集歌3930 美知乃奈加 久尓都美可未波 多妣由伎母 之思良奴伎美乎 米具美多麻波奈
訓読 道の中(なか)国つ御神(みかみ)は旅行きも為(し)知(し)らぬ君を恵みたまはな
私訳 越の国への道の中の国の、その国神はその国に旅立って行く、その国を良く知らないあの人を、幸いをお恵みください。
平群氏女郎、贈越中守大伴宿祢家持謌十二首
標訓 平群氏(へぐりうぢ)の女郎(いらつめ)の、越中守大伴宿祢家持に贈れる謌十二首
集歌3931 吉美尓餘里 吾名波須泥尓 多都多山 絶多流孤悲乃 之氣吉許呂可母
訓読 君により我が名はすでに龍田山絶えたる恋の繁き頃(ころ)かも
私訳 貴方によて私の噂話はすでに立つ、その言葉のひびきではないが、龍田山。そのひぎきのような絶えてしまった貴方との戀、その貴方への恋しい気持ちがひどく募る今日この頃です。
集歌3932 須麻比等乃 海邊都祢佐良受 夜久之保能 可良吉戀乎母 安礼波須流香物
訓読 須磨(すま)人(ひと)の海辺常去らず焼く塩の辛(から)き恋をも吾(あれ)はするかも
私訳 須磨の海人が海辺でいつもそこで焼く塩のように、辛い恋をも私はするのでしょう。
集歌3933 阿里佐利底 能知毛相牟等 於母倍許曽 都由能伊乃知母 都藝都追和多礼
訓読 有り去りて後も逢はむと思へこそ露の命も継ぎつつ渡れ
私訳 恋が終わった後でも、また、お逢いしたいと思っているから、露のようなはかない私の命も、継なぎながら日々を暮らしています。
集歌3934 奈加奈可尓 之奈婆夜須家牟 伎美我目乎 美受比佐奈良婆 須敝奈可流倍思
訓読 なかなかに死なば安けむ君が目を見ず久(ひさ)ならばすべなかるべし
私訳 反って死んでしまったら気も休まるでしょう。貴方にお逢い出来ずにその時が長くなるのなら、戀焦がれる私の思いは、どうしようもないことです。
訓読 道の中(なか)国つ御神(みかみ)は旅行きも為(し)知(し)らぬ君を恵みたまはな
私訳 越の国への道の中の国の、その国神はその国に旅立って行く、その国を良く知らないあの人を、幸いをお恵みください。
平群氏女郎、贈越中守大伴宿祢家持謌十二首
標訓 平群氏(へぐりうぢ)の女郎(いらつめ)の、越中守大伴宿祢家持に贈れる謌十二首
集歌3931 吉美尓餘里 吾名波須泥尓 多都多山 絶多流孤悲乃 之氣吉許呂可母
訓読 君により我が名はすでに龍田山絶えたる恋の繁き頃(ころ)かも
私訳 貴方によて私の噂話はすでに立つ、その言葉のひびきではないが、龍田山。そのひぎきのような絶えてしまった貴方との戀、その貴方への恋しい気持ちがひどく募る今日この頃です。
集歌3932 須麻比等乃 海邊都祢佐良受 夜久之保能 可良吉戀乎母 安礼波須流香物
訓読 須磨(すま)人(ひと)の海辺常去らず焼く塩の辛(から)き恋をも吾(あれ)はするかも
私訳 須磨の海人が海辺でいつもそこで焼く塩のように、辛い恋をも私はするのでしょう。
集歌3933 阿里佐利底 能知毛相牟等 於母倍許曽 都由能伊乃知母 都藝都追和多礼
訓読 有り去りて後も逢はむと思へこそ露の命も継ぎつつ渡れ
私訳 恋が終わった後でも、また、お逢いしたいと思っているから、露のようなはかない私の命も、継なぎながら日々を暮らしています。
集歌3934 奈加奈可尓 之奈婆夜須家牟 伎美我目乎 美受比佐奈良婆 須敝奈可流倍思
訓読 なかなかに死なば安けむ君が目を見ず久(ひさ)ならばすべなかるべし
私訳 反って死んでしまったら気も休まるでしょう。貴方にお逢い出来ずにその時が長くなるのなら、戀焦がれる私の思いは、どうしようもないことです。