タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

子宮頸部腺がんって知ってる?

2018-04-16 20:43:18 | 婦人科
4月は、赤ちゃんがいっぱい生まれて、にぎやかでした。
ようやく少し落ち着きを取り戻してきましたよ。
タマル産の駐車場には、雲南黄梅(うんなんおうばい)の黄色い花が今、満開です。
そして公園には、ポニーちゃんの横に、砂の芸術品ができあがっていましたよ。
りんごの木の滑り台の下に、新しいお砂場セットを買っておいてあげたのです。
さっそく赤ちゃんのお兄ちゃんやお姉ちゃんが使ってくれたようですね。

タマル産の公園の砂場は、エデンの園をイメージして創ったのです。
1つは砂漠、そしてりんごの木にオリーブの林。
エデンの園には、2本の木が有って、1つは善悪を知る樹、もう1つは生命の樹と言ったのです。
エバが神様の言いつけを守らずに取って食べたのは善悪を知る樹の実ですよ。

この樹はエバの象徴ですから、女性らしい樹、そして多産の象徴です。
もちろんナツメヤシの樹でしょう。
ヘブライ語でタマルと言います。
もちろん、りんごの樹ではありません。

生命の樹の方は、アダムの象徴であって、男性的な樹です。
高くそびえ立つのは、レバノン杉でしょう。今はもう取り尽くされて絶滅しましたが。
ノアの箱舟の材料でもあります。

さあ、それでは今日は、子宮頸部腺がんのお話しをしましょう。
ある芸能人が、子宮頸がんの中でも、通常の扁平上皮がんではなくて、腺がんを公表されましたからね。

扁平上皮がんは、ヒトパピローマウィルスという性感染症が原因でなります。
だからちょっと、公表するのは恥ずかしいですよね。
ですがこちらの腺がんの方は、ウィルスでなるのではないのです。
原因は不明です。

ちなみに子宮の奥の子宮体がんは、ほとんどが腺がんですからね。
扁平上皮とは顔の皮膚や唇と同じです。腺とは、口の中の粘膜を想像してください。
普通は扁平上皮と腺の境目の、扁平上皮側にがんができます。
ここは何にでもなれる多能性の有る細胞が並んでいるので、がんにもなりやすいのですね。

むかし天理に居た頃に、この子宮頸部の電子顕微鏡写真を撮り溜めていたことが有ります。
もう少し研究してみたかったですよ。

さて、子宮頸部腺がんのお話しをもう少し。
頻度が少ないので、滅多に遭遇はしません。
でも忘れた頃に罹患されている方が居られます。
扁平上皮がんに対して、予後は悪いです。
放射線が効きにくいからでしょう。
ただし子宮の中だけに留まっている場合は、子宮を大きめに取ってくることで、
他の部位のがんなんかに比べると、ずっと予後は良い方ですからね。
むしろ抗がん剤との併用が有効です。

初期であれば、赤ちゃんが欲しい場合は、子宮の出口を一部取るだけの、
円錐切除で済ませる場合も有りますが、よく考えて受けましょう。
とりあえず子宮頸がん検診で見つかることが多いので、
いずれにしても、検診が重要ということになりますね。

陣痛誘発剤の安全な使用方法

2018-04-13 20:35:53 | 産科
篠山市住吉台の理那(りな)ちゃん、3月8日生まれ。
「素直な子に育ってください。
スピード出産であっという間でした。
とても良くしていただきました。」

安産のお母さんも居られれば、難産のお母さんも居られますからね。
もちろん安産が良いのですが、こればかりは先天的なものももちろん有りますが、
運も有りますからね。

難産で一番多いのは、いつもお話しているように、胎児の首に臍の緒が巻いている場合です。
だから多くは、運なのですよ。
臍の緒が引っ張れていると、なかなか陣痛が強くなりません。
おそらく胎児が「しんどいから陣痛を弱めて」と、お母さんに伝えているのでしょうね。
陣痛で入院したのに遠のいて、一時退院する羽目になる時は、
まず臍の緒の問題です。
そんなことはどこの教科書にも書いてありませんが、経験上確かです。

そういう時は陣痛促進剤が必要になることも多いのですよ。
今週の難産の赤ちゃんも、誘発剤を使って無事に生まれました。
それから今も入院されているのですが、
このお母さんも、胎児の首に臍の緒が巻いていそうなので、
明日には陣痛誘発剤を使わないと、生まれないでしょう。

ですから陣痛誘発剤というのは、悪者ではないのですね。
必要な時は使用してあげた方が、帝王切開になる確率を下げることができるのですから。
帝王切開は、お母さんにとっても赤ちゃんにとても、リスクの高い手術ですからね。

毎年、産科医療補償制度に関する報告書が送られてきます。
この制度の目的は、新生児に脳性麻痺という障害が残った時に、
原因は解明できなくとも、とりあえず子供の成長に合わせて補償してあげようという制度です。
結果が悪いと、医療に対して不信感がつのり、
裁判沙汰になって、勝てば補償が下りますが、
負ければ補償が無いというのでは困るから創設されたのです。

この報告書によると、
陣痛促進剤を使っていた場合の、不適切だと考えられるものが有るようです。
3種類の薬が有って、2種類は点滴剤、1種類は飲み薬です。
点滴剤の場合は、胎児の心拍監視装置が連続使用されていた割合は、70から76%です。
本当は全例、付けることになっているのですが。
トントンと心臓の音が聞こえる器械のことですよ。

飲み薬の場合はさらにいい加減で、
連続的に胎児の心拍を監視していたのは、たったの16%だったようです。
これでは異常を見逃しかねませんね。
もちろんタマル産では、飲み薬の時も点滴の時も、
生まれるまで連続的に付けて、24時間監視していますからご安心ください。

それで、今もトントンとクリニック中に聞こえるような音で鳴っているのです。
入院中の方には雑音に聞こえるかもしれませんが、
赤ちゃんにとっては、落ち着く音かもしれませんから、ご容赦ください。

ところでもうすぐゴールデンウィークですが、
今年は前後半に別れましたか。
タマル産では4月30日と5月3日から5月5日まで、
暦通りに外来を休診させていただきます。
もちろん急患の方や、お産の方は24時間電話が繋がりますからね。
ですが、とくに妊婦さんは遠出しないようにしてくださいよ。
よく切迫早産で受診されるものですから。


先天性代謝異常の検査は何種類?

2018-04-11 21:07:17 | 産科
篠山市大沢の、幸裕(ゆきひろ)くん、3月7日生まれ。
「人に優しく、心の広い子に育ってください。
お産は想像していたより大変でした。
小さな不安なことでも、しっかり話を聞いてくださって、嬉しかったです。」

初めてのお産ですからね、想像はできませんよね。
だからタマル産での10ヶ月の健診時には、毎週ソフロロジークラスを受講していただき、
お産の練習をするのですよね。
できれば家に帰ってからも毎日、ソフロロジーの練習をしておく方が、
お産に自信を持って挑めますよね。

4月は新学期で、いろんなことが変わりますね。
そこで今日は、先天性代謝異常の検査の変更点をお話ししておきましょう。

赤ちゃんは生後5日目より後で、生まれついての病気の検査をするのですよ。
足の裏から10滴くらいの血液を取って、検査に回します。
お母さんのオッパイを飲んで、それを代謝したものを検査するので、
5日以上経って充分に飲めていないと、再検査になってしまうことが有ります。
生後4日目に退院させている病院が有りますが、もう一度来院してもらっているのでしょうか?

検査料は公費のため無料です。
採血料は取っても良いのですが、タマル産では無料にしています。

以前はわずか5つの疾患くらいしか分からなかったのですよ。
むかし国試対策で覚えましたが、今となれば意味が無かったです。
今では19種類も分かるからです。
この4月からはさらにできる検査が1つ増えて、20種類になりました。
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2欠損症(CPT2欠損症)と言う病気です。
もちろん私も初耳の病気です。
こんな病気は知らなくて良いのですよ。
趣味として知っておきたいですか?

余分に食べたものは、脂肪として蓄えますよね。
みなさんもこの脂肪を落とすのに苦労するでしょう?
ですがダイエットなんかすると、脂肪を代謝してエネルギーとするのです。
ところがこのCPT2欠損症では、長鎖脂肪酸を代謝することができないので、
重度の体調不良が生じるのです。

治療としては、脂肪の摂取を制限して、
もう少し小さな脂肪酸である、中鎖脂肪酸でできたミルクを与えるのです。
残念ながらお母さんのオッパイをあげることはできませんね。

今日は産後の1ヶ月健診の日だったのですが、
この時に先天性代謝異常の検査の結果をお知らせしています。
ただし異常のまったく無かった赤ちゃんだけなのです。
再検査の子は、先に連絡しているからですよ。

今日のお母さんは、自身が生まれた時に、
フェニルケトン尿症だったと言われていました。
それなら特殊なミルクに始まり、今も厳しい食事指導が有るはずなのです。
そうでも無かったようですから、きっと再検査だけで、結果は正常だったのかもしれませんよ。
それでも赤ちゃんの先天性代謝異常の検査を気にされていたのですが、
もちろん19種類とも正常でした。
ちなみに今日も難産で赤ちゃんが生まれたのですが、5日後に20種類検査しますからね。

本当にフェニルケトン尿症であったならば、
タンパク質を作るアミノ酸の代謝の異常で、常染色体性劣性遺伝なので、
お母さんが病気発症、お父さんが保因者であった場合だけ、
1/2の確率で発症します。
両親ともに保因者なら1/4ですけれどね。
お父さんが保因者でなければ、劣性遺伝なので発症しません。
まあ、そんなことは考えても仕方ありませんよ。


家庭は天国の出発点

2018-04-09 21:35:52 | つれづれ

最近生まれた赤ちゃんとお父さんたちです。
お父さんたち、頑張っていますね。
生まれる時に、お母さんと一緒に涙ぐまれることもよく有ります。
そんな時は、やっぱり一緒に産ませてあげて良かった、と思うのですよね。
きっと幸せな家庭を築く、第一歩となるでしょうからね。

私などは、中学、高校と、毎朝、学校で礼拝が有ったので、
教会に行くことに何ら抵抗は無いのですが、
みなさんは、教会に誘われると、何やら洗脳でもされるのではないか、と思われるでしょう?

そんなことはさておき、昨日の日曜日も外来と、お産に付き添う1日だったのですが、
うちの家族は、所属の尼崎教会でのファミリーオープン礼拝に参加してきました。
たまには催しものが無いとね。意欲が落ちますからね。

こどもたちのパフォーマンスやら、
女性たちの合唱やフラダンス、
それに40年以上前に県立柏原高校を卒業された先輩男性による、「サライ」などです。
谷村新司さんと加山雄三さんの曲ですね。
ちなみにお二人は、マークエステル先生の日本での後援会長なのですよね。
マークエステル先生の絵は、タマル産に3点、有りますよ。
ついでに言うと、タマルもサラ(イ)も、聖書に出てくる女性の名前なのです。
2人ともイエスキリストのご先祖様ですからね。

それから来賓の講師による、「人生の幸福と家族の絆」という説教だったようです。
聞いてきたわけではないので、むしろこの会の主催者、レバレンド・ムーンの講演をお伝えしましょう。

家庭は、神が創造した最高の組織です。
また人類が互いに愛し、平和に暮らすことを学ぶ愛の学校であり、
世の中に平和の王宮を建てるための訓練道場です。
為に生きる夫と為に生きる妻として、
そして永遠の愛の道を行くための夫婦として、その責任を学ぶところです。
家庭は世界平和のためのベースキャンプなので、
息子、娘が「お父さんとお母さんが喧嘩する姿を生涯一度も見たことがない」と
言うようにならなければなりません。

父母は、子供たちにとって第2の神様です。
「神様が好きか?お父さんとお母さんが好きか?」と尋ねて、
「お父さんとお母さんが好きです」と答えたら、
それはすなわち「神様も好きだ」という意味です。
教育の最も大事な部分を狙っているのが家庭です。
幸福も平和も、家庭の外にはありません。
家庭こそが天国です。
いくら莫大なお金と名誉を持ち、
世界とすべて手に入れたとしても、
健全な家庭を築くことができなければ、
その人は不幸です。
家庭は天国の出発点だからです。
夫婦が真実の愛で結ばれ、
理想的な家庭が築かれたら、
宇宙と直接連結されます。


赤ちゃんの目やに

2018-04-06 21:25:04 | 産科
写真は、丹波市氷上町の晃大(こうだい)くん、2月28日生まれ。
「元気に色々なことにチャレンジしてください。
お産はたいへんでしたが、無事元気に産むことができて良かったです。
みなさんにとても良くしていただきました。」

1人目は里帰りで、2人目はタマル産でのお産でしたね。
何事も無いのが一番かもしれませんね。

さて今日は、新生児の結膜炎についてお話しましょう。
赤ちゃんって、生まれて数日経つと、「目やに」が出ることが多いのですよ。
医学的には「眼脂(がんし)」と言うのですが、
お母さんには心配なようです。

生まれて1週間以内の赤ちゃんの結膜炎の割合は、
15%から20%だと言われます。
赤ちゃんは自分で顔を洗えないし、
鼻涙管という、眼と鼻をつなぐ涙の通り道が細いので、
よく涙が滞るからです。

だから軽い場合は、ときどき拭き取ってあげるだけで良いのです。
自然に様子を見るだけで、2ヶ月もすると出なくなってくるのですよ。
それでもべったりとした膿性の目やにであったり、
目が赤く充血していたり、まぶたが腫れたりすると、治療の対象になります。
眼科を受診するように勧めます。
ですがそこまで治療しないといけない赤ちゃんは滅多にいないのです。

以前は淋菌による結膜炎が多かったので、予防処置が行われていました。
ですがそれはかなり前のことで、今では淋菌感染症はめずらしいのです。
だいたい妊婦健診の項目に、淋菌の検査なんて入っていません。
それでも長い間、この淋菌性の結膜炎を予防する目的で、
生まれてすぐの赤ちゃん全員に、タマル産でもそうでしたが、
硝酸銀の点眼薬をしていました。

化学薬品で目の表面を焼くわけですから、目の周りが黒くなって、
これもまたお母さんが心配されるのですよね。
ですがもうすでに硝酸銀の点眼薬は発売されていません。

今ではむしろクラミジア結膜炎の予防という意味で、
エリスロマイシンという抗生物質の点眼剤を予防でしたりする施設が有ります。
ですがこちらも販売が中止になったのですよね。
しかもクラミジアへの点眼薬の予防効果は否定されています。
それよりも妊婦健診でお母さんの膣のクラミジアの有無を検査して、
赤ちゃんを産むまでに夫婦で治療を受けておいていただくのがベストなのです。

それで今ではタマル産では、予防処置はしなくなりました。
いえ、タマル産だけではありませんよ、何もしていない病院はたくさん有ります。
だいたい予防に抗生物質、という考えは現代的ではないのですからね。

それで結局、赤ちゃんの目やにくらい心配しない、ということですね。
ただし入院中に、治療として抗生物質の点眼薬を使用することは有りますからね。
お産の時に、産道を通って出てくるので、
ちょっとはお母さんから細菌をもらってきてしまうからですよ。