タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

陣痛誘発剤の安全な使用方法

2018-04-13 20:35:53 | 産科
篠山市住吉台の理那(りな)ちゃん、3月8日生まれ。
「素直な子に育ってください。
スピード出産であっという間でした。
とても良くしていただきました。」

安産のお母さんも居られれば、難産のお母さんも居られますからね。
もちろん安産が良いのですが、こればかりは先天的なものももちろん有りますが、
運も有りますからね。

難産で一番多いのは、いつもお話しているように、胎児の首に臍の緒が巻いている場合です。
だから多くは、運なのですよ。
臍の緒が引っ張れていると、なかなか陣痛が強くなりません。
おそらく胎児が「しんどいから陣痛を弱めて」と、お母さんに伝えているのでしょうね。
陣痛で入院したのに遠のいて、一時退院する羽目になる時は、
まず臍の緒の問題です。
そんなことはどこの教科書にも書いてありませんが、経験上確かです。

そういう時は陣痛促進剤が必要になることも多いのですよ。
今週の難産の赤ちゃんも、誘発剤を使って無事に生まれました。
それから今も入院されているのですが、
このお母さんも、胎児の首に臍の緒が巻いていそうなので、
明日には陣痛誘発剤を使わないと、生まれないでしょう。

ですから陣痛誘発剤というのは、悪者ではないのですね。
必要な時は使用してあげた方が、帝王切開になる確率を下げることができるのですから。
帝王切開は、お母さんにとっても赤ちゃんにとても、リスクの高い手術ですからね。

毎年、産科医療補償制度に関する報告書が送られてきます。
この制度の目的は、新生児に脳性麻痺という障害が残った時に、
原因は解明できなくとも、とりあえず子供の成長に合わせて補償してあげようという制度です。
結果が悪いと、医療に対して不信感がつのり、
裁判沙汰になって、勝てば補償が下りますが、
負ければ補償が無いというのでは困るから創設されたのです。

この報告書によると、
陣痛促進剤を使っていた場合の、不適切だと考えられるものが有るようです。
3種類の薬が有って、2種類は点滴剤、1種類は飲み薬です。
点滴剤の場合は、胎児の心拍監視装置が連続使用されていた割合は、70から76%です。
本当は全例、付けることになっているのですが。
トントンと心臓の音が聞こえる器械のことですよ。

飲み薬の場合はさらにいい加減で、
連続的に胎児の心拍を監視していたのは、たったの16%だったようです。
これでは異常を見逃しかねませんね。
もちろんタマル産では、飲み薬の時も点滴の時も、
生まれるまで連続的に付けて、24時間監視していますからご安心ください。

それで、今もトントンとクリニック中に聞こえるような音で鳴っているのです。
入院中の方には雑音に聞こえるかもしれませんが、
赤ちゃんにとっては、落ち着く音かもしれませんから、ご容赦ください。

ところでもうすぐゴールデンウィークですが、
今年は前後半に別れましたか。
タマル産では4月30日と5月3日から5月5日まで、
暦通りに外来を休診させていただきます。
もちろん急患の方や、お産の方は24時間電話が繋がりますからね。
ですが、とくに妊婦さんは遠出しないようにしてくださいよ。
よく切迫早産で受診されるものですから。