ミャゴラトーリ本年最初の公演『泣いた赤鬼』は、去る9日、座・高円寺での2回の公演をいずれも満席で終えることができた。まさに老若男女、幅広い層の人々に来ていただいた。杉並区のNPO支援資金の援助も受けたこの公演は、一般公募の子供合唱団の出演も含め、それなりの任務を果たしたのではなかろうか。
このオペラは、題材が浜田廣介の童話であるだけに、子供向けの児童劇ではないのか、という見方を含め観客動員もむつかしさを極めた。もちろん、その題材からして児童劇か本格オペラかはむつかしい評価を受けながらの公演であった。主宰した娘は、もちろん子供にも多く見てほしいが、同時に、大人に見てもらいたいというものであった。その大人たちは…、
多くの人は、「悲しい物語に涙した…」、「大きな問題を投げかけられて、二次会で『鬼とは何なんだ?』、『人はなぜ鬼を作り出したのか?』、『あの後、赤鬼と青鬼は会えたか』などを何時間も話し合った」などの意見を寄せてくれた人も多い。
一方で、「所詮、子供劇の枠を出なかったのではないか。ワークショップも余分ではなかったのか? どうせ子供劇とすれば『わらび座』などの方がもっと笑わせることもできる…」という感想もあった。
むつかしい問題だろう。ただ、浜田廣介の原作を読む限り、それは、さびしい、悲しい物語で、子供言葉で書かれているが純文学としての大人の物語というしかない。とても「笑いを取る」ような物語ではない。まさにむつかしい。
とりあえず、当日の舞台と観客の様子を、いくつかの掲げておく。
終了後、赤鬼と語り合う観客
ワークショップで「鬼って何だろう」と問いかける娘