透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

1294 筑北村東条の火の見櫓

2021-07-11 | A 火の見櫓っておもしろい


1294 東筑摩郡筑北村東条立川 3脚63型 撮影日2021.07.10

 筑北村は坂井、本城、坂北の3村が2005年10月に合併してできた。旧本城村の幹線道路(国道403号)から谷あいの道路(県道277号)に入り、しばらく走行していてこの火の見櫓と出合った(上の写真)。火の見櫓が立っている所まで行ってみた。




斜面を登り、俯瞰的な写真を撮った。この立地なら遠くまで半鐘の音が届きそうだ。


火の見櫓の全形 外付け梯子と見張り台が珍しい位置関係になっている。梯子の直上が見張り台へ移乗する位置になっているのが一般的で、その部分は手すりがなくて開口になっているが、この火の見櫓は梯子の直上ではなくて左横から移乗するようになっている。このような位置関係のものを見るのはたぶん初めて。見張り台の手すりに消防信号板を取り付けてある。これがあるとなんとなくうれしい。




櫓の下側半分の様子 蔓が伸びている。火の見櫓を使わなくなって久しいのだろう。防災行政無線に役目を譲った火の見櫓のなんとも寂しい姿。


 


つながる美術館

2021-07-11 | A あれこれ

長野県立美術館見学記

 長野県信濃美術館の老朽化に伴う建て替えが今春終わり、新たな「長野県立美術館」が4月10日に開館した。昨日(9日)出かけて見学してきた。設計者・宮崎 浩さんはこのプロジェクトにずいぶん時間をかけて真摯に取り組んだだろうな、という印象を持った。

新しい美術館のキーワードは「つながる」。特に善光寺とつながるということを意識して計画されている。写真①がこのことを的確に示している。敷地に高低差が約10メートルあることを活かして美術館の屋上広場を敷地東側の道路とレベルをほぼ合わせ、善光寺本堂を真正面にみる軸線を設定して計画している。

2017年6月に長野県庁で行われたコンペのプレゼンを聞いた後、敷地に立ち寄って、この構想の確認をした(写真②)。複雑な条件を整理し、入念な計画をしないと実現しないということが分かった。美術館はこの軸に沿う平面計画がなされている。


△道路と直接つながっている広場、美術館の屋上とは思えない。


△撮影日2017.06.05


△屋上庭園の端に立つとこのように見える。屋上庭園の外周3方を緑で縁取り、周辺とつなぐという計画意図がよく分かる。


△美術館全形。モダニズム建築の特徴のひとつ、ガラスの外装。この外装材には賛否あるだろう。私はガラスの多用を是とはしない。


△全体模型(「つながる美術館」@展示室2) 外構や既存の東山魁夷館を含め、新美術館全体の構成が分かる。善光寺に向かう軸の他に東山魁夷館と正対するもう一つの軸が設定され、美術館が計画されている。


△アプローチ動線がまっすぐ伸びている。動線は東山魁夷館とつなぐ連絡ブリッジの下を通過、階段で屋上広場のレベルとつないでいる。


△長野県信濃美術館(設計:林 昌二) 

宮崎さんはこの旧美術館に敬意をはらい、この位置には新たな美術館を配置しないで、水辺テラスを計画したとのこと(*1 写真⑫)。


△新旧両美術館の設計者(東山魁夷館:谷口吉生)は共にモダニストでデザインの傾向が似ているので両館全く違和感なくまとまっている。


△東山魁夷館とつなぐ連絡ブリッジをエントランスホールから見る。ブリッジをごく薄い床面と屋根面、サッシの方立に同化した細い柱で成立させている。


△エントランスホール俯瞰 端正なデザイン


△ひとつの階段をガラスのスクリーンで内外に仕切ったかのよう。


*1 展示室2で開催中の「つながる美術館」の説明文による。

善光寺に向けて主軸を設定して計画された美術館、屋外空間が魅力的な美術館。次回は興味ある作品展が開催される時にでも。