竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻12 歌番号815から819まで

2024年01月15日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻12
歌番号八一五
詞書 加多布多可利止天於止己乃己左利个礼者
読下 方塞がりとて男の来ざりければ

原文 与美飛止毛
読下 詠み人も

詠人 安不己止乃加多不多可利天幾美己寸者於毛不己々呂乃多可不者可利曽
和歌 あふことの かたふたかりて きみこすは おもふこころの たかふはかりそ
読下 逢ふ事の方塞がりて君来ずは思ふ心の違ふばかりぞ
解釈 私の家の方向に差し障りがあるとして貴方が私の許にやって来ないのですと、貴方と私とで、方違いではなく、互いに慕い合う気持ちに違いが生まれますよ。

歌番号八一六
詞書 安比加多良比个留飛止乃飛佐之宇己佐利个礼者
徒可者之个累
読下 あひ語らひける人の久しう来ざりければ
つかはしける

原文 与美飛止毛
読下 詠み人も

詠人 止幾者尓止堂乃女之己止者万川本止乃飛佐之可留部幾名尓己曽安利个礼
和歌 ときはにと たのめしことは まつほとの ひさしかるへき なにこそありけれ
読下 常盤にと頼めし事は待つほどの久しかるべき名にこそありけれ
解釈 松の緑のように慕う気持ちは常にあると言う常盤だと私に言って、私に貴方の愛への信頼をさせたのに、でも、貴方が言う常盤とは、私が貴方の訪れを持つ、その間が常盤の言葉のように久しい時であると言う意味だったのですね。

歌番号八一七
詞書 堂以之良春
読下 題知らす

原文 与美飛止毛
読下 詠み人も

詠人 己佐末左累奈美多乃以呂毛加比曽奈幾三寸部幾飛止乃己乃与奈良祢八
和歌 こさまさる なみたのいろも かひそなき みすへきひとの このよならねは
読下 濃さまさる涙の色もかひぞなき見すべき人のこの世ならねば
解釈 逢えない淋しさで濃さが増していくと言う血の涙の色も、流しても逢うことへの効果が無いようです。この淋しさで流す血の涙を見せるはずの貴方が、もう、きっと、この世に生きてはいないでしょうから。(早く逢いに来い、ボケ。)

歌番号八一八
詞書 於无奈乃毛止尓徒可者之个留
読下 女のもとにつかはしける

原文 与美飛止毛
読下 詠み人も

詠人 寸美与之乃幾之尓幾与寸留於幾川奈美万奈久加个天毛於毛本由留加奈
和歌 すみよしの きしにきよする おきつなみ まなくかけても おもほゆるかな
読下 住吉の岸に来寄よする沖つ浪間なくかけても思ほゆるかな
解釈 恋人と共に住むのが良いと言う名を持つ住吉の岸に寄せ来る沖からの浪が絶え間がないように、私は絶え間なく、貴女のことを恋慕っていますよ。

歌番号八一九
詞書 可部之
読下 返し

原文 以世
読下 伊勢

詠人 春美乃恵乃女尓知可々良八幾之尓為天奈美乃加寸遠毛与武部幾毛乃遠
和歌 すみのえの めにちかからは きしにゐて なみのかすをも よむへきものを
読下 住の江の目に近からば岸にゐて浪の数をもよむべきものを
解釈 もし、貴方の屋敷が住之江から目で見えるほどに近いのでしたら、きっと岸に座って、貴方の言う沖からの浪は、貴方でも容易に、幾つの浪が立ったと、数えられるのじゃないですか。(で、浪は一つ、それとも二つなの。)

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