■ しばらく前から観たいと思っていた映画「グリーンブック」を昨日(10日)観た。
アメリカに人種差別が公然とあった時代(1962年という設定)の実話に基づくものがたり。タイトルの「グリーンブック」とは黒人が利用できるホテルなどの施設を紹介するガイドブックのこと。
黒人ピアニストのドクター・シャーリーは差別が色濃いアメリカ南部へのコンサートツアーを計画し、運転手としてナイトクラブで用心棒のような仕事をしていたイタリア系白人のトニーを雇う。
それまでの暮らしぶりが全く違っていたふたり。対照的なふたりはぶつかることだらけ。だが、車での長旅を続けているうちに次第に打ち解けてお互いを理解し、心を通わせるようになっていく。その過程を様々なエピソード(警察沙汰になるような事件も)を織り交ぜながら描いていく。あまりに理不尽というか、やりきれない差別。コンサート会場のホテルのレストランで食事をすることを断られたり、トイレを使わせてもらえなかったり・・・。天才演奏家のすばらしい演奏はどの会場でも拍手喝采を受けるのだけれど。
映画を観ていて悲しい場面で涙することはよくあるけれど(だから映画は基本的にひとりで観にいくことにしている)、感動の涙というのはあまりない。でもこの映画は感動の涙、涙、涙。感動の涙などという安易な表現は避けるべきだということを自覚していないわけではない。だが、他に相応しい表現が浮かばない。
地味な(地味でもないか)中年男ふたりのロードムービーにこれ程涙するとは。私の涙腺が緩すぎるのか、いやこの映画の表現力のすばらしさのせい、だと思う。