今日の日経新聞の一面トップ記事は、有給休暇の消化を企業に義務付けることが厚労省で検討されていることを報じている。つまり、長時間労働の是正の一環として、従業員に有給休暇を取得するように企業に義務付けようというのだ。
従業員は、働かなくても給料が受けられる一定日数の有給休暇を権利として保有している。一般に6年半以上勤務すれば年に20日与えられる。ところが日本人は、これを遠慮して全て取得しない,つまり自ら権利を放棄しているのである。
同記事によれば、日本の有給休暇取得率は47%ということだ。欧州諸国ではほぼ100%となっている。日本の長時間労働とサービス残業(残業しても遠慮して時間外手当を請求しない残業)が世界的にも問題視されているが、それだけではなく、当然休める年次有給休暇も半分以上を返上しているのだ。
しかも一方で凄まじい貧困状態が問題になっている。年収2百万円以下の貧困層が2千万人以上といわれ、一生懸命働いても貧しいワーキングプアーと言われる層が1千万人に達するとも言われている。
ところが一方では、当然行使できる有給休暇という権利を、半分以上も放棄するつつましい働きぶりなのだ。それが現在の日本の富を築いてきたのであろうが、前記の貧困ぶりを見ると、その富は大企業の内部留保300兆円に蓄積されているのではないのか?
富の再分配も働きぶりも、ここらで総決算をしてみる必要があるのではないか?