竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻18 歌番号1270から1274まで

2024年05月21日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻18

歌番号一二七〇

原文 毛乃於毛比个留己呂

読下 物思ひけるころ

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 安比尓安日天毛乃於毛不己呂乃和可曽天者也止留川幾左部奴留々可本奈留

和歌 あひにあひて ものおもふころの わかそては やとるつきさへ ぬるるかほなる

読下 逢ひに逢ひて物思ふころの我が袖は宿る月さへ濡るる顔なる

解釈 あれほどに度々に逢っていながらも、あれこれと思い悩むこの頃の私は、涙で袖も濡れて、その河のように濡れそぼって袖に映った月までも、悲しみに涙したような風情です。

注意 古今和歌集・恋五・歌番号七五六に同じ歌が載ります。

 

歌番号一二七一

原文 安留止己呂尓春乃満部尓加礼己礼毛乃可多利之

者部利个留遠幾々天宇知与利於无奈乃己恵尓天安也

之久毛乃乃安者礼志利可本奈留於幾奈可奈止

以不遠幾々天

読下 ある所に、簾の前に、かれこれ物語りし

侍りけるを聞きて、内より、女の声にて、あや

しく物のあはれ知り顔なる翁かな、と

言ふを聞きて

 

原文 従良由幾

読下 つらゆき(紀貫之)

 

原文 安者礼天不己止尓志留之者奈个礼止毛以者天者衣己曽安良奴毛乃奈礼

和歌 あはれてふ ことにしるしは なけれとも いはてはえこそ あらぬものなれ

読下 あはれてふ事にしるしはなけれども言はではえこそあらぬ物なれ

解釈 あわれ、という言葉をいったからと言っても特になにも無いのだけど、でも、あわれ、と言わないで置けないものが、あわれ、なるものです。

 

歌番号一二七二

原文 於无奈止毛多知乃川祢尓以比加者之个累遠比左之久

遠止川礼左利个礼者可无奈川幾者可利尓安多飛止乃

於毛不止以比之己止乃者々止以不々留己止遠以比加者之

多利个礼者多个乃者尓加幾川个天徒可者

之个留

読下 女友だちの常に言ひ交しけるを、久しく

訪れざりければ、十月ばかりに、あだ人の

思ふと言ひし言の葉は、といふ古言を言ひ交し

たりければ、竹の葉に書きつけてつかは

しける

 

原文 与美飛止之良寸

読下 詠み人知らす

 

原文 宇徒呂者奴奈尓奈可礼多留加者多个乃以川礼乃与尓可安幾遠之留部幾

和歌 うつろはぬ なになかれたる かはたけの いつれのよにか あきをしるへき

読下 移ろはぬ名に流れたる川竹のいづれの世にか秋を知るべき

解釈 色変わりしないと言う評判が流布している川竹の葉、その川竹の葉がいづれの時代でも紅葉する秋を知らないように、私はこれからもずっと、心変わりして貴女に飽きを感じるようなことはありません。

 

歌番号一二七三

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 於久留於本幾於本以万宇知幾三

読下 贈太政大臣

 

原文 布可幾於毛日曽女川止以比之己止乃八々伊川可安幾加世布幾天知利奴留

和歌 ふかきおもひ そめつといひし ことのはは いつかあきかせ ふきてちりぬる

読下 深き思ひ染めつと言ひし言の葉はいつか秋風吹きて散りぬる

解釈 深い思いで貴女に思い染めたと告げた私の言の葉は、いつ、秋風が吹いて散ったでしょうか、(決して、貴女への恋心に飽きの風なんで吹くことはありませんので、恋の言の葉は常のままです。)

 

歌番号一二七四

原文 加部之

読下 返し

 

原文 以世

読下 伊勢

 

原文 己々呂奈幾美者久左幾尓毛安良奈久尓安幾久留可世尓宇多加八留良无

和歌 こころなき みはくさきにも あらなくに あきくるかせに うたかはるらむ

読下 心なき身は草木にもあらなくに秋来る風に疑はるらん

解釈 季節感への感受が鈍い我が身は草や木でもないのですが、きっとやって来る秋に吹き来る風に疑ってしまうのでしょうか、(きっと、貴方の飽き風に吹かれたからでしょうか。)

注意 後撰和歌集・巻六・秋中・歌番号二八六に返歌として同歌が載りますが、贈答歌が違います。

 

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