タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

先天性代謝異常の検査は何種類?

2018-04-11 21:07:17 | 産科
篠山市大沢の、幸裕(ゆきひろ)くん、3月7日生まれ。
「人に優しく、心の広い子に育ってください。
お産は想像していたより大変でした。
小さな不安なことでも、しっかり話を聞いてくださって、嬉しかったです。」

初めてのお産ですからね、想像はできませんよね。
だからタマル産での10ヶ月の健診時には、毎週ソフロロジークラスを受講していただき、
お産の練習をするのですよね。
できれば家に帰ってからも毎日、ソフロロジーの練習をしておく方が、
お産に自信を持って挑めますよね。

4月は新学期で、いろんなことが変わりますね。
そこで今日は、先天性代謝異常の検査の変更点をお話ししておきましょう。

赤ちゃんは生後5日目より後で、生まれついての病気の検査をするのですよ。
足の裏から10滴くらいの血液を取って、検査に回します。
お母さんのオッパイを飲んで、それを代謝したものを検査するので、
5日以上経って充分に飲めていないと、再検査になってしまうことが有ります。
生後4日目に退院させている病院が有りますが、もう一度来院してもらっているのでしょうか?

検査料は公費のため無料です。
採血料は取っても良いのですが、タマル産では無料にしています。

以前はわずか5つの疾患くらいしか分からなかったのですよ。
むかし国試対策で覚えましたが、今となれば意味が無かったです。
今では19種類も分かるからです。
この4月からはさらにできる検査が1つ増えて、20種類になりました。
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2欠損症(CPT2欠損症)と言う病気です。
もちろん私も初耳の病気です。
こんな病気は知らなくて良いのですよ。
趣味として知っておきたいですか?

余分に食べたものは、脂肪として蓄えますよね。
みなさんもこの脂肪を落とすのに苦労するでしょう?
ですがダイエットなんかすると、脂肪を代謝してエネルギーとするのです。
ところがこのCPT2欠損症では、長鎖脂肪酸を代謝することができないので、
重度の体調不良が生じるのです。

治療としては、脂肪の摂取を制限して、
もう少し小さな脂肪酸である、中鎖脂肪酸でできたミルクを与えるのです。
残念ながらお母さんのオッパイをあげることはできませんね。

今日は産後の1ヶ月健診の日だったのですが、
この時に先天性代謝異常の検査の結果をお知らせしています。
ただし異常のまったく無かった赤ちゃんだけなのです。
再検査の子は、先に連絡しているからですよ。

今日のお母さんは、自身が生まれた時に、
フェニルケトン尿症だったと言われていました。
それなら特殊なミルクに始まり、今も厳しい食事指導が有るはずなのです。
そうでも無かったようですから、きっと再検査だけで、結果は正常だったのかもしれませんよ。
それでも赤ちゃんの先天性代謝異常の検査を気にされていたのですが、
もちろん19種類とも正常でした。
ちなみに今日も難産で赤ちゃんが生まれたのですが、5日後に20種類検査しますからね。

本当にフェニルケトン尿症であったならば、
タンパク質を作るアミノ酸の代謝の異常で、常染色体性劣性遺伝なので、
お母さんが病気発症、お父さんが保因者であった場合だけ、
1/2の確率で発症します。
両親ともに保因者なら1/4ですけれどね。
お父さんが保因者でなければ、劣性遺伝なので発症しません。
まあ、そんなことは考えても仕方ありませんよ。