みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

温かい秋、似ることについて

2006年10月16日 | 俳句・短歌
朝夕、気温が下がって、秋が少しずつ深まってるなぁ。最近、気になった句。出典はお~いお茶とNHK俳句。

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曼珠沙華淋しき故に群れて咲く
(岐阜県美濃加茂市 14歳 立野真之介)

朝顔が力をためて朝を待つ
(和歌山市 13歳 河内祐輔)

満月を飛び越えてみる水溜り
(金沢市 辻本直子)

父作る案山子はいつも母に似て
(安曇野市 佐々木久美子)

継ぎ目なき 一枚の天 案山子立つ
(埼玉県鳩山町 深澤邦平)

後継ぐは案山子だけよと老農夫
(群馬県吉井町 山本春樹)

わが旅の紅葉いよいよ濃かりけり
(高浜年尾)

十六夜の寒さや雲もなつかしき
(渡辺水巴)

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「曼珠沙華」の句。中学生でこんな、いい句が詠めてしまうんだな。

「朝顔」の句。この句もそうだけど、ほんとうに17文字で世界が広がると思う。想像力、思い遣りがないと、いい俳句は出てこない?それにしても、何気ない風景が、さまざまに奥深い世界の入り口であることに気づかせてくれるのが俳句のいいところだ。

「満月」の句。この展開は読めなかった。意外性が◎。水溜りの普段着の言葉が、好きだなぁ。

「父作る」の句。父、母、案山子、私の4人の登場人物。なんて温かいんだろう。素直にいいなぁと思った。「似る」のたった一言なのに・・・。とてもいい句だ。番組でも一席に選ばれていた。

「継ぎ目」の句。秋の高いまっさおな空を継ぎ目なきと表現しているのがいい。大きな空の元で立っている案山子、いい絵になりそう。

「後継ぐ」の句。「だけよ」がいいじゃないか。寂しくとも楽観的。静かな心意気も入り混じりつつ、それでいて気負いはなく、さばさばしてる。素敵な老境だな。

「わが旅」の句。人生と季節の重奏だ。決まってる。決まりすぎてる。果たして自分はこんな心境の秋を迎えられるのだろうか?

「十六夜」の句。うん。なつかしいなぁ。「や」はANDの意味じゃなくて、切れ字だよね?

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