葛井連諸會應詔謌一首
標訓 葛井連諸會の詔に應(こた)へたる謌一首
集歌3925 新 年乃婆自米尓 豊乃登之 思流須登奈良思 雪能敷礼流波
訓読 新しき年の初めに豊(とよ)の年しるすとならし雪の降れるは
私訳 新しい年の初めに、豊作の年となる兆しなのでしょう。雪が降ってくるのは。
大伴宿祢家持應詔謌一首
標訓 大伴宿祢家持の詔に應(こた)へたる謌一首
集歌3926 大宮之 宇知尓毛刀尓毛 比賀流麻泥 零須白雪 見礼杼安可奴香聞
訓読 大宮し内にも外(と)にも光るまで降るす白雪見れど飽かぬかも
私訳 大宮の内にも外にも輝くほどに降る白雪は、眺めていても飽きることはありません。
藤原豊成朝臣 巨勢奈弖麻呂朝臣
大伴牛養宿祢 藤原仲麻呂朝臣
三原王 智奴王
船王 邑知王
山田王 林王
穂積朝臣老 小田朝臣諸人
小野朝臣綱手 高橋朝臣國足
太朝臣徳太理 高丘連河内
秦忌寸朝元 楢原造東人
右件王卿等、應詔作謌、依次奏之。登時不記其謌漏失。但秦忌寸朝元者、左大臣橘卿謔云、靡堪賦謌以麝贖之。因此點已也
左注 (人名省略) 右の件(くだん)の王卿等(おほまえつきみたち)は、詔に應(こた)へて謌を作り、次(しだい)に依りて奏(もう)しき。登時(すなはち)、その謌を記さずは漏失(もら)せり。但し、秦忌寸朝元は、左大臣橘卿の謔(たはぶ)れて云はく「謌を賦するに堪(あ)へずは、麝(じゃ)を以ちてこれを贖(あがな)へ」といへり。此に因りて點已(もだ)をりき。
大伴宿祢家持、以天平十八年閏七月、被任越中國守、即以七月赴任所。於時、姑大伴氏坂上郎女贈家持謌二首
標訓 大伴宿祢家持、天平十八年閏七月に、越中國守に任(ま)けられ、即ち七月を以ちて任所に赴(おもむ)く。その時に、姑(をば)大伴氏坂上郎女の家持に贈れる謌二首
集歌3927 久佐麻久良 多妣由久吉美乎 佐伎久安礼等 伊波比倍須恵都 安我登許能敝尓
訓読 草枕旅行く君を幸くあれと斎瓮(いはひべ)据ゑつ吾(あ)が床の辺(へ)に
私訳 草を枕とする苦しい旅を行く貴方を幸があるようにと神に祈る斎瓮を据えました。私の床のそばに。
集歌3928 伊麻能去等 古非之久伎美我 於毛保要婆 伊可尓加母世牟 須流須邊乃奈左
訓読 今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ
私訳 今、このように恋しいと貴方のことが感じられると、これからどうしましょう。これから先、どうしようもありません。
更贈越中國謌二首
標訓 更に越(こしの)中(みちのなかの)國(くに)に贈る謌二首
集歌3929 多妣尓伊仁思 吉美志毛都藝氏 伊米尓美由 安我加多孤悲乃 思氣家礼婆可聞
訓読 旅に去(い)にし君しも継ぎて夢に見ゆ吾(あ)が片恋の繁ければかも
私訳 旅立って去って行った貴方ですが、毎日次々と夢に姿を見ます。私が貴方を恋しく思うことがひどいからでしょうか。
標訓 葛井連諸會の詔に應(こた)へたる謌一首
集歌3925 新 年乃婆自米尓 豊乃登之 思流須登奈良思 雪能敷礼流波
訓読 新しき年の初めに豊(とよ)の年しるすとならし雪の降れるは
私訳 新しい年の初めに、豊作の年となる兆しなのでしょう。雪が降ってくるのは。
大伴宿祢家持應詔謌一首
標訓 大伴宿祢家持の詔に應(こた)へたる謌一首
集歌3926 大宮之 宇知尓毛刀尓毛 比賀流麻泥 零須白雪 見礼杼安可奴香聞
訓読 大宮し内にも外(と)にも光るまで降るす白雪見れど飽かぬかも
私訳 大宮の内にも外にも輝くほどに降る白雪は、眺めていても飽きることはありません。
藤原豊成朝臣 巨勢奈弖麻呂朝臣
大伴牛養宿祢 藤原仲麻呂朝臣
三原王 智奴王
船王 邑知王
山田王 林王
穂積朝臣老 小田朝臣諸人
小野朝臣綱手 高橋朝臣國足
太朝臣徳太理 高丘連河内
秦忌寸朝元 楢原造東人
右件王卿等、應詔作謌、依次奏之。登時不記其謌漏失。但秦忌寸朝元者、左大臣橘卿謔云、靡堪賦謌以麝贖之。因此點已也
左注 (人名省略) 右の件(くだん)の王卿等(おほまえつきみたち)は、詔に應(こた)へて謌を作り、次(しだい)に依りて奏(もう)しき。登時(すなはち)、その謌を記さずは漏失(もら)せり。但し、秦忌寸朝元は、左大臣橘卿の謔(たはぶ)れて云はく「謌を賦するに堪(あ)へずは、麝(じゃ)を以ちてこれを贖(あがな)へ」といへり。此に因りて點已(もだ)をりき。
大伴宿祢家持、以天平十八年閏七月、被任越中國守、即以七月赴任所。於時、姑大伴氏坂上郎女贈家持謌二首
標訓 大伴宿祢家持、天平十八年閏七月に、越中國守に任(ま)けられ、即ち七月を以ちて任所に赴(おもむ)く。その時に、姑(をば)大伴氏坂上郎女の家持に贈れる謌二首
集歌3927 久佐麻久良 多妣由久吉美乎 佐伎久安礼等 伊波比倍須恵都 安我登許能敝尓
訓読 草枕旅行く君を幸くあれと斎瓮(いはひべ)据ゑつ吾(あ)が床の辺(へ)に
私訳 草を枕とする苦しい旅を行く貴方を幸があるようにと神に祈る斎瓮を据えました。私の床のそばに。
集歌3928 伊麻能去等 古非之久伎美我 於毛保要婆 伊可尓加母世牟 須流須邊乃奈左
訓読 今のごと恋しく君が思ほえばいかにかもせむするすべのなさ
私訳 今、このように恋しいと貴方のことが感じられると、これからどうしましょう。これから先、どうしようもありません。
更贈越中國謌二首
標訓 更に越(こしの)中(みちのなかの)國(くに)に贈る謌二首
集歌3929 多妣尓伊仁思 吉美志毛都藝氏 伊米尓美由 安我加多孤悲乃 思氣家礼婆可聞
訓読 旅に去(い)にし君しも継ぎて夢に見ゆ吾(あ)が片恋の繁ければかも
私訳 旅立って去って行った貴方ですが、毎日次々と夢に姿を見ます。私が貴方を恋しく思うことがひどいからでしょうか。