竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻17 歌番号1235から1239まで

2024年05月10日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻17

歌番号一二三五

原文 飛止乃以部尓満可利多利个留尓也利美川尓多幾以止

於毛之呂可利个礼者加部利天川可者之个留

読下 人の家にまかりたりけるに、遣水にたぎいと

おもしろかりければ、帰りてつかはしける

 

原文 与美飛止毛

読下 詠み人も

 

原文 堂幾川世尓多礼之良多万遠美多利个无比呂不止世之尓曽天八比知尓幾

和歌 たきつせに たれしらたまを みたりけむ ひろふとせしに そてはひちにき

読下 たぎつ瀬に誰れ白玉を乱りけん拾ふとせしに袖はひちにき

解釈 急流をたぎって流れる瀬に、誰が白玉を乱れ散らしたのだろうか、その白玉を拾おうとすると、私の袖はなぜかどっぷりと濡れてしまいました。

注意 古語の「たぎ」は滾る急流のことで、垂水が現在の滝です。

 

歌番号一二三六

原文 保武己宇与之乃々多幾美曽葉奈之个留於保武止毛尓天

読下 法皇、吉野のたぎ御覧しける御供にて

 

原文 美奈毛堂乃々保留乃安曾无

読下 源昇朝臣

 

原文 以徒乃万尓布利川毛留良无三与之乃々也万乃可比与利久川礼於川留由幾

和歌 いつのまに ふりつもるらむ みよしのの やまのかひより くつれおつるゆき

読下 いつの間に降り積もるらんみ吉野の山の峡より崩れ落つる雪

解釈 いつの間に降る積もったのでしょうか、み吉野の山の谷間から崩れ落ちる雪よ、(そのように見立てが出来る、白波を立てて流れる吉野の急流です。)

 

歌番号一二三七

原文 保武己宇与之乃々多幾美曽葉奈之个留於保武止毛尓天

読下 法皇、吉野のたぎ御覧じける御供にて

 

原文 保武己宇乃於保美宇堂

読下 法皇御製

 

原文 美也乃太幾武部毛奈尓於比天幾己衣个利於川留志良安和乃堂満止比々計八

和歌 みやのたき うへもなにおひて きこえけり おつるしらあわの たまとひひけは

読下 宮のたぎむべも名におひて聞こえけり落つる白泡の玉と響けば

解釈 宮の急流とは、なり程、そのように名前を付けられている訳が判ります、急流を流れ落ちる水飛沫の白泡の玉を飛ばす、その急流が轟き響かせれば。

 

歌番号一二三八

原文 也万布美之波之女个留止幾

読下 山踏みし始めける時

 

原文 曽宇志也宇部无世宇

読下 僧正遍昭

 

原文 以万左良尓和礼者加部良之太幾三川々与部止幾加寸止々波々己多部与

和歌 いまさらに われはかへらし たきみつつ よへときかすと とははこたへよ

読下 今更に我は帰らじたぎ見つつ呼べど聞かずと問はば答へよ

解釈 今更、私は俗世間には帰りません、山中で急流の流れを見ているばかりで、その急流の瀬音でいくら呼び掛けても、声を聞いてもらえなかったと、聞かれたら答えてください。

 

歌番号一二三九

原文 堂以之良寸

読下 題知らす

 

原文 与美飛止毛

読下 詠み人も

 

原文 堂幾川世乃宇徒万幾己止尓止女久礼止奈保多川祢久留与乃宇幾女か奈

和歌 たきつせの うつまきことに とめくれと なほたつねくる よのうきめかな

読下 たぎつ瀬の渦巻ごとにとめ来れどなほ尋ねくる世の憂きめかな

解釈 急流の河の瀬で水が渦巻く場所ごとに修行の場を探し求めて来たのですが、それでもなお、私を追い駆けてくるものは世の中の憂きことなのですね。

 

コメント
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