7月13日の日記に、湖国で起きた冤罪の疑いがきわめて濃厚な殺人事件、「日野町事件」について、大津地裁が死後の再審開始を決定したというニュースについて記しました。
死刑あるいは無期懲役の判決を下された被疑者の死後に遺族などによる再選請求に対して再々開始の決定されたのはおそらく初めてのこと。その意味で画期的な決定であったのですが、再審決定から一週間後の7月17日、大津地検はこの再審決定を不服として大阪高裁に即時抗告を行いました。
死後再審開始決定のニュースは全国紙でも大きく報じられていましたが、検察による即時抗告のニュースはベタ記事とは言わぬまでも小さな扱いでしたので、気づかれなかった方も少なくないのではないかと思います。GGIが購読している朝日新聞、社会面で簡単に、地方版で社会版におけるよりはやや詳しく報じていただけでありました。
大津地検の高橋和人次席検事は「詳細については現段階では控える」として即時抗告を行った理由は明らかにしていません。不遜というしかありませぬ。
今日の写真はこの新聞記事を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧になってください。
検察による抗告は十分に予想されたものでしたが、この検察側の抗告により、裁判はまだ延々と続くことになります。検察側の抗告に対する高裁による結論が出されるまでに数年、その結果再審が認められたとしても再審の審理に数年、再審で無罪とされても、検察側が最高裁に抗告してさらに数年・・・高裁で検察側の抗告が認められ再審開始の決定が取り消されると、弁護側が最高裁に抗告してさらに数年、最高裁はこの弁護側の抗告についてさらに数年の審理・・・
袴田事件について、GGIは6月13日の日記に、犯人とされた巌氏の姉である秀子さんは百歳まで生きていなければならないと書きましたが、決してジョークなんかではないのです。日本の裁判はやけに時間がかかる、人の一生を台無しにするぐらい異常に時間がかかるのです。人の一生を台無しにしても平気なのです。日野町事件の再審請求の原告、犯人とされたまま獄死した阪原弘さんの長男である弘次さんはいま57歳ですが、父親の無罪を勝ち取るためには、まだまだ長い年月が・・・・
日本の刑事裁判はこのように時間がかかることの主な原因は、いつまでも検察側の上訴権(上級審に異議を申し立てる権利)が認められていることにあります。
欧米では一般的に検察側の上訴権に対して制限が設けられています。すなわち、三審制の裁判において、一度無罪の判決が下された場合は、検察側が上訴することは許されていません。検察側は、有罪とされた場合には、その量刑の是非について争うことは許されますが、無罪判決が一度くだされれば、それが最終決定ということになるのです。
しかし、日本では無罪判決が下されても検察はあきらめません。ほとんどいってよいほど上訴を行い、上級審で検察の判断が間違っているとされるまであきらめません
ですから「名張毒ぶどう酒事件」の犯人とされ死刑が確定し、43年間獄中に会った末89歳で獄死した奥西克さんの場合、一審で無罪判決を受けたのに逆転有罪で死刑が確定、その後いったん再審開始が決定されてにもかかわらず検察の抗告により取り消されてしまったのです。けれども、欧米ではこのようなことは起こり得ないのです。一審の無罪判決、それで裁判は終了です。
再審の場合、欧米において検察側の上訴権はどうなのか、GGIには定かではりませんが、おそらく再審開始の決定に対しては検察が異議申立てを行うことは許されていないのではないでしょうか。
再審開始の決定に対して検察側が抗告できることを日本弁護士連合会は以前から問題視しており、たとえば2015年3月24日の静岡新聞は以下のように伝えています
《日弁連は「検察官の不服申し立て禁止」を主張してきた。刑事再審制度の改正意見書も提示。再審制度に明るい名城大の加藤克佳教授は「上訴権を否定し、次の段階の再審公判で審理を尽くすべき」と指摘する。》
上記の加藤教授の指摘は適切なものです。というのは、検察側がたとえ上訴権を与えられていなくても、再審が実際に開始されれば、再審公判の場で、無罪ではないとする検察側の主張を行い、立証に努めることができるからです。
日野町事件の場合、実際に死後再審の公判が行われ、「無期懲役の判決は間違いであった」として無罪の判決が下されたならば、現行の裁判制度への信頼を揺るがすことになりかねず、ひいては死刑制度の存続にも大きな疑問を突き付けることになりかねません。ですから検察側は、今後何としても再審開始を阻止しようとするでありませう・・・
このような検察の姿勢は、正義とはまったく無縁です。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
死刑あるいは無期懲役の判決を下された被疑者の死後に遺族などによる再選請求に対して再々開始の決定されたのはおそらく初めてのこと。その意味で画期的な決定であったのですが、再審決定から一週間後の7月17日、大津地検はこの再審決定を不服として大阪高裁に即時抗告を行いました。
死後再審開始決定のニュースは全国紙でも大きく報じられていましたが、検察による即時抗告のニュースはベタ記事とは言わぬまでも小さな扱いでしたので、気づかれなかった方も少なくないのではないかと思います。GGIが購読している朝日新聞、社会面で簡単に、地方版で社会版におけるよりはやや詳しく報じていただけでありました。
大津地検の高橋和人次席検事は「詳細については現段階では控える」として即時抗告を行った理由は明らかにしていません。不遜というしかありませぬ。
今日の写真はこの新聞記事を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧になってください。
検察による抗告は十分に予想されたものでしたが、この検察側の抗告により、裁判はまだ延々と続くことになります。検察側の抗告に対する高裁による結論が出されるまでに数年、その結果再審が認められたとしても再審の審理に数年、再審で無罪とされても、検察側が最高裁に抗告してさらに数年・・・高裁で検察側の抗告が認められ再審開始の決定が取り消されると、弁護側が最高裁に抗告してさらに数年、最高裁はこの弁護側の抗告についてさらに数年の審理・・・
袴田事件について、GGIは6月13日の日記に、犯人とされた巌氏の姉である秀子さんは百歳まで生きていなければならないと書きましたが、決してジョークなんかではないのです。日本の裁判はやけに時間がかかる、人の一生を台無しにするぐらい異常に時間がかかるのです。人の一生を台無しにしても平気なのです。日野町事件の再審請求の原告、犯人とされたまま獄死した阪原弘さんの長男である弘次さんはいま57歳ですが、父親の無罪を勝ち取るためには、まだまだ長い年月が・・・・
日本の刑事裁判はこのように時間がかかることの主な原因は、いつまでも検察側の上訴権(上級審に異議を申し立てる権利)が認められていることにあります。
欧米では一般的に検察側の上訴権に対して制限が設けられています。すなわち、三審制の裁判において、一度無罪の判決が下された場合は、検察側が上訴することは許されていません。検察側は、有罪とされた場合には、その量刑の是非について争うことは許されますが、無罪判決が一度くだされれば、それが最終決定ということになるのです。
しかし、日本では無罪判決が下されても検察はあきらめません。ほとんどいってよいほど上訴を行い、上級審で検察の判断が間違っているとされるまであきらめません
ですから「名張毒ぶどう酒事件」の犯人とされ死刑が確定し、43年間獄中に会った末89歳で獄死した奥西克さんの場合、一審で無罪判決を受けたのに逆転有罪で死刑が確定、その後いったん再審開始が決定されてにもかかわらず検察の抗告により取り消されてしまったのです。けれども、欧米ではこのようなことは起こり得ないのです。一審の無罪判決、それで裁判は終了です。
再審の場合、欧米において検察側の上訴権はどうなのか、GGIには定かではりませんが、おそらく再審開始の決定に対しては検察が異議申立てを行うことは許されていないのではないでしょうか。
再審開始の決定に対して検察側が抗告できることを日本弁護士連合会は以前から問題視しており、たとえば2015年3月24日の静岡新聞は以下のように伝えています
《日弁連は「検察官の不服申し立て禁止」を主張してきた。刑事再審制度の改正意見書も提示。再審制度に明るい名城大の加藤克佳教授は「上訴権を否定し、次の段階の再審公判で審理を尽くすべき」と指摘する。》
上記の加藤教授の指摘は適切なものです。というのは、検察側がたとえ上訴権を与えられていなくても、再審が実際に開始されれば、再審公判の場で、無罪ではないとする検察側の主張を行い、立証に努めることができるからです。
日野町事件の場合、実際に死後再審の公判が行われ、「無期懲役の判決は間違いであった」として無罪の判決が下されたならば、現行の裁判制度への信頼を揺るがすことになりかねず、ひいては死刑制度の存続にも大きな疑問を突き付けることになりかねません。ですから検察側は、今後何としても再審開始を阻止しようとするでありませう・・・
このような検察の姿勢は、正義とはまったく無縁です。
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グッドナイト・グッドラック!