竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌3895から集歌3899まで

2022年12月01日 | 新訓 万葉集
西本願寺本は歌順が違っています。

集歌3898 大船乃 宇倍尓之居婆 安麻久毛乃 多度伎毛思良受 謌乞和我世
訓読 大船の上にし居(を)れば天雲のたどきも知らず歌(うた)乞(こふ)吾(わ)が背
私訳 大船の上に乗って居ると、空の雲の行方も気にせず和歌を創ることを求める貴方よ。
注意 西本願寺本は、歌順がこのように違っています。また、原文の「謌乞和我世」は、「ウタヘコソ」等、諸訓があり、その訓が定まっていません。

集歌3899 海未通女 伊射里多久火能 於煩保之久 都努乃松原 於母保由流可聞
訓読 海人(あま)未通女(をとめ)漁(いざ)り焚く火のおぼほしく都努(つの)の松原思ほゆるかも
私訳 漁師の娘女の漁火を焚く火がぼんやりとしている、そんな都努の松原が懐かしい。
注意 原文の「於母保由流可聞」の「聞」は、一般に「問」の誤記とします。なお、訓は同じです。

集歌3895 多麻波夜須 武庫能和多里尓 天傳 日能久礼由氣波 家乎之曽於毛布
訓読 玉はやす武庫の渡りに天伝ふ日の暮れ行けば家をしぞ思ふ
私訳 玉が映える武庫の渡りに、空を行く太陽が暮れて行くと、故郷の家が恋しく思う。

集歌3896 家尓底母 多由多敷命 浪乃宇倍尓 思之乎礼波 於久香之良受母
訓読 家にてもたゆたふ命(いのち)波の上(うへ)に思ひし居(を)れば奥処(おくか)知らずも
私訳 家にいても揺らぐ命だが、波の上に居ると思うと、なおさら運命の定めを知らない。
一云、宇伎弖氏之乎礼八
一は云はく、
訓読 浮きてしをれは
私訳 浮いていると、

集歌3897 大海乃 於久可母之良受 由久和礼乎 何時伎麻佐武等 問之兒等波母
訓読 大海の奥処(おくか)も知らず行く我を何時(いつ)来まさむと問ひし子らはも
私訳 大海の果ても知らずに旅行く私を、次は何時に来られるのかと問うた、あの子よ。
右九首、作者不審姓名
注訓 右の九首は、作者の姓名を審(つまび)らかにせず。

コメント
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