて交配を行いますが、

ここでも活躍するのはミツバチではなく、人の手です。

安井農園さんでは、毎日400もの交配を行います。

これをミツバチに任せられたらどんなに楽か・・・。

しかし、ミツバチは気まぐれで曖昧なので、人の手でひとつひとつ行います。

  

  

5一木一果

クラウンメロンは、1株にひとつの果実だけを生らせる栽培なので

最も良い果実だけを選び、残りは摘み取ってしまいます。

 

これは、お尻の部分がボコッと出ているため摘み取られた果実です。

   

しかし、もっとすごいのはこちら。

この小さい状態で、良いメロンになるかどうか判断され摘み取られたものです。

 

できるだけ、早い状態で摘み取った方が、木のストレスも少なくて済むわけですが、

この状態で判断できるのは、経験の賜物ですね。

 

  

6ひとつだけ果実を残したら、芸術作品へと仕上げていきます。

ヘタの形、ヘタの太さも品評会では評価のポイントとなります。 

  

 

こうして、最後の仕上げに入ります。

日差しから果実を守り、温度管理、水管理をさらに注意深く行うことにより、

色白の肌に美しいネットが編まれていきます。

  

  

生産者としての仕事はこれで終わりではありません。

250名の生産者様が持ち回りで、4月~6月に種採りを行い、

さらに良いメロンを目指して品種改良にも余念がありません。

  

あの美しいメロンのネットは、成長しようとするメロンの強い力に

硬くなった表皮が耐えられなくなってできたものですが、

ひと編み、ひと編み生産者様の手が作り上げたもの・・・。

そんなふうに思わせてくれた安井さんのお話とお人柄、

そして袋井のクラウンメロンに心から感謝申し上げます。

 

コメント
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