スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

サンケイスポーツ盃戸塚記念&第四部定理五八備考

2017-09-07 20:48:53 | 地方競馬
 第46回戸塚記念。笹川騎手が8レースのレース中かレース後に負傷したためケンネプチューンは本橋騎手に変更。
                                     
 オリジナルポイント,サイバーエレキング,キャプテンロビンの3頭が飛び出していき,発走後の向正面で4番手と差が開きました。先行争いを制したのはサイバーエレキングでこの馬の逃げに。オリジナルポイントが2番手,キャプテンロビンが3番手に。この後ろは最初はシェアハッピー,キングガンズラング,ブラウンレガート,カンムルという順でしたが,隊列が決まって1周目の正面でペースが落ちるとカンムルが動いていって4番手に。先行争いがあった分だけハイペース。
 2周目の向正面に入るとさらにカンムルが外を上昇。中間付近で先頭に立ち,先行勢は壊滅。ここで追い上げようとした馬は4頭いたのですが,ブラウンレガートは内にいたために馬群をうまく捌けずもたつきました。この間にキングガンズラング,シェアハッピー,クラトリガーの3頭が外から進出。3コーナーを回ってカンムルに最も迫れたのがキングガンズラングで,このコーナーで3番手のシェアハッピーとの差が大きく開き,優勝争いは前の2頭に。キングガンズラングはおそらく苦しくなって外によれながら追う形となり,早めに先頭に立っていたカンムルが差をつけたまま優勝。キングガンズラングが2馬身半差で2着。中団からあまり早くは動かずに最後に脚を使ったキャッスルクラウンが大差で3着。
 優勝したカンムルは2月の雲取賞以来の南関東2勝目で南関東重賞初勝利。JRAで未勝利を勝ち,南関東クラシックを目指して転入してきた馬ですが,入着が一杯で結果を残すことはできませんでした。ここはブラウンレガートの能力が上位ですが,クラシック路線とは異なる条件なので,それを苦にすれば崩れるケースも想定はできたところ。その場合には次位グループのこの馬にもチャンスは出るだろうと考えていました。ブラウンレガートが捌くのに手間取ったのが幸いしたという面が大きいように思いますので,たとえば大井コースで同じように逆転することが可能なのかといえば,そうでもないような気はします。Gangmuはハングルで川の水。
 騎乗した船橋の左海誠二騎手は南関東重賞は1月の船橋記念以来の勝利。戸塚記念は初勝利。管理している浦和の小久保智調教師第45回に続く連覇で戸塚記念2勝目。

 スピノザが高慢superbiaを,おそらく最も,そうでなくともかなり否定的な感情affectusとみていることは間違いありません。第三部定理三〇備考で,内部の原因の観念ideaを伴った喜びlaetitiaを名誉gloriaと自己満足acquiescentia in se ipsoに分類した後で,とくに名誉につて言及し,それが高慢の源泉となるという意味のことをいっているので,その備考Scholiumにおいては名誉が否定的に記述されているといえるでしょう。
 この部分と同様に,スピノザが名誉を否定的に記述している箇所がほかにもあります。それが第四部定理五八の備考です。
 「すべての人間が民衆の喝采を博そうと欲するがゆえに,各人は好んで他人の名声を阻止する。そこで,最高と評価される善を得ようと争うのであるから,あらゆる方法で仲間を圧倒しようとする激しい情熱が生ずる。そして最後に勝利者となる者は,自己を益したことによりも他人を害したことにより多く名誉を見いだす。このようにしてこの名誉ないし満足は何の満足でもないのだから,実は空虚なものなのである」。
 この備考の冒頭部分は,名誉ではなくて虚名vana gloriaとなっていて,それは民衆の意見によって育まれる自己満足であるとなっています。しかし僕はこの虚名というのは名誉の一種であると解します。というのはここでいわれている民衆の意見opinioというのは,自分に対する賞賛を多く意味する筈です。なぜならその意見によって育まれるとなっているのですから,たとえばそれが誹謗や中傷のようなものであるならこうした感情は育まれようがないからです。したがってこの感情はむしろ第三部諸感情の定義三〇に合致するのであり,虚名は自己満足の一種ではなく名誉の一種でなければならないと僕は解します。ただ,スピノザがここであたかも虚名すなわち名誉が自己満足の一種であるかのように記述している点は注目に値するでしょう。
 なお,虚名というのは名誉の一種なのであって,名誉そのものではありません。この備考は『国家論Tractatus Politicus』にも援用されているように,政治的闘争を視野に入れていると思われますが,僕は感情としてみるならば,混乱した観念idea inadaequataあるいは表象像imagoを原因の観念として伴っている名誉について,とくにそれを虚名というというように解します。

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