昨日、2009年春純米酒フェスティバルを無事終えた。主催者の一人としてホッとしている。2000年春に発足し、年2回春と秋に開催して10年目に入り、昨日の会は19回目にあたる。秋の満10周年、20回目はどのような記念フェスティバルにしようかと思案している。
参加者も年々増加し、昨日は750人ずつ2回で計1400人となった。その他、夏に大阪で開催(今年は7月に名古屋で開催予定)しているので、この10年間にかなりの人たちに純米酒の良さを普及してきたと自負している。
いくつかの新しい息吹も出てきた。昨日出展の51蔵のうち30%近い14蔵が初出展であったことだ。毎回平均50蔵に出展していただくが、初参加はせいぜい7、8蔵どまりであったが急激に増えた。過去19回、一貫してご出展いただいた蔵もたくさんあり、そのような蔵の力強いご支援のおかげで10年も続いてきたのであるが、新しい蔵の参加が続くことなしに運動の発展はありえない。
まさに「古嚢(古い皮袋)に新酒を盛る」思いであった。
また、その新しい出店蔵の大半が500石以下の小蔵であったことも特徴的だった。一番小さい蔵は年間生産量50石であった。最近、100石、200石の蔵が、まさに手塩にかけた良酒を造って人気を博している例が多い。昨日の各蔵も、いずれ劣らぬ名酒を提供してくれた。うれしい限りで、心から喝采を送る。
青い目の酒造家の蔵が2蔵出展いただいたのもうれしかった。桝一市村酒造と木下酒造だ。桝一はセーラ・マリ・カミングスさんというアメリカ女性が代表取締役を勤める蔵で、木下酒造はフィリップ・ハーパーというイギリス男性が杜氏を勤める。
セーラさんはペンシルベニア大学を卒業後、翌年(平成6年)には長野の㈱小布施堂に入社、桝一酒造場の再構築にたづさわり、同社の取締役営業部長からついに代表取締役となった。今や小布施市町興しの中心人物である。
ハーパー氏は語学教師として来日したと聞くが、奈良の「梅の宿」を皮切りに日本酒の魅力につかまり南部杜氏の資格を取得、今は京都府丹後市の「玉川」という酒を造る木下酒造の杜氏を勤める。濃醇で味のある酒を造る。
いつの日か二つの蔵を回り、「青い目の酒つくり」が何を目指しているのかを聞いてみたい。特にハーパー氏は、醸造酒では「リアルエールビール」、蒸留酒では「スコッチウィスキー」という誇り高き酒を持つイギリスを離れて来たのだ。ぜひ聞きたい。