UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

「地上に太陽を!」って?(その三):絵空事ではなくなってきた「核融合」という前代未聞の技術・・・

2018-07-01 01:25:06 | 日記
昨日と一昨日の日記に、湖都で6月27日に開催された「第12回核融合エネルギー連合講演会 開催記念 市民公開講演会」のことを記しました。

今日はこの講演会のメインテーマというべき「核融合」についての話です。と申しましてもGGIはこのような難しい原子物理学に基づいた技術のことなんかネコに小判どころではありませぬ。ですから正確にお伝えできるはずがありません。会場ではスライドでいろんな説明が行われたのですが撮影禁止、それに資料の類は配布されませんでしたので、きわめて大ざっぱな、大ざっぱすぎることを乱暴にしかお伝えできませぬ。でも「核融合」の問題は社会的にも重要極まる問題ではないかと思われますので、あえて無謀を承知のうえでお伝えするしだいです。

講演の演題は以下のようなものでありました。

・地上に太陽を! パート1
 一億度超のプラズマでエネルギーを取り出せ~日本で建設が進む核融合装置JT-60SA  (量子科学技術研究開発機構)本田 充
・地上に太陽を! パート2
 シミュレーションで核融合研究を加速する (核融合科学研究所)藤堂 泰

まず、「核融合」って何でありませうか。大乱暴に申せば「核分裂」とは正反対
の物理現象です。よく日常的に「原子力」という言葉が使われますが、実は「原
子力」の中身は「核分裂」と「核融合」なのです。核分裂だけが原子力ではな
いのです!

みなさん「核分裂」はご存知ですよね。そうです、原爆は核分裂反応によって
生じる巨大なエネルギーを悪用した兵器です。そして、われらが日本におけ
る厄介な存在であるあの《原発》も核分裂反応で生じるエネルギーを利用した
技術です。つまり一挙に激しく核分裂の反応を生じさせるのが原爆、地上で
徐々に核分裂を生じさせて、生じるエネルギーを発電に用いるのが原子力発電、すなわち原発と言ってよいでありませう

物質の根本を形成しているのは分子、その分子を形成しているのが原子、原子
の中心に存在しているのが原子核なのですが、この原子核を無理やり外からの
大きな力によってより小さな(軽い)原子核に分裂させるのが核分裂なのです
が、核融合はその反対。外からの大きな力によって原子核どうしを融合させて
より大きな(重い)原子核を生じさせる現象が核融合です。

核融合技術は最終的には核融合により生じる巨大なエネルギーを用いて発電を
行うことを目的にしているものと考えられます。

みなさん、原発の他に水爆という核爆弾があるのはご存知でせう。この二つの
爆弾、何か親戚のようなものであるとお考えになっている方も少なくないので
はないかと思うのですが、その原理はまったく別物です。実は「水素爆弾」と
いうのは「核融合」により生じる巨大なエネルギーを悪用した兵器なのです。
つまり原爆は核分裂を利用した爆弾ですが、原爆を大きく上回る爆発力を有し
ている水爆という怪物は核融合を利用した爆弾なのです。水素の原子核どうしを核融合させることによる爆弾なので「水爆」と称されるのです。

「水爆」の場合は外部からの大きな力を得るために原爆を起爆装置として用い
ます。つまり、核分裂反応で発生する放射線、超高温、超高圧を利用して、水
素の一種である重水素や三重水素(トリチウム)と称される原子核の間で核融
合反応を起こさせて莫大なエネルギー放出させるのです。海水中の水の分子
(H2O)の中に普通の水素ではなく重水素あるいは三重水素で構成されて水の分
子が少量ですが存在しており、このような水分子の中にある重水素が原子核
のあいだに核融合反応を生じさせるために用いられます。重水素どうしが核融
合反応を起こすと新しい原子核ヘリウム(He)が生まれますが、そのとき大量
のエネルギーが発生します。

この講演会のメインテーマである「核融合」という技術は、この水爆における
核融合反応を地上で再現しようとする技術なのです。つまり、地上では水爆の
ように原爆を起爆剤にして核融合を生じさせるわけにはいきませんから、なん
とか別の方法によって、地上で制御された状態の下で核融合の反応を起こさせ
ようというのが、科学者たちがいま懸命に目指している「核融合」の技術なので
す。

この講演会の演題やチラシには、核融合の技術を指して、「地上に太陽を!」と
記されていることを紹介しました。これは一見したところ、いささかオーバーと申しますか、何か荒唐無稽にさえ感じるようなフレーズでありますが、では、なぜ地上での核
融合の技術が「地上に太陽を!」ということになるのでありませうか?

実は宇宙では常に核融合反応が起きているのです。講演者の説明によれば、宇
宙で自ら光を発している星、すなわち「恒星」と称される星の内部では常に激
しく核融合反応が起きているそうです。核融合反応で生じる巨大なエネルギー
によってよって夜空で明るく輝いているとのこと。地球から一番近い恒星は私
たちが常日頃お世話になっているおてんとうさま、すなわち太陽です。

質量(重量)が大きい恒星ほど核融合反応が激しく生じて強い光を放つとされ
ていますが、太陽は恒星の中では中以下の大きさとされています。その太陽で
起きている核融合反応を何とかした地上でも再現しようとする技術、それが科
学者たちが目指している核融合の技術ということですから、「地上に太陽を!」
というフレーズに行くつくことになるのです。

さあて、果たしてどのようにして「地上に太陽を!」を、地上で核融合反応が
生じることを、可能にするというのでありませうか、その技術的な原理はどの
ようなものでありませうか?これから先はますますGGIの手に余るのですが、
あえて蛮勇をふるって乱暴な説明をさせていただきます。

核融合反応を起こさせるためには1万度とか1億度とかいう非常な高温で「プ
ラズマ」と称される状態を作り出すことが必要とされます。「プラズマ」という
のは一言でいえば物質における第4の状態のことです。物質の状態には固体、
液体、気体という三種類の状態がありますが、プラズマというのはこれらに次
ぐ第4の状態です。このような高温においては、物質はもう電気的に中性の気
体ではなく、電子とイオンに電離しています。このような電離状態にある気体
は「プラズマ」状態にあると言われます

核融合反応を生じさせるためにはこれだけでは不十分、核融合反応が起きるま
で、この超高温のプラズマを一定の空間に閉じ込めておかなければなりません。
その一つの方法は磁石が発する磁力線により形作られた「かご」の中に閉じ込めると言う方法、すなわち「磁気閉じ込め」という方う法です。

とGGIもロクに理解できないことを書いてきましたが、要するに「核融合」技術の核心は、いかのして超高温をつくりだすのか、いかにして核融合反応に適して超高温のプラズマ状態を作り出すか、そして生じたプラズマ状態をいかにして一定空間に閉じ込めておくか、ということであり、世界の科学者や技術者たちがいまその具体的方法・技術を一生懸命に研究しているのです。

そのために日本でもすでに大学を含めて様々な研究機関が存在しており、また核融合装置が作られています。その最新のものが東海村に隣接する那珂市で現在建設されているJT60SAという装置です。また、より大規模の国際的な共同研究施設として国際熱核融合実験炉(ITER)がフランスにおよそ1兆6千億円をかけて建設される予定であり、このプロジェクトにはEU、英、米、ロ、日、中、インド、韓国が参加しているとされています。

JT60SAの建設は原発事故後の2014年に閣議了承を経て決定された[エネルギー基本計画」において核融合の研究開発の推進が盛り込まれていることに基づいたものであるとされていますので、核融合装置開発の計画は日本の国家的プロジェクトとされているということができるのいってよいでありませう。

また、このような巨大技術の開発には、コンピュータによる事前の精密なシミュレーションを欠かすことができず、そのためには大型コンピュータが必要なのですが、日本ではすでに核融合のシミュレーション専用の大型コンピュータが開発されています。

GGIがロクに理解できていないにもかかわらず、クドクドと核融合について書いてきたのは、実はやむにやまれぬ動機があるからなのです。

福島第一原発の事故が起きる以前、今から十数年以上前、その頃からGGIは原発は危険だから止めるべきだと考えていたのですが、あるとき京大の研究者による原発問題についての小さな講演を聴きました。その研究者は当時から原発を懸念して原発に反対する立場を鮮明にされている方でありました。

そのとき、講演後の質疑に際してGGIは次のように質問したのです。

「最近、核融合反応を発電に利用したらどうかという話をときおり耳にしたりすることがあるのですが、核融合により発電するという技術は果たして可能なのでせうか?どのようにお考えになりますか?可能ですか?」

答は明確な「ノー」でありました。一笑に付す、といった感じでありました。理論的には可能かもしれないが、現実的には無理、荒唐無稽、無責任な夢物語に過ぎない、という意味あいの答が返ってきました。

GGIはそのときのことをしっかり記憶しておりましたので、この「核融合エネルギー連合講演会」と銘打たれた講演会を聴いて、文字通り衝撃的な思いをしたのです。現実はこの京大の研究者の答とはまったく違った展開を見せていたからです。

いまや夢物語の段階はとっくに過ぎているようなのです。これまでに書きましたように、いまや「核融合」の技術は日本のあちこちの大学や機関によって研究が推進されているだけではなく、国際的な規模での研究開発の対象となっているのです。

要するに、GGIが強く申しあげておきたいことは、かつてはともかく、今や「核
融合」技術は、そして「核融合発電」の技術は、絵空事ではなく、世界的規模で
推進されつつあるということです・・・「地上に太陽を!」を実現させて、人類
のための夢のエネルギーを、というわけです。

核分裂を利用した原発がダメでも、核融合を利用した原発があるさ!というわけでありませうか・・・

この講演会を聴いていて、原発に反対するGGIが寝とぼけているあいだに現実
はこのように激変しつつあることを思い知らされ、己の不明を恥じるしかあり
ませんでした・・・

こんなダラダラした内容定かならぬ日記はもういいよとお思いの方も少なくな
いと思いますが、もう一回ぐらい続くかもしれませぬ。

核融合についてもっとちゃんとお知りになりたいかたは、子供向けの解説とも
言うべき「自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)」のサイトをご覧くだ
さい。また核融合発電の技術についてもっとちゃんとお知りになりたいかたは
京大の研究者のサイトなどをご覧になってください。

今日の写真はいま建設中の核融合装置JT60SAの様子です。ネットさんから借用しました、

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!
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