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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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拾遺和歌集 巻12 歌番号698から702まで

2025年01月20日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻12

拾遺和歌集

 

巻十二:恋二

 

歌番号 698

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者留乃々尓 於不留奈幾奈乃 和比之幾者 三遠徒美天多尓 比止乃之良奴与

和歌 はるののに おふるなきなの わひしきは みをつみてたに ひとのしらぬよ

読下 春の野におふるなきなのわひしきは身をつみてたに人のしらぬよ

解釈 春の野に生える葱菜、その言葉では無いが、貴女に名が知られない侘しき我が身は、身をちょっと抓み上げるほどにも、貴女は気付かれていません。

 

歌番号 699

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈幾名乃美 堂川多乃也万乃 安遠徒々良 末多久留比止毛 美恵奴止己呂尓

和歌 なきなのみ たつたのやまの あをつつら またくるひとも みえぬところに

読下 なき名のみたつたの山のあをつつら又くる人も見えぬ所に

解釈 実態の無い噂話だけが立つ、その言葉の響きのような、龍田山の青つづらの藤蔓を繰る、その言葉のような、

 

歌番号 700

詞書 題しらす

詠人 人麿

原文 奈幾奈乃美 太川乃以知止八 左波遣止毛 以左万多比止遠 宇累与之毛奈之

和歌 なきなのみ たつのいちとは さわけとも いさまたひとを うるよしもなし

読下 無き名のみたつの市とはさわけともいさまた人をうるよしもなし

解釈 実態の無い噂話だけが立つ、その言葉の響きのような、辰の日の市のように騒々しくても、だからと言って、それであの人の気持ちを得る訳でもない。

 

歌番号 701

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈幾己止遠 以者礼乃以計乃 宇幾奴奈者 久累之幾毛乃者 与尓己曽安利个礼

和歌 なきことを いはれのいけの うきぬなは くるしきものは よにこそありけれ

読下 なき事をいはれの池のうきぬなはくるしき物は世にこそ有りけれ

解釈 実態の無い噂話だけを言われる、その言葉の響きのような、磐余の池に浮蒪菜(うきぬなは:ジュンサイ)のように、ただ、水に浸かり漂うような実態の無い辛いものは、この世だからあるのでしょう。

 

歌番号 702

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 多計乃者尓 越幾為留川由乃 末呂日安比天 奴留止者奈之尓 多知和可奈可奈

和歌 たけのはに おきゐるつゆの まろひあひて ぬるとはなしに たつわかなかな

読下 竹の葉におきゐる露のまろひあひてぬるとはなしに立つわかなかな

解釈 竹の葉に置き居る露が丸く転がり合う、その言葉の響きではないが、貴方と、まだ、まろびあって寝た訳でもないのに、立つ私の噂話です。

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