古今集第八百九十四番押し照るや(書) 2017-06-24 07:08:00 | 書 押し照るや難波の御津に焼く塩の からくも我は老いにけるかな 詠み人知らず 難波の港のあたりで、焼いた塩の辛いこと。それに劣らぬは私の年取ったからさ。
古今集第八百九十三番数ふれば(書) 2017-06-21 07:16:56 | 書 数ふればとまらぬのもをとしといて 今年はいたく老いぞしにける 詠み人知らず 流れ去ってとどまらないので、[疾し」ということかもしれないものだが、改めて数えてみると、今年は大層年老いたものだ。
古今集第八百九十二番大荒木の(書) 2017-06-18 07:10:05 | 書 大荒木の森の下草老いぬれば 駒もすさめず刈る人もなし 詠み人知らず 大荒木の森の下草がこわばってきたので、馬も食わなければ刈る人もない。
古今集第八百九一番笹の葉に(書) 2017-06-15 07:11:48 | 書 笹の葉に降りつむ雪のうれを重み 本くだりゆくわがさかりはも 詠み人知らず 笹の葉につもった雪のために、笹は先端が重くなり、根元から傾いてゆく。私の盛りも下り坂となっては、寂しいものだよ。
古今集第八百九十番世の中に(書) 2017-06-12 07:12:37 | 書 世の中にふりぬるものは津の国の 長柄の橋と我となりけり 詠み人知らず 世の中に古びたものが二つある。一つは摂津の国の長柄の橋と、もう一つはほかならぬ私のことだである。
古今集第八百八十九番今こそあれ(書) 2017-06-09 07:14:45 | 書 今こそあれ我も昔は男山 さかゆく時もありとしものを 詠み人知らず 今でこそこんなに衰えてしまったが、私も昔は立派な男で、男山の坂を行く話のように男盛りの時があったものだ。
古今集第は百八十八番いにしへの(書) 2017-06-06 07:20:37 | 書 いにしへの倭文(しづ)の苧環(おだまき)いやしきも よきもさかりはありしものなり 詠み人知らず しずの苧環という話がありますが、賤の男にせよ、やんごとなきお方にせよ男盛りはあったはずです。
古今集第八百八十七番いにしへの(書) 2017-06-03 07:14:20 | 書 いにしへの野中の清水ぬるけれど もとの心を知る人ぞ汲む 詠み人知らず 古くなった野中の清水は水もぬるまっているが、その昔の心を知っている人は懐かしんでやはり汲みに来ている。
古今集第は百八十六番石上(書) 2017-05-31 07:17:26 | 書 石上ふる幹小野の本柏 もとの心は忘られなくに 詠み人知らず 石上(いそのかみ)の布留の野は枯草や枯枝でいっぱいだが、その中に目立つのは柏の枝についている本柏だが、私はあの人の心が忘れられない。
古今集第八百八十四番飽かなくに(書) 2017-05-25 07:07:33 | 書 飽かなくにまだきも月の隠るるか 山の端にげて入れずもあらなむ 在原業平 まだ見飽きていないのに月が山に隠れてしまった。西の方の山の頂が背を低くして月を隠さないで欲しいものだ。
古今集第八百八十三番飽かずして(書) 2017-05-22 07:18:38 | 書 飽かずして月の隠るる山もとは あまたおもてぞ恋しかりける 詠み人知らず まだ、眺め足りないうちに月は山に入ってしまった。後に残された麓の人たちは山の向こう側をしきりに恋しがっている。
古今集第八百八十二番天の川(書)」 2017-05-19 07:16:00 | 書 天の川雲を水脈(みを)にてはやければ 光とどめず月ぞ流るる 詠み人知らず 天の川の真ん中には雲が早く流れているので、光を一ケ所にとどめず、月が位置を変えるのは雲の流れに流されるのだろう。
古今集第八百八十一番ふたつなき(書) 2017-05-16 07:08:02 | 書 ふたつなきものと思ひし水底に 山の端ならでいづる月影 紀貫之 またとない美しい月だが、当然二つとないと思っていたら、山上でなくて水底に出る月があるとはね。
古今集第八百八十番かつ見れど(書) 2017-05-13 06:08:39 | 書 かつ見れどうとくもあるかな月影の いたらぬ里もあらじと思へば 紀貫之 あなたにちょっとお目にかかったぐらいでは、しっくりしません。月の光と同じで行かない所はありません。
古今集第八百七十九番大方は(書) 2017-05-10 07:12:26 | 書 大方は月をもめでじこれぞこの 積もれば人の老となるもの 在原業平 よく考えてみると、私は人が愛でる月を愛でることはしない。これが積もり積もって人を老いさせるのだ。