集歌3905 遊内乃 多努之吉庭尓 梅柳 乎理加謝思底波 意毛比奈美可毛
訓読 遊(あそ)ぶ内(うち)の楽しき庭に梅柳折りかざしてば思ひなみかも
私訳 風流を親しむ、この心地よい庭で梅と柳とを折りかざしたら、物思いをすることはないだろう。
集歌3906 御苑布能 百木乃宇梅乃 落花之 安米尓登妣安我里 雪等敷里家牟
訓読 御園生(みそのふ)の百木(ももき)の梅の散る花し天に飛び上がり雪と降りけむ
私訳 御苑のたくさんの梅の、その散る花が風に吹かれて天に飛び上がり、雪として降って来た。
右、十二年十一月九日、大伴宿祢家持作
左注 右は、十二年十一月九日に、大伴宿祢家持の作
注意 原文の「大伴宿祢家持」の「家持」は、一般に「書持」の誤記とし作家者が違います。
讃三香原新都謌一首并短謌
標訓 三香の原の新しき都を讃(ほ)めたる謌一首并せて短謌
集歌3907 山背乃 久尓能美夜古波 春佐礼播 花咲乎々理 秋佐礼婆 黄葉尓保比 於婆勢流 泉河乃 可美都瀬尓 宇知橋和多之 余登瀬尓波 宇枳橋和多之 安里我欲比 都加倍麻都良武 万代麻弖尓
訓読 山背(やましろ)の 久邇(くに)の都は 春されば 花咲きををり 秋されば 黄(もみち)葉(は)にほひ 帯(お)ばせる 泉(いづみ)し川の 上つ瀬に 打橋渡し 淀瀬(よどせ)には 浮橋渡し あり通ひ 仕へまつらむ 万代(よろづよ)までに
私訳 山城の久邇の都は、春になると花が咲き花で枝もたわみ、秋になると黄葉に色付く。帯のように流れる泉川の上流の瀬に棚杭を打って橋を渡し、淀みの瀬には浮き橋を渡し、通い続けてお仕えしよう。万代の後までも。
反謌
集歌3908 楯並而 伊豆美乃河波乃 水緒多要受 都可倍麻都良牟 大宮所
訓読 楯(たた)並(な)めて泉の川の水脈(みを)絶えず仕へまつらむ大宮所
私訳 楯を並べて弓を射る、その言葉の響きではないが、泉の川の水脈が絶えないように、絶えずお仕えしよう。大宮所よ。
右、天平十三年二月、右馬寮頭境部宿祢老麻呂作也
左注 右は、天平十三年二月、右(みぎの)馬寮(うまのりょうの)頭(かみ)境部(さかひべの)宿祢(すくね)老麻呂(をゆまろ)の作なり
詠霍公鳥謌二首
標訓 霍公鳥(ほととぎす)を詠(よ)める謌二首
集歌3909 多知婆奈波 常花尓毛歟 保登等藝須 周無等来鳴者 伎可奴日奈家牟
訓読 橘は常花(とこはな)にもが霍公鳥(ほととぎす)住むと来鳴かば聞かぬ日なけむ
私訳 橘はいつまでも咲き続ける花であってほしい。ホトトギスが住もうとやって来て鳴くなら、その鳴き声を聞かない日はないでしょう。
訓読 遊(あそ)ぶ内(うち)の楽しき庭に梅柳折りかざしてば思ひなみかも
私訳 風流を親しむ、この心地よい庭で梅と柳とを折りかざしたら、物思いをすることはないだろう。
集歌3906 御苑布能 百木乃宇梅乃 落花之 安米尓登妣安我里 雪等敷里家牟
訓読 御園生(みそのふ)の百木(ももき)の梅の散る花し天に飛び上がり雪と降りけむ
私訳 御苑のたくさんの梅の、その散る花が風に吹かれて天に飛び上がり、雪として降って来た。
右、十二年十一月九日、大伴宿祢家持作
左注 右は、十二年十一月九日に、大伴宿祢家持の作
注意 原文の「大伴宿祢家持」の「家持」は、一般に「書持」の誤記とし作家者が違います。
讃三香原新都謌一首并短謌
標訓 三香の原の新しき都を讃(ほ)めたる謌一首并せて短謌
集歌3907 山背乃 久尓能美夜古波 春佐礼播 花咲乎々理 秋佐礼婆 黄葉尓保比 於婆勢流 泉河乃 可美都瀬尓 宇知橋和多之 余登瀬尓波 宇枳橋和多之 安里我欲比 都加倍麻都良武 万代麻弖尓
訓読 山背(やましろ)の 久邇(くに)の都は 春されば 花咲きををり 秋されば 黄(もみち)葉(は)にほひ 帯(お)ばせる 泉(いづみ)し川の 上つ瀬に 打橋渡し 淀瀬(よどせ)には 浮橋渡し あり通ひ 仕へまつらむ 万代(よろづよ)までに
私訳 山城の久邇の都は、春になると花が咲き花で枝もたわみ、秋になると黄葉に色付く。帯のように流れる泉川の上流の瀬に棚杭を打って橋を渡し、淀みの瀬には浮き橋を渡し、通い続けてお仕えしよう。万代の後までも。
反謌
集歌3908 楯並而 伊豆美乃河波乃 水緒多要受 都可倍麻都良牟 大宮所
訓読 楯(たた)並(な)めて泉の川の水脈(みを)絶えず仕へまつらむ大宮所
私訳 楯を並べて弓を射る、その言葉の響きではないが、泉の川の水脈が絶えないように、絶えずお仕えしよう。大宮所よ。
右、天平十三年二月、右馬寮頭境部宿祢老麻呂作也
左注 右は、天平十三年二月、右(みぎの)馬寮(うまのりょうの)頭(かみ)境部(さかひべの)宿祢(すくね)老麻呂(をゆまろ)の作なり
詠霍公鳥謌二首
標訓 霍公鳥(ほととぎす)を詠(よ)める謌二首
集歌3909 多知婆奈波 常花尓毛歟 保登等藝須 周無等来鳴者 伎可奴日奈家牟
訓読 橘は常花(とこはな)にもが霍公鳥(ほととぎす)住むと来鳴かば聞かぬ日なけむ
私訳 橘はいつまでも咲き続ける花であってほしい。ホトトギスが住もうとやって来て鳴くなら、その鳴き声を聞かない日はないでしょう。