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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻2 歌番号109から113まで

2024年08月05日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 109 拾遺抄記載

詞書 屏風に

詠人 大中臣能宣

原文 幾乃不万天 与曽尓遠毛飛之 安也女久左 遣布和可也止乃 川万止美留可奈

和歌 きのふまて よそにおもひし あやめくさ けふわかやとの つまとみるかな

読下 昨日まてよそに思ひしあやめ草けふわかやとのつまと見るかな

解釈 昨日まで関係が無いと思っていた菖蒲の草を、今日は私の屋敷の端(つま)、その言葉の響きのような大切な妻のように眺めます。

注意 和歌のホトトギスはカッコウのことで、カッコーカッコーと啼く声を片恋片恋と聴きます。それで妻の話題となります。

 

歌番号 110

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 遣不美礼者 多麻乃宇天奈毛 奈可利个利 安也女乃久左乃 以本利乃美之天

和歌 けふみれは たまのうてなも なかりけり あやめのくさの いほりのみして

読下 けふ見れは玉のうてなもなかりけりあやめの草のいほりのみして

解釈 今日、眺めると珠を飾り置く台もありません、菖蒲の草が咲く庵ばかりで。

注意 漢詩を和歌に直したものと思われるが、元の漢詩が不明で意味不詳です。

 

歌番号 111 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 延喜の御製

原文 安之飛幾乃 也万本止々幾須 遣不止天也 安也女乃久左乃 祢尓多天々奈久

和歌 あしひきの やまほとときす けふとてや あやめのくさの ねにたててなく

読下 葦引の山郭公けふとてやあやめの草のねにたててなく

解釈 葦や檜の生い茂る山のホトトギスよ、今日は菖蒲の草の根、その言葉の響きではないが、音を上げて鳴いています。

 

歌番号 112 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 堂可曽天尓 遠毛飛与曽部天 本止々幾須 者奈堂知者奈乃 恵多尓奈久良无

和歌 たかそてに おもひよそへて ほとときす はなたちはなの えたになくらむ

読下 たかそてに思ひよそへて郭公花橘のえたになくらん

解釈 片恋、片恋と、誰の袖に思いを寄せて、ホトトギスは花橘の枝に止まって鳴いているのだろうか。

注意 和歌の約束では、ホトトギスはカッコウのことで、カッコーカッコーと啼く声を片恋片恋と聴きます。

 

歌番号 113 拾遺抄記載

詞書 天暦御時の屏風に、よとのわたりする人かける所に

詠人 壬生忠見

原文 以徒可多尓 奈幾天由久良无 本止々幾須 与止乃和多利乃 万多与不可幾尓

和歌 いつかたに なきてゆくらむ ほとときす よとのわたりの またよふかきに

読下 いつ方になきてゆくらむ郭公よどのわたりのまた夜ふかきに

解釈 一体、どちらの方向に向いて鳴いて飛んで行くのだろうか、ホトトギスよ、淀の渡りはまだ夜が深いのに。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号104から108まで

2024年08月02日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 104 拾遺抄記載

詞書 天暦の御時の歌合に

詠人 壬生忠見

原文 佐世布遣天 祢左免左利世者 本止々幾須 比止徒天尓己曽 幾久部可利个礼

和歌 さよふけて ねさめさりせは ほとときす ひとつてにこそ きくへかりけれ

読下 さ夜ふけてねさめさりせは郭公人つてにこそきくへかりけれ

解釈 夜が更けて、寝覚めをすることをしなければ、ホトトギス、人伝ばかりで、その啼く様子を聞くばかりでした。(私は確かに聞きましたよ。)

 

歌番号 105

詞書 おなし御時の御屏風に

詠人 伊勢

原文 布多己衛止 幾久止者奈之尓 本止々幾須 与不可久女遠毛 左万之川留可奈

和歌 ふたこゑと きくとはなしに ほとときす よふかくめをも さましつるかな

読下 ふたこゑときくとはなしに郭公夜深くめをもさましつるかな

解釈 二声を聴くことはないのに、ホトトギスの鳴き声に、夜深くに目を覚ましてしまいました。

 

歌番号 106 拾遺抄記載

詞書 北宮のもきの屏風に

詠人 源公忠朝臣

原文 由幾也良天 也万地久良之徒 本止々幾須 以満比止己衛乃 幾可万本之左尓

和歌 ゆきやらて やまちくらしつ ほとときす いまひとこゑの きかまほしさに

読下 行きやらて山ぢくらしつほとときす今ひとこゑのきかまほしさに

解釈 そのまま通り過ぎることが出来なくて、山路で日を暮らしてしまった、ホトトギスよ、今、もう一声、その啼き声を聴きたいものです。

 

歌番号 107 拾遺抄記載

詞書 敦忠朝臣の家の屏風に

詠人 つらゆき

原文 己乃左止尓 以可奈留比止加 以部為之天 也万本止々幾須 堂衛寸幾久良无

和歌 このさとに いかなるひとか いへゐして やまほとときす たえすきくらむ

読下 このさとにいかなる人かいへゐして山郭公たえすきくらむ

解釈 この里にどのような人が家を構えて住んでいて、山のホトトギスの鳴き声を絶えず聞いているのでしょうか。

 

歌番号 108

詞書 延喜の御時の歌合に

詠人 よみ人しらす

原文 佐美多礼者 知可久奈留良之 与止可者乃 安也女乃久左毛 美久左於日尓个利

和歌 さみたれは ちかくなるらし よとかはの あやめのくさも みくさおひにけり

読下 さみたれはちかくなるらしよと河のあやめの草もみくさおひにけり

解釈 五月雨の季節は近くなって来たようです、淀河の菖蒲の草も水草も生い茂っています。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号99から103まで

2024年08月01日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 99 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 也万佐止尓 也止良佐利世者 本止々幾須 幾久比止毛奈幾 祢遠也奈可末之

和歌 やまさとに やとらさりせは ほとときす きくひともなき ねをやなかまし

読下 やまさとにやとらさりせは郭公きく人もなきねをや啼かまし

解釈 山里に宿りをしなかったら、ホトトギスよ、その啼き声を聴く人もいない、無駄な鳴き声を立てることになったでしょう。

 

歌番号 100

詞書 天暦の御時の歌合に

詠人 坂上望城

原文 保乃可尓曽 奈幾和多留奈留 本止々幾須 美也万遠以徒留 計左乃者川己恵

和歌 ほのかにそ なきわたるなる ほとときす みやまをいつる けさのはつこゑ

読下 髣髴にそ鳴渡るなる郭公み山をいつるけさのはつ声

解釈 ほのかに啼き渡っているホトトギスの声、深山を出て来て、今朝の初声です。

 

歌番号 101 拾遺抄記載

詞書 天暦御時の歌合に

詠人 平兼盛

原文 美也万以天々 世者尓也幾川留 本止々幾須 安可川幾加个天 己衛乃幾己由留

和歌 みやまいてて よはにやきつる ほとときす あかつきかけて こゑのきこゆる

読下 み山いてて夜半にや来つる郭公暁かけてこゑのきこゆる

解釈 深い山を出立して夜半にはやって来るホトトギス、明け方に渡って、その啼き声が聞こえます。

 

歌番号 102 拾遺抄記載

詞書 寛和二年、内裏歌合に

詠人 右大将道綱母

原文 美也己比止 祢天万川良女也 本止々幾須 以満曽也万部遠 奈幾天以川奈留

和歌 みやこひと ねてまつらめや ほとときす いまそやまへを なきていつなる

読下 宮こ人ねでまつらめや郭公今そ山へをなきていつなる

解釈 都の人は、まだ寝ないで待っているでしょう、そのホトトギスは、今、山の辺を啼きながら出て行くようです。

 

歌番号 103 拾遺抄記載

詞書 女四のみこの家、歌合に

詠人 坂上是則

原文 也万可徒止 比止者以部止毛 本止々幾須 末川者徒己恵者 和礼乃美曽幾久

和歌 やまかつと ひとはいへとも ほとときす まつはつこゑは われのみそきく

読下 山かつと人はいへとも郭公まつはつこゑは我のみそきく

解釈 私のことを山に住む人と人は言うけれど、ホトトギスの、人々が待つ、その初声を私だけが聞くのです。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号94から98まで

2024年07月31日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 94

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 止幾和可須 布礼留由幾可止 美留万天尓 加幾祢毛多和尓 左个留宇乃者奈

和歌 ときわかす ふれるゆきかと みるまてに かきねもたわに さけるうのはな

読下 時わかすふれる雪かと見るまてにかきねもたわにさける卯の花

解釈 時節の区分も無く降れる雪かと見間違えるまでに、垣根の枝もたわわに咲いている卯の花です。

 

歌番号 95

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者留加遣天 幾可武止毛己曽 於毛飛之可 也万本止々幾須 於曽久奈久良无

和歌 はるかけて きかむともこそ おもひしか やまほとときす おそくなくらむ

読下 春かけてきかむともこそ思ひしか山郭公おそくなくらん

解釈 春の季節からそれを聴こうと思っていた、そのホトトギスは季節を遅れて鳴くのだろうか。

 

歌番号 96 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者徒己衛乃 幾可万本之左尓 本止々幾須 与不可久女遠毛 左末之川留可奈

和歌 はつこゑの きかまほしさに ほとときす よふかくめをも さましつるかな

読下 はつこゑのきかまほしさに郭公夜深くめをもさましつるかな

解釈 初声を聞きたいと願っていた、そのホトトギスは夜遅くに目を覚ましたのでしょうか。(夜明け間近くに鳴いています。)

 

歌番号 97

詞書 夏山をこゆとて

詠人 久米広縄

原文 以部尓幾天 奈尓遠可多良无 安之比幾乃 也万本止々幾須 比止己恵毛可那

和歌 いへにきて なにをかたらむ あしひきの やまほとときす ひとこゑもかな

読下 家にきてなにをかたらむあしひきの山郭公ひとこゑもかな

解釈 屋敷に来て、鳴けば何を語るのでしょうか、葦や檜の生い茂る山に住むホトトギスよ、一声でも聴きたいものです。

 

歌番号 98

詞書 延喜の御時の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 也万佐止尓 志累比止毛可奈 本止々幾須 奈幾奴止幾可波 川計尓久留可尓

和歌 やまさとに しるひともかな ほとときす なきぬときかは つけにくるかに

読下 山さとにしる人もかな郭公なきぬと聞かば告げに来るかに

解釈 山里に知り合いでもいないでしょうか、ホトトギスが啼いたと聞けば、わたしの許に告げに来るでしょうに。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号89から93まで

2024年07月30日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 89 拾遺抄記載

詞書 山里の卯の花にうくひすのなき侍りけるを

詠人 平公誠

原文 宇乃者奈遠 知利尓之武女尓 万可部天也 奈川乃加幾祢尓 宇久飛寸乃奈久

和歌 うのはなを ちりにしうめに まかへてや なつのかきねに うくひすのなく

読下 卯の花をちりにしむめにまかへてや夏のかきねに鴬のなく

解釈 卯の花を散ってしまった梅の花に見間違えたためなのか、夏の垣根になぜか鶯が鳴いている。

 

歌番号 90 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇乃者奈乃 左个留加幾祢者 美知乃久乃 万可幾乃之万乃 奈美可止曽美留

和歌 うのはなの さけるかきねは みちのくの まかきのしまの なみかとそみる

読下 うの花のさけるかきねはみちのくのまかきのしまの浪かとそ見る

解釈 卯の花が咲いている垣根は、まるで陸奥の籬の島に立つ浪しぶきかと見間違います。

 

歌番号 91 拾遺抄記載

詞書 延喜の御時、月次の御屏風に

詠人 みつね

原文 加美末川留 宇川幾尓佐遣留 宇乃者奈者 志呂久毛幾祢可 之良計多留可奈

和歌 かみまつる うつきにさける うのはなは しろくもきねか しらけたるかな

読下 神まつる卯月にさける卯の花はしろくもきねかしらけたるかな

解釈 神を祀る卯月に咲いている卯の花は真っ白で巫女が精米したかのように見えます。

 

歌番号 92

詞書 延喜の御時、月次の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 加美万川累 也止乃宇乃者奈 之呂多部乃 美天久良可止曽 安也万多礼个留

和歌 かみまつる やとのうのはな しろたへの みてくらかとそ あやまたれける

読下 神まつるやとの卯の花白妙のみてくらかとそあやまたれける

解釈 神を祀る、その屋敷に咲く卯の花は白妙の御幣かと見間違いました。

 

歌番号 93

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 也万可徒乃 加幾祢尓左个留 宇乃者奈者 堂可之呂多部乃 己呂毛可个之曽

和歌 やまかつの かきねにさける うのはなは たかしろたへの ころもかけしそ

読下 山かつのかきねにさける卯の花はたが白妙の衣かけしそ

解釈 山で生活する人の家の垣根に咲く卯の花は、誰の白妙の衣を干し掛けたのでしょうか。(そのように見間違いました。)

 

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