タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

赤ちゃんの目やに

2018-04-06 21:25:04 | 産科
写真は、丹波市氷上町の晃大(こうだい)くん、2月28日生まれ。
「元気に色々なことにチャレンジしてください。
お産はたいへんでしたが、無事元気に産むことができて良かったです。
みなさんにとても良くしていただきました。」

1人目は里帰りで、2人目はタマル産でのお産でしたね。
何事も無いのが一番かもしれませんね。

さて今日は、新生児の結膜炎についてお話しましょう。
赤ちゃんって、生まれて数日経つと、「目やに」が出ることが多いのですよ。
医学的には「眼脂(がんし)」と言うのですが、
お母さんには心配なようです。

生まれて1週間以内の赤ちゃんの結膜炎の割合は、
15%から20%だと言われます。
赤ちゃんは自分で顔を洗えないし、
鼻涙管という、眼と鼻をつなぐ涙の通り道が細いので、
よく涙が滞るからです。

だから軽い場合は、ときどき拭き取ってあげるだけで良いのです。
自然に様子を見るだけで、2ヶ月もすると出なくなってくるのですよ。
それでもべったりとした膿性の目やにであったり、
目が赤く充血していたり、まぶたが腫れたりすると、治療の対象になります。
眼科を受診するように勧めます。
ですがそこまで治療しないといけない赤ちゃんは滅多にいないのです。

以前は淋菌による結膜炎が多かったので、予防処置が行われていました。
ですがそれはかなり前のことで、今では淋菌感染症はめずらしいのです。
だいたい妊婦健診の項目に、淋菌の検査なんて入っていません。
それでも長い間、この淋菌性の結膜炎を予防する目的で、
生まれてすぐの赤ちゃん全員に、タマル産でもそうでしたが、
硝酸銀の点眼薬をしていました。

化学薬品で目の表面を焼くわけですから、目の周りが黒くなって、
これもまたお母さんが心配されるのですよね。
ですがもうすでに硝酸銀の点眼薬は発売されていません。

今ではむしろクラミジア結膜炎の予防という意味で、
エリスロマイシンという抗生物質の点眼剤を予防でしたりする施設が有ります。
ですがこちらも販売が中止になったのですよね。
しかもクラミジアへの点眼薬の予防効果は否定されています。
それよりも妊婦健診でお母さんの膣のクラミジアの有無を検査して、
赤ちゃんを産むまでに夫婦で治療を受けておいていただくのがベストなのです。

それで今ではタマル産では、予防処置はしなくなりました。
いえ、タマル産だけではありませんよ、何もしていない病院はたくさん有ります。
だいたい予防に抗生物質、という考えは現代的ではないのですからね。

それで結局、赤ちゃんの目やにくらい心配しない、ということですね。
ただし入院中に、治療として抗生物質の点眼薬を使用することは有りますからね。
お産の時に、産道を通って出てくるので、
ちょっとはお母さんから細菌をもらってきてしまうからですよ。