透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

東大寺南大門と磯崎新

2008-06-14 | A あれこれ


■ 東大寺南大門
『磯崎新の「都庁」』平松剛/文藝春秋より
 



■ 大分県医師会館
「GA ARCHITECT 6 ARATA ISOZAKI 1959-1978」より


■『磯崎新の「都庁」』平松剛/文藝春秋 を読んでいる。丹下さんと磯崎さんについての話題が満載で実に興味深い本だがタイトルに沿って内容を少し絞り込んでも良かったのではないかと思う。

さて今回の建築トランプは東大寺、イラストは南大門だ。この本にも東大寺南大門の写真が載っている。

磯崎さんは学生時代、長期休暇で帰省する際、毎回関西で途中下車して古建築を見て回ることにしていたそうだ。もちろんこの東大寺南大門も見ている。

そうだ! 僕は思い出した。日本名建築写真選集「東大寺」新潮社 に磯崎さんがエッセイを書いていた!



エッセイの書き出しはこうだ。
**東大寺南大門は、日本建築の歴史のなかで最重要の建物だ、と私は考えている。
個人的に建築を専門にするずっと以前に奈良を訪れて、そのときにはじめてみたときの印象が、四十年余りも持続している。** 

更に磯崎さんは続けて書いている。

**その後に私は世界中の歴史に残る建築を、可能なかぎりみてきた。そのあげく、いくつかの日本の建物の評価を初期の印象から変更したいと思ったりしたが、この東大寺南大門だけは、やはり最重要だと、いまは確信をもって言える。**

そうか、磯崎さんの処女作、大分県医師会館のドーンと立ち上がる柱を使ったデザインって東大寺南大門から来ているのか・・・。


 


路上観察 土蔵造りの長屋門

2008-06-14 | A あれこれ




■ 土蔵造りの長屋門に遭遇、車を停めて路上観察(旧四賀村にて080613)。

細長い土蔵の中央に大きな開口を設けて屋敷への出入口としている、そうまさにこれは長屋門の形式だ。両側は収蔵庫でどっしりとした引き戸がついている。開口の上部に木柄の大きな材料を使った床組みが見える。桁の上に窓がついている。この開口廻り、なかなか渋い意匠だ。

手前に柱が2本立っているが、ここに両開きの扉が付いていたのかもしれない。家の方にお願いして内部も見学させていただこうかとも思ったが、路上観察で済ませた。

こんな空間構成や開口廻りの意匠を住宅の設計に採り入れたら面白いな、観察していてそう思った。開口部分の床は木製のデッキ、どちらかの引き戸を玄関にして、正面にはアイストップとして樹形のいい花木を植える。2階は階高を抑えた小屋組み表しのザックリとした空間、シンプルな垂木構造を見せる。南側半分は吹き抜けの空間にしてもいい。外壁は塗り壁、一部板張り。難しいのは窓か・・・。