1 柱
上部の荷重を支える垂直に立てた部材
柱という言葉を定義づけることはなかなか難しい。「垂直に立てた」としたが、斜めに立てた柱だってある。単材、1本の材料としたいが複数の材料を組み合わせた組柱だってある。荷重を支えるという機能を持たない柱だってある。でもまあ、上記のような定義で可としておこう。部材は単材としても差し支えない。
電柱、支柱、親柱、大黒柱、床柱、通し柱、管柱、束(短い柱)、付け柱、それから・・・、回向柱、消火ホース乾燥柱。
戸倉上山田温泉にて 写真提供Tさん
立体的な構造でないと櫓とは言わない。従ってこのような1本柱の構造は櫓ではない。千曲川のほとり、戸倉上山田温泉でこれを見かけたTさんが写真を撮ってきてくれたが、なんと呼べばいいのだろう・・・。単純に考えれば火の見柱か。
やっぱりこれも火の見「櫓」だなぁ。
2 梯子
足場となる横材とそれを支える両側の縦材で構成される昇降のための道具
梯子を定義すればこんなことになるだろうか。木やアルミでできている一般的なものや鎖や縄でできているものもある。
海野宿にて
火の見「櫓」というからには立体的な構造であることが必須の条件と言える。従ってこのような梯子状の火の見は櫓ではないが、一般的な慣習に従ってこのようなものも含めて火の見櫓としている。でも火の見梯子と呼称すべきだろう。
3 櫓
上部に物や人を載せるための立体的な構造物
櫓を定義すればこんなことになるだろうか。火の見櫓の他には、やぐら太鼓、月見櫓(松本城)、櫓造り (←民家 昔の記録より)・・・。
塔は物や人を上に載せるという明確な機能を備えていることはない。広告塔、電波塔、五重塔、ピサの斜塔、送電鉄塔、消火ホース乾燥塔・・・。
辰野町にて
高さ3メートル程の小さなものだが、火の見櫓を構成する要素がすべて揃っている。梯子に手すりが付けられていて、製作者の優しい心づかいを感じる。
火の見櫓の平面形には三角形と四角形がある。ひっとすると多角形もあるかもしれないが・・・。四角形は正方形に限られるだろうと思っていたが、先日立科町で台形の火の見櫓を見た。
4 櫓
火の見櫓は建築基準法に規定されている工作物に該当する。これから建設しようとする場合には確認申請をして構造の安全性などのチェックを受ける必要がある。構造設計者が検討すれば、こんなにごつい部材を使うことになるのかな。では既存の火の見櫓の構造安全性をチェックすればNGになるのだろうか。そもそも上手く解析できるのかな・・・。