竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻18 歌番号1250から1254まで

2024年05月15日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻18

後撰和歌集 現代語訳 原文付 巻18

原文 止遠末利也末幾仁安多留未幾

読下 巻十八

 

原文 久左久左乃宇多与川

読下 雑歌四

 

歌番号一二五〇

原文 加者徒遠幾々天

読下 蛙を聞きて

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 和可也止尓安飛也止利之天春武加者徒与留尓奈礼者也毛乃八加奈良之幾

和歌 わかやとに あひやとりして すむかはつ よるになれはや ものはかなしき

読下 我が宿にあひ宿りして住む蛙夜になればや物は悲しき

解釈 私に屋敷に同居して住んでいるカエルは、夜になったからなのだろうか、その鳴く声は物悲しい。(お前も独り身なのか。)

 

歌番号一二五一

原文 飛止/\安満多志利天者部利个留於无奈乃毛止尓止毛多知乃毛止

与利己乃己呂者於毛比佐多女多留奈女利堂乃毛之幾

己止奈利止堂者布礼遠己世天者部利个礼者

読下 人々あまた知りて侍りける女のもとに、友だちのもと

より、このごろは思ひ定めたるなめり。

頼もしき事なり、と戯れおこせて侍りければ

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 堂満衣己具安之加利遠不祢左之和个天多礼遠多礼止可和礼者さ多女无

和歌 たまえこく あしかりをふね さしわけて たれをたれとか われはさためむ

読下 玉江漕ぐ葦刈小舟さし分けて誰れを誰れとか我は定めん

解釈 玉江を漕ぐ葦を刈る小舟が葦原を差し分けて進む、その言葉の響きではありませんが、差し分けて、だれそれの男、あのだれとかの男、そのような見比べるようなやり方で私は恋人を決めたりしません。

 

歌番号一二五二

原文 越止己乃者之女以可尓於毛部留左満尓可安利个武

於无奈乃遣之幾毛己々呂止个奴遠三天安也之久

於毛者奴左万奈留己止々以比者部利个礼八

読下 男の、初めいかに思へるさまにか有りけむ、

女の気色も心解けぬを見て、あやしく

思はぬさまなること、と言ひ侍りければ

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 美知乃久乃於布知乃己満毛乃可不尓八安礼己曽万左礼奈川久毛乃可八

和歌 みちのくの をふちのこまも のかふには あれこそまされ なつくものかは

読下 陸奥のおぶちの駒ものがふには荒れこそまされなつくものかは

解釈 陸奥の尾駮(おちぶ)の駒も野で飼うには荒れ野が良いと言いますが、その言葉の響きではありませんが、心を交わすには私が相応しく親しくなるのではないでしょうか。

注意 古今和歌集「いとはるる我が身は春の駒なれやのがひがてらに放ち捨てつる」を引用する。

 

歌番号一二五三

原文 知宇之与宇尓天宇知尓佐布良比个留止幾安比之利多利

遣留於无奈久良宇止乃佐宇之尓川本也奈久比於以

加个遠也止之遠幾天者部利个留遠尓八可尓己止

安利天止遠幾止己呂尓満可利者部利个利己乃於无奈乃毛止

与利己乃於以加个遠々己世天安者礼奈留己止

奈止以比天者部利个留可部之己止尓

読下 中将にて内裏にさぶらひける時、相知りたり

ける女蔵人の曹司に、壺やなぐひ・

老懸を宿し置きて侍りけるを、にはかに事

ありて、遠き所にまかり侍りけり。この女のもと

より、この老懸をおこせて、あはれなる事

など言ひて侍りける返事に

 

原文 美奈毛堂乃与之乃々安曾无

読下 源善朝臣

 

原文 伊徒久止天多川祢天幾徒良无多万加川良和礼者无可之乃和礼奈良奈久尓

和歌 いつくとて たつねきつらむ たまかつら われはむかしの われならなくに

読下 いづくとて尋ね来つらん玉葛我は昔の我ならなくに

解釈 左遷され遠くに追いやられた私を、どこへ行ったのかと尋ねて手紙を寄こして来たのでしょうか、あの玉葛を掛けるの言葉ではありませんが、貴女が心配する、私が残して行った官服に付ける老懸、でも、今の私は昔の私とは違い、その官服をきることも無いのに。

 

歌番号一二五四

原文 堂与利尓川幾天飛止乃久尓乃加多尓者部利天美也己尓

比佐之宇満可利乃本良左利个留止幾尓止毛多知尓

徒可者之遣留

読下 たよりにつきて、人の国の方に侍りて、京に

久しうまかり上らざりける時に、友だちに

つかはしける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 安佐己止尓三之美也己地乃多衣奴礼者己止安也万利尓止不飛止毛奈之

和歌 あさことに みしみやこちの たえぬれは ことあやまりに とふひともなし

読下 朝ごとに見し都路の絶えぬれば事誤りに問ふ人もなし

解釈 朝毎に見ていた都路を、地方への赴任する人に連れ添い、見ることが絶えてしまったので、事の間違いとしても、私の消息を尋ねる人もいません。

注意 詞書の「たよりにつきて」を「縁に従って」と解釈すると、赴任する男について行った女の歌となります。

 

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