年末というのは、やがて新年を迎える希望もあるが、無事に年が越せるのかなあ、とか、何か事件が起こることはないだろうか、など何となく不安な心に追われるものだ。その上今年は選挙の慌ただしさが加わって大きな不安が加わった。
第一の不安は、石原前都知事、安倍自民党総裁、橋下大阪市長という右翼勢力が、臆面もなく日本の右傾化政策を叫びだしたことだ。曰く、「自衛隊は国防軍に」、「憲法を改悪して交戦権を持つ」(つまり軍隊を持ち戦争できるようにしよう、ということ)、「集団的自衛権の容認」、「核のシミュレーションをやれ」、「中国と戦争する覚悟をもって尖閣諸島を守れ」などなど。
これらの発言は、30年前なら発言した閣僚の首が飛ぶような内容だ。それが声高に言われて、国民もマスコミもそれほどの反応もしない。このような考え方は、自民党はじめ日本の保守勢力の中には従来からあった思想と思われるが、第二次大戦の反省の中から生まれた戦後民主主義がこれを抑えてきていたのであろう。
その戦後民主主義は消えてしまったのであろうか? 今回の選挙後、自民と維新が連合して政権を取るようなことになると最悪だ。これが第一の不安。
第二の不安は、第三極の一方に小沢一郎の顔が見え隠れすることだ。ここにきて嘉田由紀子滋賀県知事が脱原発(本人は卒原発と言ってる)を旗印に「未来の党」を立ち上げた。嘉田知事の政治姿勢(新幹線行政や原発行政に対する反発など)は、民意の一つを反映するものとしてこれまで期待してきたが、どうもこの政党立ち上げの裏には小沢一郎の策略があると報じられており、その表れとして、小沢は自分の党を即時解党して未来の党に合流した。
小沢率いる「生活」党は、脱原発、消費増税反対、TPP反対など、これまたかなり幅広い民意を代表している。ところがどうも小沢の本心とは思えず、「民意を得て政権に近づく」権力獲得の手段に見える。小沢には失礼かもしれないが、彼のこれまでの政治経歴から見てそう見られても仕方あるまい。どうせ第三極などといっても、民意を利用した勢力拡大党としか思えない。それにまた民意が騙されるのではないか? これが第二の不安。
選挙の直前になって、結党…解党…野合を繰り返す政治家の姿は、とても国民のことを考えているとは思えず、見苦しいと言うしかなく、くれぐれも騙されないようにしたいものだ。