歌番号 748
詞書 題しらす
詠人 よみ人しらす
原文 安幾幾利乃 者礼奴安之多乃 於保曽良遠 美留可己止久毛 美恵奴幾美可奈
和歌 あききりの はれぬあしたの おほそらを みるかことくも みえぬきみかな
読下 秋霧のはれぬ朝のおほそらを見るかことくも見えぬ君かな
解釈 秋の霧の晴れない朝、大空を眺めるように、まったくに姿を見せない貴方です。
歌番号 749 拾遺抄記載
詞書 題しらす
詠人 よみ人しらす
原文 己比和比奴 祢遠多尓奈可武 己恵堂天々 以川己奈留良无 於止奈之乃左止
和歌 こひわひぬ ねをたになかむ こゑたてて いつこなるらむ おとなしのさと
読下 恋ひわひぬねをたになかむ声たてていつこなるらんおとなしのさと
解釈 恋焦がれて声を上げて泣きましょう、でも、その泣き声を立てても人に聞こえないと言う、どこにあるのでしょう、音無の里は。
歌番号 750 拾遺抄記載
詞書 しのひてけさうし侍りける女のもとにつかはしける
詠人 もとすけ
原文 遠止奈之乃 加者止曽川為尓 奈可礼遣留 以者天毛乃於毛不 比止乃奈美堂者
和歌 おとなしの かはとそつひに なかれける いはてものおもふ ひとのなみたは
読下 おとなしのかはとそつひに流れけるいはて物思ふ人の渡は
解釈 音無の河となってついには流れる、その言葉ではありませんが、ついに流れ出しています、声に出すことなく貴女を恋焦がれる私の涙は。
歌番号 751 拾遺抄記載
詞書 題しらす
詠人 よみ人しらす
原文 可世佐武美 己恵与者利由幾 武之与利毛 以者天毛乃於毛不 和礼曽万左礼留
和歌 かせさむみ こゑよわりゆく むしよりも いはてものおもふ われそまされる
読下 風さむみ声よわり行く虫よりもいはて物思ふ我そまされる
解釈 風が肌寒く鳴く声が弱り行く虫よりも、貴女に告白することなく恋焦がれる私の方が、もっと、弱って行っています。
歌番号 752 拾遺抄記載
詞書 題しらす
詠人 よみ人しらす
原文 志可乃安満乃 徒利尓止毛世留 以左利火乃 本乃可尓以毛遠 美留与之毛可奈
和歌 しかのあまの つりにともせる いさりひの ほのかにいもを みるよしもかな
読下 しかのあまのつりにともせるいさり火のほのかにいもを見るよしもかな
解釈 志賀の海人の釣りをするときに灯す漁火が仄かに見える、その言葉ではありませんが、仄かに姿を見た貴女、その貴女に出会う手立てがありません。