スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

鳳凰賞典レース&規準

2023-01-07 19:25:05 | 競輪
 立川記念の決勝。並びは新田‐佐藤の福島,松井‐郡司‐和田‐岡村‐高橋の南関東で佐々木と北津留は単騎。
 新田がスタートを取って前受け。3番手に佐々木,4番手に松井,最後尾に北津留で周回。残り3周のバックから松井が佐々木との車間を開け始め,ホームから発進しました。新田は引かずに郡司の横で粘る競走に。結果的に2番手以下は内が新田‐佐藤‐佐々木,外が郡司‐和田‐岡村で併走になって打鐘。競り合いが長く続き,バックに入るところで新田が奪いました。郡司は下りて新田の後ろに入ろうとしましたが佐藤と接触して自転車が故障したようでずるずると後退。最後尾に構えていた北津留が捲ってくると番手を奪った新田が発進。最後まで北津留を出させずに優勝。北津留が4分の3車身差で2着。こちらも自転車が故障してしまった佐藤は新田に続けなかったので,逃げ粘った松井が2車身差で3着。
 優勝した福島の新田祐大選手寛仁親王牌以来の優勝。記念競輪は一昨年の伊東温泉記念以来となる9勝目。立川記念は初優勝ですが,2010年暮れのSSカップみのりでビッグ初優勝を達成したのが立川でした。このレースは松井が先行して郡司が番手捲りとなればだれも太刀打ちすることができません。なので勝つためには分断策しかなく,新田がそれに出て,優勝をもぎ取ることになりました。松井に前受けされては突っ張られるでしょうから,前を取ったのもよかったと思います。そういう意味では1番車を得ていたのも大きかったでしょう。脚力だけでは以前ほどには他を圧倒して勝つということはできなくなってきていますので,今日のような競走が今後も増えていくかもしれません。

 スピノザは虚偽falsitasはそれ自体では否定しません。しかし誤謬errorは否定します。一方,知性intellectusのうちに虚偽があるだけでは,否定はしませんが肯定するaffirmareこともありません。しかし知性のうちに虚偽があり,同時にその知性がそれを虚偽であるということを知っている場合は,その虚偽を肯定します。これに関しては全面的に肯定するといっていいでしょう。したがって,スピノザが自由の人homo liberおよび賢者を肯定して,奴隷および無知者を否定していることをそのことと比例させて解するなら,現実的に存在するある人間の知性のうちに虚偽すなわち混乱した観念idea inadaequataがあるだけでは,その人間を自由の人ということはできませんが,奴隷ということもできません。同様にその人間を賢者ということはできませんが無知者ということもできないということになります。賢者と無知者,自由の人と奴隷とを分かつ規準は,この場合には,その虚偽を真理veritasと思い込むのかそれとも虚偽であると知っているのかという点にあるとみなすべきだと僕は考えます。
                                   
 現実的に存在する人間の精神mens humanaの一部は,必然的にnecessario混乱した観念によって構成されます。これはすでに示した通りなのであって,人間の精神は,人間の身体humanum corpusほどには複雑に組織されていない個物res singularisいい換えれば物体corpusの精神よりも,多くの混乱した観念で構成されることになります。ただそのことは,人間の精神が事物を知覚するpercipere適性が高いということを示すのであって,必ずしも否定的に評価する必要はありません。むしろ知覚perceptioの適性度という観点だけでいえば肯定的に評価されるべき事柄です。ただそうした知覚つまり表象imaginatioはそのすべてが混乱した観念なので,もしもそれは十全な観念idea adaequataであると思い込んでしまうのなら,その人間は奴隷とか無知者といわれるべきでしょう。しかしそれとは逆に,それが混乱した観念であるということを知っている,自覚しているのであれば,その人間は賢者でありまた自由の人といわれるべきなのです。
 自由の人とか賢者というのは,能動actioとくに精神の能動actio Mentisについてそういわれるのであり,表象というのは受動passioです。しかし表象像imagoを表象像と知る,つまり受動を受動と知るのは,精神の働きactioと解してよいのだと思います。

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