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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「桜田門外ノ変」

2010-10-28 | g 読書日記


『桜田門外ノ変』吉村昭/新潮文庫 平成7年発行 

水戸・薩摩の脱藩士18人が降りしきる雪の中、桜田門外で大老・井伊直弼を乗せた駕籠を襲撃した。

桜田門外ノ変。

**「森が先供に斬りかかれば、元悪(井伊大老)の駕籠の両側をかためていた者の何人かは、その騒ぎで先供へ走るはずだ。駕籠のまわりは手薄になる。そこで、両側から駕籠を急襲する。」**(下巻 88頁) 大老襲撃の指揮をとる関鉄之介が稲葉屋の奥座敷で同志たちに襲撃の手段を話す。

この小説が原作の映画「桜田門外ノ変」を観た。

襲撃は成功する。だが、大老暗殺に呼応して薩摩藩が京都に三千の兵を挙げ、朝廷を守護するという計画は頓挫。襲撃者は次々に捕えられ斬首される。潜行・逃亡していた鉄之介は追いつめられてゆく・・・。やがて身を隠していた湯治場の小さな宿屋で鉄之介も捕えられる。

日米通商条約締結前後の不安定な政情。将軍継嗣問題などをめぐる対立。そして安政の大獄。

井伊直弼一人の命の代償となった多くの命・・・。国を憂え、命を賭して苦難の道に進んだ水戸の藩士たち。

登場人物の美しい立ち居振る舞いが印象的だった。

映画のラスト、現在の桜田門をとらえていたカメラがパンして国会議事堂の正面を大写しにする。「国会議事堂」、この映画のメッセージは今の政治家たちに向けられているのかもしれない。

メモ)
関鉄之介 大沢たかお
水戸藩主 徳川斉昭 北大路欣也
井伊直弼 伊武雅刀

コメント
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