UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

「地上に太陽を!」って?(その四):いまなぜ「核融合発電」なの?

2018-07-02 01:31:20 | 日記
昨日の日記では「核融合」についてGGIのいいかげん極まる説明を記し、たいへんご迷惑をおかけしました。もうしばらくご辛抱くださいませ

今日は「核融合」という技術の最終目標とであると思われる、核融合技術を利用した発電技術、すなわち「核融合発電」という名の、もうひとつの原子力発電、原発についての話です。

去る6月27日に開催された「核融合エネルギー連合講演会」の市民公開講演会では、「核融合発電」技術の特徴や長所についての説明も行われました。講演者による説明は以下のようなものでした

1 地球温暖化をもたらす二酸化炭素が発生しない

2 安定性に優れている。すなわち、核融合反応をもたらすための燃料(重水素や三重水素)の供給を止めれば核融合反応が停止するため、原理的に反応が暴走することは考えられない(つまり現存の原発のように核分裂反応を制御できずに大事故を起こすようなことはない、と言いたいのでありませう)

3 高レベル放射性廃棄物は生じない(現存の原発技術の大きな欠陥である高レベル放射性廃棄物の問題は存在しない、と言いたいのでありませ)

4 少量の燃料で大量のエネルギーが生み出される。すなわち、核融合反応での「燃料」1グラムで石油8トン分にも相当するエネルギーを生み出すことができる。

5 燃料とされる物質である重水素あるいは三重水素は事実上無尽蔵に存在している。すなわち重水素は海水1トンあたり33グラム含まれており、また三重水素は海水1トン中に0.2グラム深まれているリチウムを用いて容易に作ることができるため、(資源的には現存の原発に必要なウランとは異なり)ほぼ無尽蔵といえる。

6 低レベル放射性物質(核融合で生じた中性子を浴びた金属や三重水素は放射能を持つが、微弱なため安全に管理することができる。

みなさんはこの様々な特徴についての説明をどうお考えになるでせうか。GGIが考えますところ、この種々の特徴は現存の原発技術との比較を意識したものであると思われます。つまり「核融合発電」の技術は核分裂反応を利用した現存の「原発」技術よりもずっと優れた洗練された技術であると言いたいのありませう

GGIはこれらの説明を聞いていまして、もし説明のとおりであるとするならば、まことに結構づくめの技術であるということになるなあ、とは思ったのでありますが、どうしても腑に落ちない点がありました・・・

いったいぜんたい、このような巨大ともいえる「地上に太陽を!」とまで称される莫大な費用を要すると思われる前代未聞の技術、このような技術がいま本当に必要とされているだろうか、日常的に必要とされる電気をつくりだすためにこのような複雑極まる巨大技術が今、あるいは近い将来、ほんとうに必要とされているだろうか・・・という漠然とした疑問を感じたのです

言葉を変えて言えば、「核融合技術」あるいは「核融合発電」を追求し、その技術を実現することの社会的意義はどのようなものであろうか、という点がGGIには少なからず理解困難であったのです・・・

そこで講演後の質疑のときに、何人かの方がGGIには理解できないムズカシイ科学的な質問をされたのち、若干の質問を試みました

「私は科学に弱いので、今日の核融合や核融合発電についてのお話しで、これまでに考えらなかったすごい技術だなあと感心はしたのですが、よく理解できたとはとても申せません・・・ですが、ひとつだけ、どうもわたしどもには、気にかかる点と申しますか、よく理解できない点があるのです。それは大変優れた技術である可能性が大きいようには思われるものの、核融合や核融合発電という技術が有している社会的意義というものが私どもにはよく理解できないのです・・・いったいこれらの技術を開発し完成させることの社会的意義というのはどのようなものであるとお考えでせうか?」

すると予想しなかった意外な答が返ってきました

「(福島原発事故の後注目を集めるようになった、環境負荷が原発にくらべてずっと小さい)自然エネルギーは(天候に左右されるため)電力の供給量が安定していないという欠点がありますが、核融合発電の場合、電力供給は安定しており、自然エネルギーのようなことはありません」

GGIはこの答を耳にして「エッ」と思ってしまいました。なぜ講演者がこのような答をしたのか理解できませんでした・・・

いったい何のことだ?自然エネルギーが持っている欠点を解消するために「核融合発電」だって?どういうことなんだ・・・それが核融合発電技術の社会的意義なのか?分からんなあ、たったそれだけか、答は?いったい何を言いたいんだ?

あとであらためてこの講演者が言いたかったことはいったいどういうことなのだろうと考えてみました。おそらく講演者は「これまで説明したとおり核融合発電の技術は様々な欠陥を有している既存の原発の技術より明らかに優れた技術である。それだけではなく自然エネルギーの技術に認められる電気の供給量が不安定であるという欠点も核融合発電には存在していない。したがって核融合発電はベストの、一番優れた発電技術である。これが核融合発電を行うことの意義である」とでも言いたかったのでありませうか・・・

GGIが核融合技術が自然エネルギーの技術を意識したものだとは思ってもいませんでしたので、ややオツムが混乱していました。

自然エネルギーの技術はまだまだ発展途上、何も「核融合」という複雑で巨大なな術がなくても、将来的にはスマートグリッドの技術やAI(人工知能)や逐電技術など様々な最新の科学技術を活用して電力供給量を平準化して安定させることができる可能性が存在しているではないか、それに、たとえばドイツが自然エネルギーにシフトすることにより脱原発に成功したならば、「核融合発電」などという技術はなくてもやっていけるということになるではないか、そうなったら、核融合発電の技術は果たしてのどれほどの社会的意義を有していると言えるであろうか・・・

などなど、いろいろ考えてはみたものの、どうも答えがちぐはぐだなあ・・・どうも質問に正面から答えていないような気がしました。なぜ答えがちぐはぐなものになったのか、その原因を考えていましたら、実は講演者は質問の意味が分かっていなかったのではないか、あるいは「核融合発電」の社会的意義は何かという問題意識がほとんどなかったのではないか、と思い至りました。社会的意義などとい厄介な問題を正面から考えたことがほとんどないので、適当に「核融合発電」が有している長所を数え上げて、ただただ核融合発電の必要性を主張したかったに過ぎなかったのではないか・・・

頭脳明晰なる優秀な科学者や技術者たちの探究心を強く突き動かす一番の要因は、これまでに誰にも知られていなかった事柄を発見したい、あるいはこれまで存在していなかったモノを発明したい、技術または不可能と思われていた科学技術を創り出したい、という強い熱意と好奇心でありませう。そして、科学者たちのこのような好奇心や熱意は本質的に本来無目的なものである、したがって、科学技術はというものも、もともとは無目的なものなのではないか、というのがGGIの考えです。

ですから、自分が発見した事柄や創り出すことに成功したモノや技術が社会に何をもたらすかということは、社会的にどのような意義を有しているかという問題は、科学者や技術者にとっては視野の中心にはなく、このような問題には無関心であるとは言わないまでも、少なくとも二の次、三の次の問題に過ぎないのではないか、そのようなことよりも、とにかく、これまでに知られていなかったことを発見したり、これまでになかった技術を創り出すこと自体が何にもまして最大の関心事であり重要事なのではないかと思います。

ですから、講演された科学者は、内心で「社会的意義などということをいきなり言われてもなあ」とやや困惑して、GGIの質問にいささか的外れの場当たり的な答をしてしまったのではないかと思います。でも、正直申し上げて、核融合発電を「将来の人類のための夢のエネルギー」(講演会のチラシに記されていた文言)とまで唱えているのですから、やはり、GGIとしましては、ある技術が有する社会的意義はどのようなものであるかという問題意識を持って正面から答えてほしかったのです。

このようなことを取り留めもなく考えていましたら、世界初の原爆製造計画、あのマンハッタン計画に携わってオッペンハイマーをはじめとした優秀な科学者たちのことを思いだしました。

乱暴な言い方になるかと思うのですが、あの科学者たちもこれまでに人間が経験したことのない未曽有の技術であるが故に、原爆を製造するための技術を創り上げるために夢中で働いたのであり、その間、「社会的意義・影響」などという問題はほとんど眼中になかったのではないでせうか・・・

「原爆の父」と称されるロバート・オッペンハイマーでさえ、世界初の原爆実験を行う以前は、原爆という技術が持つ社会的インパクトをほとんど理解していなかったのではないかと思われます。ニューメキシコでの人類初の核実験に立ち会い、その実際の威力が想定をはるかに上回るものであったのを直に目にして驚愕したオッペンハイマーは、ヒンズー教の聖典を引用して『我は死神なり、世界の破壊者なり。』と言ったとされています。実際に原爆を爆発させてみて、自分たちが創り出した世界初の技術がもたらすものを目前で目にして、はじめて科学者たちは、新しい技術を追い求めるだけではなく、ある技術が社会に何をもたらすかを真摯に考え抜くことの大切さを痛感したのではないかとおもいます。

核融合エネルギー連合講演会の専門向けの講演会のサブ・タイトルは「核融合のロードマップ:今実現化へ向けて」と題されています。このタイトルは、核融合技術は今や夢物語や構想の段階にあるのではなく、実現を意識した研究開発に段階にあることを意味しています。昨日の日記に書きました国内最大の核融合装置JT60SAやフランスに建設にされている国際的な共同研究施設である世界最大の核融合装置などで得られる成果に基づいて、2050年ごろまでに世界初の「核融合発電炉」を稼動させたいと講演者は話されていました。

福島第一原発が設けられている(いた)地域の一つである福島県の双葉町には、原発事故が起きるまでは目抜き通りに大きな看板が掲げられていました。

「原子力は明るい未来のエネルギー」

そして「地上に太陽を!」とされているもう一つの原子力である核融合は、「将来の人類の夢のエネルギー」。あまりも似ているこの二つのフレーズ・・・GGIは複雑な思いを抱かざるを得ません。

などとクドクド・ダラダラ書いてきたこのGGIの「核融合日記」、結局はあいまいな結論しか申し上げることができませぬ。GGIには荷が重すぎる問題でもあり、それに「核融合」技術が実現するころにはGGIはとっくにあの世でありますから、まとまらない話でまことに無責任でありますが、このへんで失礼させていただきたく思います

今日の写真は講演会の会場でもらった「プラズマ・核融合学会」のカレンダーの表紙を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧ください。ノルウェー海岸で見られるオーロラを撮った写真と思われます。オーロラは宇宙空間で生じるプラズマ現象と関連したものであるとされています。

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!
コメント
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