集歌3940 餘呂豆代尓 許己呂波刀氣氏 和我世古我 都美之乎見都追 志乃備加祢都母
訓読 万代(よろづよ)に心は解けて我が背子が摘(つ)みしを見つつ忍びかねつも
私訳 万代までもと二人の心は打ち解けて、私の愛しい貴方が花を摘んだのを見ながら戀心を忍ぶことができません。
集歌3941 鴬能 奈久々良多尓々 宇知波米氏 夜氣波之奴等母 伎美乎之麻多武
訓読 鴬の鳴く崖(くら)谷にうちはめて焼けは死ぬとも君をし待たむ
私訳 鶯の鳴く崖谷にわが身を投げ捨てて、恋心に身が焦がれて焼け死ぬほどであったとしても、貴方のご帰還を待っています。
集歌3942 麻都能波奈 花可受尓之毛 和我勢故我 於母敝良奈久尓 母登奈佐吉都追
訓読 松の花花(はな)数(かず)にしも我が背子が思へらなくにもとな咲きつつ
私訳 貴方を待つ、その言葉のひびきのような松の花、その数えきれないほどの花の数のように私が待っていても、私の愛しい貴方は私の事を思って下さらないのに、それでも松の花(=待つ気持ち)は咲いている。
右件謌者、時々寄便使来贈。非在一度所送也
左注 右の件(くだり)の謌は、時々(ときどき)に便りの使に寄せて来贈(おこ)せたり。一度に送えあえしにあらず。
八月七日夜、集于守大伴宿祢家持舘宴謌
標訓 八月七日の夜に、守(かみ)大伴宿祢家持の舘に集(つど)ひて宴(うたげ)せし謌
集歌3943 秋田乃 穂牟伎見我氏里 和我勢古我 布左多乎里家流 乎美奈敝之香物
訓読 秋し田の穂向き見がてり吾(わ)が背子がふさ手折(たお)り来る女郎花(をみなへし)かも
私訳 秋の田の穂の実りを見回りながら、私の大切な貴方がたくさん手折って来られた女郎花ですね。
右一首、守大伴宿祢家持作
左注 右の一首は、守大伴宿祢家持の作
集歌3944 乎美奈敝之 左伎多流野邊乎 由伎米具利 吉美乎念出 多母登保里伎奴
訓読 女郎花(をみなへし)咲きたる野辺を行き廻(めぐ)り君を思ひ出たもとほり来ぬ
私訳 女郎花が咲いた野辺を行き見回りながら、貴方のことを思い出して寄り道して手折って来ました。
訓読 万代(よろづよ)に心は解けて我が背子が摘(つ)みしを見つつ忍びかねつも
私訳 万代までもと二人の心は打ち解けて、私の愛しい貴方が花を摘んだのを見ながら戀心を忍ぶことができません。
集歌3941 鴬能 奈久々良多尓々 宇知波米氏 夜氣波之奴等母 伎美乎之麻多武
訓読 鴬の鳴く崖(くら)谷にうちはめて焼けは死ぬとも君をし待たむ
私訳 鶯の鳴く崖谷にわが身を投げ捨てて、恋心に身が焦がれて焼け死ぬほどであったとしても、貴方のご帰還を待っています。
集歌3942 麻都能波奈 花可受尓之毛 和我勢故我 於母敝良奈久尓 母登奈佐吉都追
訓読 松の花花(はな)数(かず)にしも我が背子が思へらなくにもとな咲きつつ
私訳 貴方を待つ、その言葉のひびきのような松の花、その数えきれないほどの花の数のように私が待っていても、私の愛しい貴方は私の事を思って下さらないのに、それでも松の花(=待つ気持ち)は咲いている。
右件謌者、時々寄便使来贈。非在一度所送也
左注 右の件(くだり)の謌は、時々(ときどき)に便りの使に寄せて来贈(おこ)せたり。一度に送えあえしにあらず。
八月七日夜、集于守大伴宿祢家持舘宴謌
標訓 八月七日の夜に、守(かみ)大伴宿祢家持の舘に集(つど)ひて宴(うたげ)せし謌
集歌3943 秋田乃 穂牟伎見我氏里 和我勢古我 布左多乎里家流 乎美奈敝之香物
訓読 秋し田の穂向き見がてり吾(わ)が背子がふさ手折(たお)り来る女郎花(をみなへし)かも
私訳 秋の田の穂の実りを見回りながら、私の大切な貴方がたくさん手折って来られた女郎花ですね。
右一首、守大伴宿祢家持作
左注 右の一首は、守大伴宿祢家持の作
集歌3944 乎美奈敝之 左伎多流野邊乎 由伎米具利 吉美乎念出 多母登保里伎奴
訓読 女郎花(をみなへし)咲きたる野辺を行き廻(めぐ)り君を思ひ出たもとほり来ぬ
私訳 女郎花が咲いた野辺を行き見回りながら、貴方のことを思い出して寄り道して手折って来ました。