前回、私が関係する会社の税務調査に触れて、市井に生きる1零細企業の規模とあまりにもかけ離れた世界金融危機の計数について書いた。
その中で、所詮「虚の世界」である株や相場の世界の話は、実体経済の中で生きる者にとっては、どうでもいい世界とも書いた。それは、リーマンブラザーズが潰れようがGM社が債務超過に陥ろうが、また大和生命が破綻しようが、株も債権も持っていない庶民にとっては関わり無い別世界、と言う意味であったのだが、実はそうは行かない。
言うとおりかかわりも無い「虚」の世界で、儲け放題のバクチ経済をやって大損しようが破綻しようが勝手であるが、その影響が、全くかかわりの無い庶民に及んでくる。
今回の金融危機に続く不況は、世界同時不況の様相を呈して、少なくとも2年は続くとも言われている。その間に弱い企業から潰れていく。つまり日本の90%以上を占める中小零細企業が先ずその対象で、そこに働く者は職を失い、賃金が下がり、大なり小なり影響を受けていく。
この責任は一体だれがとるのか?
今回の世界規模の金融破綻(というより経済破綻)が、1980年代からアメリカを中心に推し進められてきた「新自由主義」(弱肉強食の自由主義経済)に起因することは、これで明瞭になったのではないか?
その新自由主義的資本主義の結果、アメリカはもちろん、その尻馬に乗ってきた日本も「深刻な貧困問題」に直面している。一方に年収何十億円の富裕層を生みながら、一方に必死に働いても食えないワーキングプアーを生む。
その挙句に儲け続けようとした自らも行き詰まり破綻していく。そしてついに、金融システムを維持していくために、自由主義と全く正反対の「金融機関への公的資金の注入」をやらざるを得なくなる。今に銀行はみな国家管理になるのではないか?
それは「規制をはずして自由にやろう」という政策が破綻したことを自ら示したことに他ならない。
今や、小泉竹中路線の完全な方向転換が求められているだろう。来る総選挙で、国民はその意思を鮮明に示すべきではないか。