旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

ビールは何処に行くのか … ビール風味飲料増産記事に因んで

2012-05-13 12:36:31 | 

 

 立夏(5月5日)を迎えたが、竜巻やヒョウが降ったり、北の国では雪が降っていつまでも寒い日がぶり返す。しかし合間をぬって覗く日差しは本格的な夏の近いことを告げている。そしてこの時期、一番飲みたくなる酒はビールである。
 そんなことを考えていたら、今朝の日経新聞一面に「ビール風味飲料 若者・女性つかむ アサヒやサントリー増産」という記事が載った。それによると、アルコール度数ゼロのビール風味飲料、つまりノンアルコールビールに、「運動後に清涼飲料水代わりに飲むなど、酒をあまり飲まない若者や女性が注目」しており、各社が増産計画を立てているという。アサヒビールが同社のノンアルコールビール「ドライゼロ」を33%増産計画、サントリーが同「オールフリー」を30%、キリンビールが同「フりー」を10%、サッポロも黒ビール風味の同「プレミアムアルコールフリー ブラック」を追加して20%増産するという。

 本来のビールを「麦芽、ホップ及び水を原料として(その他の政令で定める物品を原料として)発酵させたもの」(酒税法)、いわゆる醸造酒と定義するならば、アルコール度数ゼロのものをビールと呼べるのだろうか? ノンアルコールのものを酒と呼べるのだろうか? そうまでしてビールと呼びたい何があるのだろうか?
 そもそも世界で一番飲まれている酒類はビールである。日本でも同じで、(発泡酒や第三のビールなどを含めると)日本人の飲んでいる酒類の約70%はビールである。戦後急速に伸びて、昭和34年には清酒を抜いてトップに立ち(シェアー39%)、平成5年頃には7百万kl(キロリットル)に達しシェアー72%を占めた。ただその翌平成6年、第二のビールともいうべき「発泡酒」が参入、平成16年には「第三のビール」が発売され、この両者が従来のビールのシェアーを食っていった。しかし三者を合わせたいわゆるビールの総量(総シェアー)はほとんど変わらない。つまりビールの一部が発泡酒や第三のビールに代わっていったのである。
 そこへまた「アルコール度数ゼロのビール風味飲料」の登場だ。いったいビールの中身はどうなっていくのだろうか?


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