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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻12 歌番号723から727まで

2025年01月27日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

歌番号 723

詞書 女の許にまかりそめて

詠人 大江為基

原文 比乃宇知尓 毛乃遠布多々比 於毛飛可奈 止久安遣奴留止 於曽久々留々止

和歌 ひのうちに ものをふたたひ おもふかな とくあけぬると おそくくるると

読下 日のうちに物をふたたひ思ふかなとくあけぬるとおそくくるると

解釈 一日の内に貴女とのことを再び思い浮かべます、今朝、早く夜が明けてしまった口惜しさと、今宵のなかなか時が経たずに遅く暮れていくことを。

 

歌番号 724 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 つらゆき

原文 毛々者加幾 者祢可久之幾毛 和可己止久 安之多和比之幾 加春八万左良之

和歌 ももはかき はねかくしきも わかことく あしたわひしき かすはまさらし

読下 ももはかきはねかくしきもわかことく朝わひしきかすはまさらし

解釈 百も羽を羽ばたく鴫も、私のような早朝の辛さの数では、その数で勝ることは無いでしょうね。

 

歌番号 725 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇徒々尓毛 由女尓毛比止尓 与留之安部者 久礼由久者可利 宇礼之幾者奈之

和歌 うつつにも ゆめにもひとに よるしあへは くれゆくはかり うれしきはなし

読下 うつつにも夢にも人によるしあへはくれゆくはかりうれしきはなし

解釈 現実でも夢でもあの人に寄り、夜に逢えるのならば、日が暮れ行くほど、これほどうれしいものはありません。

 

歌番号 726

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安可川幾乃 和可礼乃美知遠 於毛者寸者 久礼由幾曽良波 宇礼之可良末之

和歌 あかつきの わかれのみちを おもはすは くれゆくそらは うれしからまし

読下 暁の別の道をおもはすはくれ行くそらはうれしからまし

解釈 翌朝の暁の貴方との別れの道のことを思わなければ、日が暮れ行く空は、これほどうれしいものはありません。

 

歌番号 727 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 幾美己不留 奈美堂乃己保留 布由乃世者 己々呂止計多留 以也者祢良累々

和歌 きみこふる なみたのこほる ふゆのよは こころとけたる いやはねらるる

読下 君こふる涙のこほる冬の夜は心とけたるいやはねらるる

解釈 貴方に恋焦がれて流す涙が凍る冬の夜は、貴方を思う心が急いて、居寝ることが出来るでしょうか、いや、出来ません。

注意 四句目、五句目が難解です。

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拾遺和歌集 巻12 歌番号718から722まで

2025年01月24日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

歌番号 718

詞書 不記

詠人 よみ人しらす

原文 飛止利祢之 止幾者万多礼之 止利乃祢毛 万礼尓安不与者 和比之加利个里

和歌 ひとりねし ときはまたれし とりのねも まれにあふよは わひしかりけり

読下 ひとりねし時はまたれし鳥のねもまれにあふよはわひしかりけり

解釈 独り寝をした時は待つことが出来た朝明けの鳥の音も、時に貴方と逢い共寝する夜は、辛い夜明けを告げる鳥の音と感じます。

 

歌番号 719

詞書 不記

詠人 よみ人しらす

原文 可川良幾也 和礼也者久女乃 者之川久利 安遣由久本止者 毛乃遠己曽於毛部

和歌 かつらきや われやはくめの はしつくり あけゆくほとは ものをこそおもへ

読下 葛木や我やはくめのはしつくりあけゆくほとは物をこそおもへ

解釈 葛木の、私は久米の橋作りをした鬼神のようです、夜が明け行くほどに、物思いをすることです。

注意 直訳は面白みがありません。さて、久米の仙人は川で洗濯している女性の「ほと」を見て神通力を失った人です。バレ歌では、その様子を詠ったとも取れます。

 

歌番号 720

詞書 本院の五の君の許にはしめてまかりて、あしたに

詠人 平行時

原文 安左満多幾 川由和个幾川留 己呂毛天乃 飛累万者可利尓 己飛之幾也奈曽

和歌 あさまたき つゆわけきつる ころもての ひるまはかりに こひしきやなそ

読下 あさまたき露わけきつる衣手のひるまはかりにこひしきやなそ

解釈 朝早くに露を置いた草葉を分けつつ帰って行き、その濡れた衣手を干す、その言葉の響きではありませんが、宵を待つ昼間にあっても、貴女が恋しいのはどうしてでしょうか。

注意 後朝の歌ですから既に最初の逢瀬が終わった直後となります。それで二日連続です。なお、家のつながりを前提とした婚姻ですと三日連続で通うのが決まりです。

 

歌番号 721

詞書 本院のひむかしのたいの君にまかりかよひて、あしたに

詠人 大納言源きよかけ

原文 布多川奈幾 己々呂者幾美尓 遠幾川留遠 万多本止毛奈久 己飛之幾也奈曽

和歌 ふたつなき こころはきみに おきつるを またほともなく こひしきやなそ

読下 ふたつなき心は君におきつるを又ほともなくこひしきやなそ

解釈 二つとは無い心を貴女の許に置いて来たはずなのに、まつ、すぐに貴女が恋しいのはどうした訳でしょうか。

 

歌番号 722 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 以徒之可止 久礼遠末川満乃 於本曽良波 久毛留佐部己曽 宇礼之可利个礼

和歌 いつしかと くれをまつまの おほそらは くもるさへこそ うれしかりけれ

読下 いつしかとくれをまつまのおほそらはくもるさへこそうれしかりけれ

解釈 (貴方が通って来る今日、)いつ、暮れていくのかと待つ間の大空は、日が陰るでしょうその曇ることだけでも、嬉しいものです。

 

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拾遺和歌集 巻12 歌番号713から717まで

2025年01月23日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

歌番号 713 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和可己比者 奈本安比美天毛 奈久左万寸 以也万佐利奈留 己々地乃美之天

和歌 わかこひは なほあひみても なくさます いやまさりなる ここちのみして

読下 わか恋は猶あひ見てもなくさますいやまさりなる心地のみして

解釈 私の恋は、このように貴女と夜を共にしても心が安らぎません、いや、恋焦がれる気持ちが一層に勝る気持ちばかりがします。

 

歌番号 714 拾遺抄記載

詞書 はしめて女の許にまかりて、あしたにつかはしける

詠人 よしのふ

原文 安不己止遠 満知之川幾比乃 本止与利毛 遣不乃久礼己曽 飛左之加利个礼

和歌 あふことを まちしつきひの ほとよりも けふのくれこそ ひさしかりけれ

読下 逢ふ事をまちし月日のほとよりもけふのくれこそひさしかりけれ

解釈 貴女と逢い夜を共にすることを願い待っていた月日のことよりも、またすぐに貴女の許に通う、その今日の夕暮れの方が非常に長く感じます。

注意 後朝の歌ですから既に最初の逢瀬が終わった直後となります。それで二日連続です。なお、家のつながりを前提とした婚姻ですと三日連続で通うのが決まりです。

 

歌番号 715

詞書 はしめて女の許にまかりて、あしたにつかはしける

詠人 つらゆき

原文 安可川幾乃 奈可良末之可八 之良川由乃 於幾天和比之幾 和可礼世万之也

和歌 あかつきの なからましかは しらつゆの おきてわひしき わかれせましや

読下 暁のなからましかは白露のおきてわひしき別せましや

解釈 暁がやって来なければ、白露が置く、その言葉の響きのような、貴女の許から起きて辛い別れはしませんが。(でも、もう、時間です。)

 

歌番号 716 拾遺抄記載

詞書 はしめて女の許にまかりて、あしたにつかはしける

詠人 つらゆき

原文 安飛美天毛 奈本奈久左万奴 己々呂可奈 以久知与祢天可 己比乃左武部幾

和歌 あひみても なほなくさまぬ こころかな いくちよねてか こひのさむへき

読下 あひ見ても猶なくさまぬ心かないくちよねてかこひのさむへき

解釈 私の恋は、このように貴女と夜を共にしても心が安らぎません、どれほど千代の夜を共にして、恋焦がれ急く気持ちが落ち着くでしょうか。

 

歌番号 717

詞書 不記

詠人 人まろ

原文 武者多満乃 己与比奈安計曽 安遣由可者 安佐由久幾美遠 万川久留之幾尓

和歌 むはたまの こよひなあけそ あけゆかは あさゆくきみを まつくるしきに

読下 むはたまのこよひなあけそあけゆかはあさゆく君をまつくるしきに

解釈 烏梅玉のような漆黒の今夜よ、明けるな、夜が明けて行くと、朝に帰って行く君の、その次の訪問を待つことが辛いから。

 

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拾遺和歌集 巻12 歌番号708から712まで

2025年01月22日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

歌番号 708

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 由女可止毛 於毛飛部个礼止 祢也者世之 奈尓曽己々呂尓 和寸礼可多幾八

和歌 ゆめかとも おもふへけれと ねやはせし なにそこころに わすれかたきは

読下 夢かとも思ふへけれとねやはせしなにそ心にわすれかたきは

解釈 これは夢なのかと思うけど、寝てもいないのに、どうして、心には忘れることが出来ないのでしょうか。

注意 新日本古典文学大系では歌番号708と709を組み歌と考えています。

 

歌番号 709

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 遊免与由女 己飛之幾比止尓 安比美寸奈 佐女天乃々知尓 和比之加利个里

和歌 ゆめよゆめ こひしきひとに あひみすな さめてののちに わひしかりけり

読下 ゆめよゆめこひしき人にあひ見すなさめてののちにわひしかりけり

解釈 この夢は嫁なのでしょう、恋焦がれた貴方を夢に逢わせ見せないで、夢から覚めた後、とてもがっかりしてしまうから。

 

歌番号 710 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 権中納言敦忠

原文 安飛美天乃 々知乃己々呂尓 久良不礼者 武可之者毛乃毛 於毛者佐利个里

和歌 あひみての のちのこころに くらふれは むかしはものも おもはさりけり

読下 あひ見てののちの心にくらふれは昔は物もおもはさりけり

解釈 貴女とこのように共に夜を過ごした後の、今の気持ちと比べると、恋焦がれた昔は何も思っていないようなものですね。

注意 新日本古典文学大系でも「あひみて」を夜を共にする逢瀬と解釈します。

 

歌番号 711

詞書 題しらす

詠人 坂上是則

原文 阿比美天者 奈久左武也止曽 於毛飛之遠 奈己利之毛己曽 己比之可利个礼

和歌 あひみては なくさむやとそ おもひしを なこりしもこそ こひしかりけれ

読下 あひみてはなくさむやとそ思ひしをなこりしもこそこひしかりけれ

解釈 貴女とこのように共に夜を過ごした後、私の恋焦がれた思いは慰められると思いっていましたが、貴女と共にした逢瀬の名残りばかりが、恋しくてたまりません。(すぐにでも、貴女を抱きたい)

 

歌番号 712 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安飛美天毛 安里尓之毛乃遠 以徒乃末尓 奈良日天比止乃 己飛之可留良无

和歌 あひみても ありにしものを いつのまに ならひてひとの こひしかるらむ

読下 あひ見てもありにしものをいつのまにならひて人のこひしかるらん

解釈 殿方と共に夜を過ごさなくても、それは常のことだったのですが、いつの間にか、抱かれることが普通のことと思える貴方になった、その貴方が恋しいものです。

 

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拾遺和歌集 巻12 歌番号703から707まで

2025年01月21日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

歌番号 703

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安地幾奈也 和可奈者多知天 可良己呂毛 三尓毛奈良佐天 也三奴部幾可奈

和歌 あちきなや わかなはたちて からころも みにもならさて やみぬへきかな

読下 あちきなやわかなはたちて唐衣身にもならさてやみぬへきかな

解釈 詰まらない気分です、私の噂話が立って、唐衣を身に纏う、その言葉の響きではないが、実際には肌身を寄せ合う関係にもなっていなくて、噂だけであの人との関係が終わってしまいそうです。

 

歌番号 704

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 可良己呂毛 和礼者加多奈乃 布礼奈久尓 万川太川毛乃者 奈幾名奈利个利

和歌 からころも われはかたなの ふれなくに まつたつものは なきななりけり

読下 唐衣我はかたなのふれなくにまつたつ物はなき名なりけり

解釈 唐衣を裁つ、その言葉の響きではありませんが、私は刀に触れてもいないのに、でも、最初に立つものは実態のない噂話です。

注意 この歌は女歌で、その時の「刀」とは男性器のことです。最初に立つのが「刀」ではないと言う、ちょっと、エッチな歌です。

 

歌番号 705

詞書 題しらす

詠人 源重之

原文 曽免可者尓 也止可留奈美乃 者也个礼者 奈幾名多知止毛 以満八宇良三之

和歌 そめかはに やとかるなみの はやけれは なきなたつとも いまはうらみし

読下 そめ河にやとかる浪のはやけれはなき名立つとも今は怨みし

解釈 あの染河に宿る河浪が早いという、その言葉の響きではないが、貴女の宿を借りことが早く現実になるのなら、実態の無い噂話が立ったとしても、今は恨むことは致しません。

 

歌番号 706

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己者太可者 己者堂可以飛之 己止乃波曽 奈幾奈春々加武 多幾川世毛奈之

和歌 こはたかは こはたかいひし ことのはそ なきなすすかむ たきつせもなし

読下 こはた河こはたかいひし事のはそなきなすすかむたきつせもなし

解釈 木幡河、その言葉の響きではないが、誰が高々と言いふらしたのでしょうか、その噂話は、実態の無い噂話で汚れた名を濯ぎたいのですが、木幡河には澄んだ急流はありません。実に残念です。

 

歌番号 707

詞書 女のもとにつかはしける

詠人 藤原忠房朝臣

原文 幾美可那乃 多知尓止可奈幾 三奈利世者 於本与曽比止尓 奈之天美万之也

和歌 きみかなの たつにとかなき みなりせは おほよそひとに なしてみましや

読下 君か名の立つにとかなき身なりせはおほよそ人になして見ましや

解釈 貴女の噂話が立つのに、私に責めを負う咎が無い身の上であったなら、まったくの無関係の人のように振舞っていましょうか。(それとも、貴女は私の恋人だと公言しましょうか。さて、)

 

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