総選挙の告示を前に自民、民主の党首討論が行なわれ、テレビも新聞各紙も大きく採りあげているので、一言ぐらいは触れておこう。
毎日新聞一面トップ見出しは「攻める麻生首相、守る鳩山代表」となっている。これを見ると最早与党は民主党(鳩山)で野党が自民党(麻生)の感がする。国内世論はもとより、外国も既にそれを前提に動いているのであろう。もちろん選挙などというものは、開けてみなければわからないが。
財源問題が一つの焦点で、多くの識者は麻生に軍配を上げているが、私は、「現状のムダに満ちた財政配分」を前提にすれば財源など出て来ないに決まっており、「それを徹底的に見直して財源を引き出す」ことこそが重要課題なので、改革の立場に立つかどうかの問題だと思う。そもそも、貧困、医療、教育などの末期的症状を解決する問題は、政治の重点をどこに置くかの問題で財源問題などではない。限られた税収(必ずしも限られているとは思わないが)を前提にしても、それを国民の生活、国の将来のためにどう重点配分していくかという政策の問題だ、と思う。
とすれば麻生の主張からは何も出てこず、鳩山の主張にかけるしかない、というのが世論となろう。
面白いのは外国の反応で、毎日新聞6面に米、中、露、仏、韓の5カ国の見方が載っていた。総じて民主党への政権交代を前提とし、しかし、「代わっても大した差はない」という観測だ。正しいのであろう。
面白いと言ったのはフランスのルモンド紙の解説で、民主党の優位を前提としつつも、民主党は「自民党や旧民社党、組合活動家から『転向』した人々で成り立っている。(その主張は)必ずしも一貫してない。民主党が弱者救済に重点を置いていても、革新的変化は期待できない」と指摘している(毎日6面)。
これは面白い。さすがに民主、革新の先進国だ。なんと言っても掲載された5カ国の中では、民主主義の深度においてフランスは一歩先んじている国だと思う。
フランスから見れば、「転向組の寄り合いに何ができるか」ってなものかもしれない。
仕方ないので、無策か有策かわからないが民主に一度やらせようと言うのが民意だろう。
もちろん私は民主党も信じていない。仏ルモンド紙が言うとおり、自民党本流の転向組が中心だから。
国民は、あまり変わらないが、とにかく一度代えてみようと思っているだけだろう。
ダメならまた選びなおすのさ・・・てなものかな?
その時、民主的選挙制度が保たれているかどうか不安であるが。