「幸せになれるんだろうな、おめえ」
■ 寅さんシリーズ第26作「寅次郎かもめ歌」を観た。マドンナは憧れの女性という意味だが、今回のマドンナのすみれ(伊藤 蘭 *1)に寅さんが憧れるというか惚れるわけではない。
寅さんシリーズも第26作目。博とさくらが一軒家を購入する。寅さん博にご祝儀を渡すも、2万円と高額だったことが原因となって大喧嘩になってしまう。例によってとらやを飛びだした寅さんが向かった先は北海道の江差。江差でテキヤ仲間が亡くなったことを知った寅さんは、線香をあげるために奥尻島へ。寅さんは実に義理堅い。奥尻島でテキヤ仲間の娘・すみれと出会い、ふたりで墓参りをする。すみれが幼い時、母親が家を出ていってしまって、父親とふたりで暮らしてきたすみれ。東京に出て定時制高校に通いながら働きたい、というすみれの願いを聞いて、寅さんはすみれを連れてとらやに帰ってくる。このときひと騒動あるが、省略。
すみれは満足に学校に通うことができなかったために学力が無い。試験もできなかったし面接でも下を向くばかり・・・。
「試験の成績で落としたりはしないと思うけどなぁ。そんなことで人間を評価しないのが定時制高校なんだ」結果を心配するさくらに向かって博がこう言う。さすが博、いいこと言う。
すみれは入学試験に受かって定時制高校に通うようになる。合格したことをすみれから聞いたときの寅さん、嬉しそうだった。小躍りして喜び合うふたりにぼくは涙。寅さん映画、涙が出ること度々。タコ社長の世話でセブンイレブンで働くことにもなって、よかったよかった。夜、とらや一家で祝宴、みんないい人たち、みんな幸せ。おばちゃんは寅さんに頼まれてお百度参りしていたっけ。
ある日、とらやをひとりの女性が訪ねてくる。「私、だれだかわかる?」「母ちゃん?」この後、すみれは母親にきつい言葉。母親は泣きながらとらやを出ていく・・・。この後さくらがしぶるすみれを連れて外に飛び出すと、母親は電柱の陰で泣いていた。「母ちゃん」母親の背中に優しく声をかけるすみれ。すみれを抱きしめて「いいわね、お前は幸せになんのよ」と母親。この場面でもぼくは涙。
寅さん、すみれについて高校に行き、生徒たちとも先生たちともすっかり仲良くなって(このあたりも寅さんらしい)、英語の先生に「たまには英語の授業聞きませんか?」と誘われるほどに。
その後、函館からすみれの彼氏が上京してきて・・・。喧嘩別れをしていたふたり、今でも好きだとお互い告白。
朝帰りしたすみれを怒ろうとする寅さんだが、その人と結婚すると聞かされて・・・。寅さん旅支度はいつものパターン。
「幸せになれるんだろうな、おめえ」「もしなれなかったら、オレは承知しねえぞ」続けて、寅さん優しく「いいな」
テキヤ仲間の娘さんを父親代わりになって支え、幸せを願っていた寅さんのことばにまた涙。
この作品は涙映画だ。
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*1 「普通の女の子に戻りたい!」1978年4月にキャンディーズ解散、この時のメンバーだったランちゃんが2年後、1980年にマドンナ役でこの作品に出演した。過去ログ