旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

臼杵の味

2010-10-16 11:30:26 | 

 

 チリ事件が間に入ったが、同窓会で帰郷したふるさと臼杵のことを書き続けていた。最後に「臼杵の味」を書いて締めくくることにする。

   
   臼杵の誇り「三重塔」

 臼杵に帰って必ず口にするもの…、それは海の幸、「河豚(ふぐ)」、「鯵(あじ)」、それに「にいな」という貝である。
 最初の晩、弟夫婦は恒例により「河豚コース」を準備してくれていた。臼杵特有の大きな肝(きも)を、小どんぶりにたっぷり溶かして、それに河豚の白身の刺身を浸して食べる。河豚の白身だけではそれほど美味しいものではない。肝が美味しいのだ。ドロドロにたっぷり溶かした肝に浸して食べるから美味しいのだ。そのあと残った骨付きなどを吸い物にして、やがてそれを雑炊にしてフルコースだ。

    
    右のカボスの上にあるのが「肝(きも)」

 河豚と言っても白身の刺身だけでは美味しくない、と書いたが、刺身だけで美味しいのが鯵だ。釣ったばかりの鯵の刺身は、「これぞ魚だ!」という美味しさに満ちている。カボスの2,3滴も垂らせば、醤油などのの調味料も要らないくらいだ。
 古今、鯛をもって最高の味と言われるが、鯛は淡白過ぎて物足りない。あぶらの乗った鯵の魚臭さがいいのだ。
 今回も、釣りを最大の趣味とするM氏が、釣り上げたばかりの鯵をザルいっぱい持ってきてくれた。M氏はしきりに「ちいさいものしか釣れなくて申し訳ない」と謝っていたが、とんでもない。ぴちぴち跳ねる新鮮な鯵を捌き、弟が「あじ寿司」をにぎってくれたが、これは筆舌に尽くしがたく美味しかった。地元九重高原の新米とシソの葉にはさまれた鯵は、米になじんだ酢と調和して程よく甘く、それこそ何の調味料も要らない新鮮な味であった。

  
  左の食い残しが「あじ寿司」、右が「タイ寿司」

 最終日は、弟夫妻が営むみかん山に登り、そこから臼杵湾を眺め、麓の佐志生というの海岸で「にいな」を採った。岩にへばりつくにいなを拾い、持ち帰るやすぐに湯がいて食べた。これもふるさとの味として欠かせない。

  
    岩にへばりつく「にいな」の群れ        
          


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