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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻2 歌番号84から88まで

2024年07月29日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 84

詞書 円融院の御時の御屏風歌

詠人 平かねもり

原文 須美世之乃 幾之乃布知奈美 和可也止乃 万川乃己寸恵尓 以呂八万佐良之

和歌 すみよしの きしのふちなみ わかやとの まつのこすゑに いろはまさらし

読下 住吉の岸のふちなみわかやとの松のこすゑに色はまさらし

解釈 住吉の岸の藤波、我が屋敷の松の梢に蔓花が懸かる藤の花に、花色が優ることは無いでしょう。(我が屋敷の藤が一番です。)

 

歌番号 85

詞書 円融院の御時の御屏風歌

詠人 したかふ

原文 武良左幾乃 布知佐久万川乃 己須恵尓八 毛止乃美止利毛 美恵寸曽安利个留

和歌 むらさきの ふちさくまつの こすゑには もとのみとりも みえすそありける

読下 紫のふちさく松のこすゑにはもとのみとりもみえすそありける

解釈 紫色の房となって藤の花が咲く、その松の梢には藤の蔓花で覆われてしまい元の常緑の松の緑が見えません。

 

歌番号 86 拾遺抄記載

詞書 延喜の御時、飛香舎にて藤の花の宴侍りける時に

詠人 小野宮太政大臣

原文 宇須久己久 美多礼天左个留 不知乃者奈 比止之幾以呂八 安良之止曽遠毛飛

和歌 うすくこく みたれてさける ふちのはな ひとしきいろは あらしとそおもふ

読下 うすくこくみたれてさける藤の花ひとしき色はあらしとそ思ふ

解釈 薄く濃く、乱れて咲いている藤の花よ、高貴な紫色、この藤の花色に匹敵する色は他には存在しないと思います。

 

歌番号 87

詞書 題しらす

詠人 躬恒

原文 天毛布礼天 於之武可飛奈久 不知乃者奈 曽己尓宇川礼者 奈美曽於利个留

和歌 てもふれて をしむかひなく ふちのはな そこにうつれは なみそをりける

読下 手もふれてをしむかひなく藤の花そこにうつれは浪そをりける

解釈 手も触れず惜しんだ甲斐も無く、藤の花は散って川の底(水面)に姿を移せば、まるで、浪が藤の花房を折ったようです。

 

歌番号 88

詞書 たこのうらの藤の花を見侍りて

詠人 柿本人麿

原文 太己乃宇良乃 曽己佐部尓本不 々知奈美遠 加佐之天由可无 美奴比止乃多女

和歌 たこのうらの そこさへにほふ ふちなみを かさしてゆかむ みぬひとのため

読下 たこの浦のそこさへにほふ藤浪をかさしてゆかん見ぬ人のため

解釈 多祜の浦の底(水面)までも照り輝かせる藤波の花を髪飾りとして行きましょう、この藤波を眺めていない人のために。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号79から83まで

2024年07月26日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

拾遺和歌集

 

巻二:夏

 

歌番号 79

詞書 天暦の御時の歌合に

詠人 大中臣能宣

原文 奈久己衛者 満多幾可祢止毛 世美乃者乃 宇寸幾己呂毛者 多知曽幾天个留

和歌 なくこゑは またきかねとも せみのはの うすきころもは たちそきてける

読下 なくこゑはまたきかねともせみのはのうすき衣はたちそきてける

解釈 蝉の鳴く声はまだ聞こえないけれど、衣替えの時期、蝉の羽のような薄い衣を裁ちて着ました。

 

歌番号 80 拾遺抄記載

詞書 屏風に

詠人 したかふ

原文 和可也止乃 加幾祢也者留遠 部多川良无 奈川幾尓个利止 美由留宇乃者奈

和歌 わかやとの かきねやはるを へたつらむ なつきにけりと みゆるうのはな

読下 わかやとのかきねやはるをへたつらん夏きにけりと見ゆる卯の花

解釈 私の屋敷の垣根は春の季節を隔てたのだろうか、夏がやって来たとばかりに思える、卯の花です。

 

歌番号 81 拾遺抄記載

詞書 冷泉院の東宮におはしましける時、百首歌たてまつれとおほせられけれは

詠人 源重之

原文 者奈乃衣呂尓 曽免之多毛止乃 於之个礼八 己呂毛加部宇幾 个不尓毛安留可奈

和歌 はなのいろに そめしたもとの をしけれは ころもかへうき けふにもあるかな

読下 花の色に染めし袂の惜しけれは衣かへうきけふにもあるかな

解釈 花の色に染めた袂が名残惜しいので、夏の衣替えの行事は心侘しく感じるものです。

 

歌番号 82 拾遺抄記載

詞書 なつのはしめによみ侍りける

詠人 盛明のみこ

原文 者奈知留止 以止飛之毛乃遠 奈川己呂毛 堂川也遠曽幾止 可世遠末川可奈

和歌 はなちると いとひしものを なつころも たつやおそきと かせをまつかな

読下 花ちるといとひしものを夏衣たつやおそきと風をまつかな

解釈 春の季節が終わる時、花が散ると嫌ったものですが、衣替えで夏衣を裁って着ると、遅いなぁと思いながら秋風を待っています。

 

歌番号 83 拾遺抄記載

詞書 百首歌中に

詠人 しけゆき

原文 奈川尓己曽 佐幾可々利个礼 布知乃者奈 万川尓止乃美毛 於毛飛个留可奈

和歌 なつにこそ さきかかりけれ ふちのはな まつにとのみも おもひけるかな

読下 夏にこそさきかかりけれふちの花松にとのみも思ひけるかな

解釈 夏になると咲き木々に蔓花が懸かる藤の花よ、その藤の花は季節を待つばかり、その言葉の響きではありませんが、松の枝ばかりに懸かるものと思っていたのですが。

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